乳児院運営指針「第Ⅰ部 総論 」10分で簡単理解する!

乳児院運営指針

ここでは、乳児院運営指針そのものを掲載しました。児童福祉法等に共通していることは当たり前として、乳児院の特有のことを太字にして、短時間で運営指針をマスターすることを目的としています。ボリュームはありますが、児童養護施設運営指針を読んでいればほとんどが共通の内容で、太字を中心に1度読んみるだけでマスターできることを目指しています。また児童養護施設と同様のものは背景に色表示をしています。

1.目的

・この「運営指針」は、乳児院における養育・支援の内容と運営に関する指針を定め るものである。社会的養護を担う乳児院における運営の理念や方法、手順などを
社会に開示し、質の確保と向上に資するとともに、また、説明責任を果たすこと にもつながるものである。
・この指針は、乳児院で生活する子どもたちがよりよく生きること(well-being)を 保障するものでなければならない。また、社会的養護には、社会や国民の理解と支援が不可欠であるため、乳児院を社会に開かれたものとし、地域や社会との連携を深めていく努力が必要である。さらに、そこに暮らす子どもたちにとって必要な生活を保障する取組を創出していくとともに、乳児院が持っている機能を地域に還元していく展開が求められる。
・家庭や地域における養育機能の低下が指摘されている今日、社会的養護のあり方には、養育のモデルを示せるような水準が求められている。子どもは子どもとし
て人格が尊重され、子ども期をより良く生きることが大切であり、また、子ども期における精神的・情緒的な安定と豊かな生活体験は、発達の基礎となると同時に、その後の成人期の人生に向けた準備でもある。
・この指針は、こうした考え方に立って、社会的養護の様々な担い手との連携の下で、社会的養護を必要とする子どもたちへの適切な支援を実現していくことを目的とする。

2.社会的養護の基本理念と原理
(1)社会的養護の基本理念
①子どもの最善の利益のために
・児童福祉法第1条で「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」と規定され、児童憲章では「児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、良い環境の中で育てられる。」
とうたわれている。
・児童の権利に関する条約第3条では、「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」と規定されている。
・社会的養護は、子どもの権利擁護を図るための仕組みであり、「子どもの最善の利益のために」をその基本理念とする。

②すべての子どもを社会全体で育む
・社会的養護は、保護者の適切な養育を受けられない子どもを、公的責任で社会的
に保護・養育するとともに、養育に困難を抱える家庭への支援を行うものである。
・子どもの健やかな育成は、児童福祉法第1条及び第2条に定められているとおり、
すべての国民の努めであるとともに、国及び地方公共団体の責任であり、一人
一人の国民と社会の理解と支援により行うものである。
・児童の権利に関する条約第20条では、「家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められない児童は、国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する。」と規定されており、児童は権利の主体として、社会的養護を受ける権利を有する。
・社会的養護は、「すべての子どもを社会全体で育む」をその基本理念とする。

(2)社会的養護の原理
社会的養護は、これを必要とする子どもと家庭を支援して、子どもを健やかに育成するため、上記の基本理念の下、次のような考え方で支援を行う。
①家庭的養護と個別化
・すべての子どもは、適切な養育環境で、安心して自分をゆだねられる養育者によって、一人一人の個別的な状況が十分に考慮されながら、養育されるべきである。
・一人一人の子どもが愛され大切にされていると感じることができ、子どもの育ちが守られ、将来に希望が持てる生活の保障が必要である。
・社会的養護を必要とする子どもたちに「あたりまえの生活」を保障していくことが重要であり、社会的養護を地域から切り離して行ったり、子どもの生活の場
を大規模な施設養護としてしまうのではなく、できるだけ家庭あるいは家庭的な環境で養育する「家庭的養護」と、個々の子どもの育みを丁寧にきめ細かく進めていく「個別化」が必要である。

②発達の保障と自立支援
・子ども期のすべては、その年齢に応じた発達の課題を持ち、その後の成人期の人生に向けた準備の期間でもある。社会的養護は、未来の人生を作り出す基礎となるよう、子ども期の健全な心身の発達の保障を目指して行われる。
・特に、人生の基礎となる乳幼児期では、愛着関係や基本的な信頼関係の形成が重要である。子どもは、愛着関係や基本的な信頼関係を基盤にして、自分や他者の存在を受け入れていくことができるようになる。自立に向けた生きる力の獲得も、健やかな身体的、精神的及び社会的発達も、こうした基盤があって可能となる。
・子どもの自立や自己実現を目指して、子どもの主体的な活動を大切にするととも
に、様々な生活体験などを通して、自立した社会生活に必要な基礎的な力を形成していくことが必要である。

③回復をめざした支援
・社会的養護を必要とする子どもには、その子どもに応じた成長や発達を支える支援だけでなく、虐待体験や分離体験などによる悪影響からの癒しや回復をめざした専門的ケアや心理的ケアなどの治療的な支援も必要となる。
・また、近年増加している被虐待児童や不適切な養育環境で過ごしてきた子どもたちは、虐待体験だけでなく、家族や親族、友達、近所の住人、保育士や教師な
ど地域で慣れ親しんだ人々との分離なども経験しており、心の傷や深刻な生きづらさを抱えている。さらに、情緒や行動、自己認知・対人認知などでも深刻なダメージを受けていることも少なくない。
・こうした子どもたちが、安心感を持てる場所で、大切にされる体験を積み重ね、信頼関係や自己肯定感(自尊心)を取り戻していけるようにしていくことが必要である。
④家族との連携・協働
・保護者の不在、養育困難、さらには不適切な養育や虐待など、「安心して自分をゆだねられる保護者」がいない子どもたちがいる。また子どもを適切に養育す
ることができず、悩みを抱えている親がいる。さらに配偶者等による暴力(DV)などによって「適切な養育環境」を保てず、困難な状況におかれている親子がいる。
・社会的養護は、こうした子どもや親の問題状況の解決や緩和をめざして、それに的確に対応するため、親と共に、親を支えながら、あるいは親に代わって、子どもの発達や養育を保障していく包括的な取り組みである。
⑤継続的支援と連携アプローチ
・社会的養護は、その始まりからアフターケアまでの継続した支援と、できる限り特定の養育者による一貫性のある養育が望まれる。
・児童相談所等の行政機関、各種の施設、里親等の様々な社会的養護の担い手が、それぞれの専門性を発揮しながら、巧みに連携し合って、一人一人の子どもの社会的自立や親子の支援を目指していく社会的養護の連携アプローチが求められる。
・社会的養護の担い手は、同時に複数で連携して支援に取り組んだり、支援を引き継いだり、あるいは元の支援主体が後々までかかわりを持つなど、それぞれの
機能を有効に補い合い、重層的な連携を強化することによって、支援の一貫性・継続性・連続性というトータルなプロセスを確保していくことが求められる。
・社会的養護における養育は、「人とのかかわりをもとにした営み」である。子どもが歩んできた過去と現在、そして将来をより良くつなぐために、一人一人の子どもに用意される社会的養護の過程は、「つながりのある道すじ」として子ども自身にも理解されるようなものであることが必要である。

⑥ライフサイクルを見通した支援
・社会的養護の下で育った子どもたちが社会に出てからの暮らしを見通した支援を行うとともに、入所や委託を終えた後も長くかかわりを持ち続け、帰属意識を
持つことができる存在になっていくことが重要である。
・社会的養護には、育てられる側であった子どもが親となり、今度は子どもを育てる側になっていくという世代を繋いで繰り返されていく子育てのサイクルへの支援が求められる。
・虐待や貧困の世代間連鎖を断ち切っていけるような支援が求められている。
(3)社会的養護の基盤づくり
・社会的養護は、かつては親のない、親に育てられない子どもを中心とした施策であったが、現在では、虐待を受けた子ども、何らかの障害のある子ども、DV被
害の母子などが増え、その役割・機能の変化に、ハード・ソフトの変革が遅れている。
・社会的養護は、大規模な施設養護を中心とした形態から、一人一人の子どもをきめ細かく育み、親子を総合的に支援していけるような社会的な資源として、ハー
ド・ソフトともに変革していかなければならない。
・社会的養護は、家庭的養護を推進していくため、原則として、地域の中で養育者の家庭に子どもを迎え入れて養育を行う里親やファミリーホームを優先するとと
もに、児童養護施設、乳児院等の施設養護も、できる限り小規模で家庭的な養育環境(小規模グループケア、グループホーム)の形態に変えていくことが必要である。
・また、家庭的養護の推進は、養育の形態の変革とともに、養育の内容も刷新していくことが重要である。
・施設は、社会的養護の地域の拠点として、施設から家庭に戻った子どもへの継続的なフォロー、里親支援、社会的養護の下で育った人への自立支援やアフターケア、地域の子育て家庭への支援など、専門的な地域支援の機能を強化し、総合的なソーシャルワーク機能を充実していくことが求められる。
・ソーシャルワークとケアワークを適切に組み合わせ、家庭を総合的に支援する仕組みづくりが必要である。
・社会的養護の役割はますます大きくなっており、これを担う人材の育成・確保が重要な課題となっている。社会的養護を担う機関や組織においては、その取り
組みの強化と運営能力の向上が求められている。

3.乳児院の役割と理念

・乳児院は、児童福祉法第37条の規定に基づき、乳児(保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、幼児を含む)を入院さ せて、これを養育し、あわせて退院した者について相談その他の援助を行うこ とを目的とする施設である。
・また、第48条の2の規定に基づき、地域の住民に対して、児童の養育に関する 相談に応じ、助言を行うよう努める役割も持つ。
・乳児院における養育は、乳幼児の心身及び社会性の健全な発達を促進し、その人格の形成に資することとなるものでなければならない。また、乳幼児期は緊急的な対応を求められる場面も多いことから、適切な養育環境が速やかに手厚く保障されるよう努めなければならない。
養育の内容は、乳幼児の年齢及び発達の段階に応じて必要な授乳、食事、排泄、沐浴、入浴、外気浴、睡眠、遊び及び運動のほか、健康状態の把握、健康診断及び必要に応じ行う感染症等の予防処置を含む。
・乳児院における家族環境調整は、乳幼児の家庭の状況に応じ、親子関係の再構築等が図られるように行う。

4.対象児童

(1)子どもと保護者の特徴と背景

・乳児院の入所理由は、母親の疾病(精神疾患を含む)、虐待、ネグレクト、父母就労、受刑などであるが、近年母親の精神疾患や虐待による入所が増加傾向にある。

乳児院の入所理由は母の精神疾患によるものが多い

・入所の理由は単純ではなく、複雑で重層化している。主たる理由が改善されても別の課題が明らかになることも多く、家庭環境の調整は丁寧に行う必要がある。
また、乳児院は児童相談所の一時保護所を経由せずに直接入所するため、ネグレクトのように虐待が入所後に判明することも多い。乳児のアセスメントは重要であり、乳児院の一時保護機能の充実が必要である。
・乳児院の子どもは、入所当初から心身に何らかの問題を抱えている場合が多く、入所児の約半数が病児・虚弱児、障害児、被虐待児である。発達上困難を抱える子どもは、年齢的に診断名がつかないが「育てにくさ」という養育上の課題をもち、手厚いかかわりが必要となる。また、疾病や障害などを抱える子どもは、その子どもの状態に応じて医療的・療育的ケアと養育に個別的な対応をすることが求められる。入所後の乳児院のリハビリや病院の通院件数や入院件数は年々増加している現状にある。

虐待経験ありは40.9%

・乳児院で生活している子どものほとんどは保護者がおり、退所児の約60%は家庭に復帰している。乳児院の在所期間は、短期と長期に両極化している特徴がある。

ほとんどは保護者がいる
6年以上在籍している子どもがいる

短期の在所は乳児院が家庭機能を補完する子育て支援の役割であり、長期の在所では、乳幼児の養育のみならず、保護者支援、退所後のアフターケアを含む親子関係再構築支援の役割が求められる。それらの保護者は、精神障害、若年・未婚の母、借金などの生活上の困難、孤立などの様々な困難を抱えており、入所から退所後に至る保護者への支援は、乳児院の重要な課題でもある。

(2)子どもの年齢等

・乳児院は、原則として乳児(1歳未満)を入所させて養育する施設であるが、実際には2歳あるいは3歳まで入所していることも多く、低年齢児を養育するというところに特色がある。特に乳児の保護は常に生命の危険をはらんでおり、緊急かつ突発的に行われることが多い。
・平成16年の児童福祉法改正により、「保健上、安定した生活環境の確保その他の理由による特に必要のある場合」には就学前までの入所が可能となった。乳児院の在所期間の半数が6か月未満と短期であるが、長期在籍となる3歳以上の子どものほとんどは重い障害のある子どもやきょうだいが同じ施設にいる子どもなど保育看護の環境が必要な子どもである。

3歳以上の児童がいる

・子どもは、様々な環境との相互作用により発達していく。職員は子どもの発達の特性や発達過程を理解し、発達と生活の連続性に配慮して養育を行わなければならない。また、子どもの発達過程は同年齢の子どもの均一的な発達の基準ではなく、一人一人の子どもの発達過程としてとらえるべきものである。

5.養育のあり方の基本

(1)養育の基本と原則

・乳児院の養育は、乳幼児の生命を守り、言葉で意思表示ができず、ひとりでは生活できない乳幼児の生活とその発達を保障するものでなければならない。
・乳幼児期は、人生の出発点であり、人生の土台となる極めて大切な時期である。また、この時期は発達のテンポが速く、環境の影響も受けやすい。従って、乳幼児の保護や養育は、緊急かつ安定性のある専門的な養育が必要である。
・乳幼児は、安全で安心感のある環境のもと、周囲の豊かな愛情と、応答的で継続的なかかわりを通しておとなや世界に対する絶対的な信頼を獲得していく。それは、この時期が、子どもの心身の傷を癒し、発育・発達を改善していく回復可能性の高い時期であり、乳幼児期の適切な手厚い支援の重要性を示している。
・社会的養護の場は、従来の「家庭代替」から、家族機能の支援・補完・再生を重層的に果たすさらなる家庭支援の場へと転換が求められている。親子間の関係調整、家庭機能の回復支援の過程は、施設と保護者が協働することによって果たされる。
・乳児院では乳児の一時保護委託が常態化している。「養育保障のための子どものアセスメント「家族再構築のための親子の関係性アセスメント」「養育の場をつなぐための社会資源アセスメント」など、児童相談所との連携の下で、乳児院のアセスメント機能の充実を図る必要がある。

(2)養育のいとなみ

・乳児院における養育の基本は、子どもが養育者とともに、時と場所を共有し、共感し、応答性のある環境のなかで、生理的・心理的・社会的に要求が充足されることである家族、地域社会と連携を密にし、豊かな人間関係を培い社会の一員として参画できる基礎づくりを行っていくべきである。
・職員は、個々の子どもの状態や家庭的背景を知った上で、子どもをあたたかく受け入れ、適切な養育を行い、子どもが職員に対して安心と信頼を抱ける存在になっていく。そして、子どもが必要とするときに、その要求に気づき応じられる、応答的な存在としての職員が求められる。
・養育単位を小規模化し、落ち着いた雰囲気で安定した生活リズムによって、養育担当者との深い継続的な愛着関係を築きながら、乳児期初期からの非言語的コミュニケーションを保障することにより、情緒、社会性、言語をはじめとする全面的な発達を支援する。乳児院の小規模化は、1対1のかかわりを理想とする少人数制による養育である。
・乳児院には、被虐待児も多く入所している。乳幼児の虐待は生命への危険、その後の人格形成に及ぼす影響は大きい。しかし、その回復力の可能性も高く、乳幼児期の虐待対応は極めて重要である。また、身体発育不良、精神運動発達の遅滞、感情表出、養育者との関係などに広範な問題を抱えており専門的な対応が必要である。
・近年、入所が増加傾向にある病児・虚弱児や障害児は、心身ともに特別なかかわりを必要とする。日常的な全身状態のチェックや看護的かかわりなど医療的か かわりのほか、リハビリなどの療育的かかわり、その特性に応じた養育の個別ステップをつくっていく治療的かかわりも必要である。
・乳児院の養育では、子どもの健康と安全には最大限留意している。乳児を養育するには、保育に関連した生理的特性や病気や看護についての十分な理解が不可欠であるとともに、看護師にも保育への理解が求められる。乳児院の養育の専門性を表す「保育看護」の質の向上が求められる。

(3)養育を担う人

・養育とは、子どもが自分の存在について「生まれてきてよかった」と意識的・無意識的に思い、自信を持てるようになることを基本の目的とする。そのためには安心して自分を委ねられる大人の存在が必要となる。
・子どもの潜在可能性は、開かれた大人の存在によって引き出される。子どもの可能性に期待をいだきつつ寄り添う大人の存在は、これから大人に向かう子どもにとってのモデルとなる。
・ケアのはじまりは、家庭崩壊や親からの虐待に遭遇した子どもたちの背負わされた悲しみ苦痛に、どれだけ思いを馳せることができるかにある。子どもの親や
家族への理解はケアの「引き継ぎ」や「連続性」にとって重要な課題である。
・子どもたちを大切にしている大人の姿や、そこで育まれ、健やかに育っている子どもの姿にふれることで、親の変化も期待される。親のこころの中に、子ども
の変化を通して「愛」の循環が生まれるように支えていくことも大切である。
・養育者は、子どもたちに誠実にかかわりコミュニケーションを持てない心情や理屈では割り切れない情動に寄り添い、時間をかけ、心ひらくまで待つこと、か
かわっていくことを大事にしたい。分からないことは無理に分かろうと理論にあてはめて納得してしまうよりも、分からなさを大切にし、見つめ、かかわり、考え、思いやり、調べ、研究していくことで分かる部分を増やしていくようにする。その姿勢を持ち続けることが、気づきへの感性を磨くことになる。
・子どもの養育を担う専門性は、養育の場で生きた過程を通して培われ続けなければならない。経験によって得られた知識と技能は、現実の養育の場面と過程のなかで絶えず見直しを迫られることになるからである。養育には、子どもの
生活をトータルにとらえ、日常生活に根ざした養育のいとなみの質を追求する姿勢が求められる。

(4)家庭・里親への支援

①親子の関係調整

・子育てに課題がある、またかかわりが難しい保護者を含む支援を必要とする家族が増えており、アフターケアを含む親子との関係性や親子短期入所などの再構築支援機能の充実が必要である。

②親への支援

・子育ての不安、家庭生活の困難感、子育てのあり方等、保護者の悩みや抱えた課題を受け止め、解決に向けた手だてを共に考えるカウンセリングやコンサルテーション、他機関と協働による具体的な資源の提供等のソーシャルワーク等、家庭支援における専門機能の充実を図る。

③里親支援と関係調整

・乳児院は、里親支援の拠点としての地域支援機能が期待されている。家庭支援専門相談員に加え、里親支援専門相談員が、自らの施設の措置児童の里親委託を推進するのみならず、希望する地域の里親を登録して、相談やレスパイトを行うなど、継続的な支援体制を整備する。

(5)地域支援・地域連携

・地域社会は子どもと家庭の援助や支援においても重要な資源である。乳児院は、①家族・子どものサポートのために地域社会の諸資源を活用する、②ボランティア活動などの地域社会の資源を乳児院が活用する、③地域社会に対して子育て支援など乳児院機能を活用してもらうなど、地域社会にある他機関との連携に取り組んでいく。
・具体的には、保護者による養育が緊急的・一時的にできなくなった乳幼児を預かるショートステイ(短期入所生活援助事業)等の子育て支援機能は、虐待予防にも役立つ乳児院の重要な機能であり、今後とも推進を図る必要がある。

6.乳児院の将来像

(1)専門的機能、保護者支援・地域支援・子育て支援機能の充実

・乳児院は、乳幼児の生命を守り、その心身と社会性の健全な発達を促進する施設であり、地域の中で、その役割と使命は重要である。
・乳児院の将来像は、平成23年7月の社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会によるとりまとめ「社会的養護の課題と将来像」にあるように、乳幼児については里親委託等の家庭養護を優先させながら、乳児院は、①乳児について児童相談所から一時保護委託を受け、アセスメントを含めた一時保護を担う機能、②被虐待児・病児・障害児などに対する治療・療育的な専門的養育機能、③児童虐待防止のための保護者支援の機能、④地域の里親やファミリーホームを支援する機能、⑤地域の育児相談やショートステイ、トワイライトステイなどの子育て支援機能を充実させていく。
・乳児院の支援は、子ども・家族との出会いから再出発までの一連の支援過程に沿って展開されるものである。展開過程の節目ごとに、子どもや家庭のニーズをくみ取り、支援していくことが求められる。そのためには展開過程に即した適切なアセスメントを行うために、心理士も含めた良質なチームアプローチが求められる。

(2)養育単位の小規模化

・乳児院は、一部を除き、比較的小規模な施設が多く、乳児院における小規模化は、養育単位の小規模化が重要な課題である。
・乳幼児期の集団養育や交代制による養育は、心の発達への負の影響が大きいことから、養育単位の小規模化を推進し、落ち着いた雰囲気で安定した生活リズムといとなみによって、養育担当者との個別的で深い継続的な愛着関係を築き、乳幼児期からの非言語的コミュニケーションにより、情緒、社会性、言語をはじめ、全面的な発達を支援していく。

過去問

保育士試験 平成29年(2017年)前期 社会的養護 問34

次の【Ⅰ群】の各施設種別の運営指針の内容と【Ⅱ群】の施設種別名を結びつけた場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】

A  将来的には、本体施設のすべてを小規模グループケアにしていくとともに、本体施設の定員を少なくし、地域のグループホームに移していく方向が示された。

B  養育の基本は、子どもが養育者とともに、時と場所を共有し、共感し、応答性のある環境のなかで、生理的・心理的・社会的に要求が充足されることである。

C  施設は、高校進学などで子どもが不利益を被らないよう、施設内学校はもとより、出身学校(原籍校)や関係機関と連携しながら、対応する。

【Ⅱ群】

ア   児童養護施設
イ   母子生活支援施設
ウ   乳児院
エ   児童自立支援施設

1.( A )ア   ( B )イ   ( C )ウ 2.( A )ア   ( B )ウ   ( C )エ 3.( A )イ   ( B )ウ   ( C )エ 4.( A )エ   ( B )ア   ( C )イ 5.( A )エ   ( B )ア   ( C )ウ( )訂正依頼・報告はこちら
×
正解は 2Aの記述は、(ア)児童養護施設の説明です。(「児童養護施設運営指針」p9)。
「グループホーム」というのが児童養護施設の特徴的な制度です。

Bの記述は、(ウ)乳児院の説明です(「乳児院運営指針」p7)。

Cの記述は、(エ)児童自立支援施設の説明です(「児童自立支援施設運営指針」p8)。

よって、正解は2となります。

保育士試験 平成31年(2019年)前期 児童家庭福祉 問43

次の文は、「乳児院運営指針」(平成24年3月29日 厚生労働省)の第Ⅰ部「総論」の一部である。( A )∼( D )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

乳児院における養育の基本は、子どもが養育者とともに、時と場所を共有し、共感し、応答性のある( A 環境 )のなかで、生理的・心理的・( B 社会的 )に要求が充足されることである。家族、( C 地域社会 )と連携を密にし、豊かな人間関係を培い社会の一員として( D 参画 )できる基礎づくりを行っていくべきである。

1.A:関係  B:経済的  C:市区町村  D:参画 2.A:関係  B:社会的  C:市区町村  D:生活 3.A:環境  B:経済的  C:地域社会  D:生活 4.A:環境  B:社会的  C:地域社会  D:参画 5.A:関係  B:経済的  C:地域社会  D:生活( )訂正依頼・報告はこちら
×
正解は 4正解は4です。「乳児院運営指針」(平成24年3月29日 厚生労働省)の第Ⅰ部「総論」(2)養育のいとなみに記載されています。

乳児院運営指針「第Ⅰ部 総論 」10分で簡単理解する!」に5件のコメントがあります

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