個別に覚えるのではなく、流れを知って学習しましょう。
保育士試験には法の表面的なことしか出題されませんが、実状を知れば覚えやすくなります。
イギリスの歴史 〜保育士試験抜粋〜
エリザベス救貧法とは

簡単には、エリザベス一世時代の生活保護法の原型です。
近代社会保障制度の出発点とされていますが、現代人が見ると社会保障とは言えない法律で、社会保障が何もない時代では画期的なものでした。
エリザベス救貧法では、都市にあふれた働いていない者を怠け者、犯罪者とし、3種類に分類しました。
- 働けない老人や障害者「無能貧民」→親族か救貧院での保護
- 働ける人 「有能貧民」→労役場での労働
- 扶養する者がいない児童→どこかに弟子入りさせる
つまり、働けない老人・障害者・児童は怠け者扱いで、例えば家族に障害児がいたら、離れ離れになるうえに救貧院で酷い扱いを受けます。
救貧院(プアハウス)とは保護施設のことをいいます。施設によって生活レベルが違いました。
労役場(ワークハウス)とは労働施設のことをいいます。
新救貧法とは
エリザベス救貧法で給付が膨張した費用を節約するため、無能貧民をさらに縮小して救貧院に入れて保護する(院内保護)としたところがエリザベス救貧法との違いです。
有能貧民にはさらに強制労働を課しました。
有能貧民よりよい生活をしてはいけない(劣等処遇)という考えのもと、どこの救貧院もまるで収容所のようでした。(全国一律)

子どもたちは初頭教育を受ける権利がありましたが、これはしばしば看守によって無視されました。
実際には労働を強いられていたのです。

このころから慈善組織協会COSによる友愛訪問がはじまります。
日本ではまだ江戸時代で恤救規則すらできていない頃の出来事です。

過去問
保育士試験 平成30年(2018年)前期 児童家庭福祉 問42
次の文は、子ども観の変遷に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。
○ 4.1601年にイギリスで成立した「エリザベス救貧法」では、子どもは、有能貧民、無能貧民とともに保護の対象であることを示した。
正解は 5
保育士試験 平成25年(2013年) 社会福祉 問63
次の【I群】の歴史的事象と【II群】の解説文を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【I群】
B 新救貧法(1834年)
- ウ 新救貧法(1834年)は、救貧法で給付が膨張したために、その膨張を防ぐために作られました。
【II群】
ウ 窮民の援助は、最低辺の労働者の生活以下の水準にとどめ、働ける者には強制労働を課した。