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オーエンの思い
オーエンはイギリスの手工業者の家に生まれ、商店に店員として奉公しながら各地を転々としました。
若いころから工場の経営に加わりましたが、産業革命の影響下での労働者の状態には心を痛めていました。

労働者はなぜ貧困?
労働者とその家族は貧困であり、特に子供たちが働かされ、教育も受けられていない状態でした。
住まいは子育てには向かず、親が一日中働いている間、子供たちは邪魔にされほったらかされていました。
それは労働者の大多数が怠惰であり、毎日酒に浸ると担当の仕事はほってしまい、盗みなどはごく普通のことでした。
オーエンは教育が第一歩?
このような工場を「統治」するための第一歩は教育だと考えました。(小学校もない時代です。)
自分の紡績工場に学校をつくり、「性格形成学院」としました。

特に幼児教育が大切だと考え、世界初の幼稚園を性格形成学院の中につくりました。
小売店なども設けられ、工場村となっていきました。
後に工場村は世界文化遺産となりました。

オーエンの教育
オーエンは若い教師たちに、「どんな訳があろうと子供を決して打つな、どんな言葉やしぐさででもおどすな、いつも親切に、言葉も優しく小児と話せ」とか、「小児を書物でいじめるな。身のまわりにころがっている物の使い方や本性・性質を教えるものだ、小児の好奇心が刺激され、それについて質問するようになった時に、うちとけた言葉で答えろ。」と命じ、その通りに実践されたことで、すぐに成果が出始めました。
これはペスタロッチの教えです。

工場はさまざまな技術改良を加えながら生産量を増やし、オーエンは富を得ました。
オーエン著書「新社会観」
代表作である『新社会観』( 1813年 )においては、幼児期における環境の影響の大切さを主張しました。


過去問
保育士試験 令和4年(2022年)後期 保育原理 問18
次のうち、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
× B オーエン(Owen, R.)は、ドイツに「性格形成学院」を開設し、子どもの保護と教育を行った。
- 保育士試験 平成25年(2013年)後期 保育原理 問1 に同じ
保育士試験 令和元年(2019年)後期 保育原理 問17
次の【Ⅰ群】の語句と最も関連の深い人名を【Ⅱ群】から選び、それぞれを結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
D 性格形成学院
【Ⅱ群】
ア オーエン(Owen, R.)
イ フレーベル(Fröbel, F.W.)
ウ ルソー(Rousseau, J.-J.)
エ ペスタロッチ(Pestalozzi, J.H.)
保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 保育原理 問18
次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の人名を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
B イギリスの産業革命期に、自ら経営する紡績工場の敷地内に「性格形成学院」を創設し、代表作である『新社会観』( 1813年 )においては、幼児期における環境の影響の大切さを主張した。
【Ⅱ群】
ア エレン・ケイ( Key,E. )
イ オーエン( Owen,R. )
ウ シュタイナー( Steiner,R. )
エ ヘファナン( Heffernan,H. )
保育士試験 平成28年(2016年)前期 社会的養護 問30
次の文は、欧米の社会的養護の歴史に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ B オーエン(Owen, R.)は、木綿紡績工場主であったが、1816年に自分の工場内に「性格形成学院」という幼児施設をつくり、成長段階に応じた教育を行った。
保育士試験 平成25年(2013年)後期 保育原理 問1
次の文は、諸外国における保育の先駆者についての記述である。適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み答わせを一つ選びなさい。
× B オーエン(Owen, R.)は、ドイツに「性格形成学院」を開設し、子どもの保護と教育を行った。
- オーエンはイギリスの社会改革運動家であり、「性格形成学院」は自ら経営するニューラナークの工場の敷地内に設立されました。幼児学校、昼間学校、夜間講義の3つからなり、1~5歳の子どもたちが学ぶ幼児学校は最初の保育所といわれます。人間の性格を環境の産物と考え、幼児期の環境が性格形成に及ぼす影響を重視しました。19世紀初頭当時は、産業革命の影響下で子どもが過酷な労働を強いられていました。