乳児院運営指針の「第Ⅱ部 各論①」の要点 5分で済ませる!

乳児院運営指針総論からの続き

ここでは、乳児院運営指針そのものを掲載しました。児童福祉法等に共通していることは当たり前として、乳児院の特有のことや、過去問題で出題された部分を太字にして、短時間で運営指針をマスターすることを目的としています。

また児童養護施設と同様のものは背景にグレー表示をしています。

ボリュームはありますが、難しい内容ではないので、太字を中心に1度読んみるだけでマスターできることを目指しています。

1 養育・支援 

(1)養育・支援の基本

①子どものこころによりそいながら、子どもとの愛着関係を育む。

・保護者から離れて暮らす乳幼児が心身の成長のために欠かせない、特定のおとなとの愛着関係を築くために、保護者や担当養育者、里親等との個別のかかわりを持つことができる体制を整備する。
・日常の養育において「担当養育制」を行い、特別な配慮が必要な場合を除いて、基本的に入所から退所まで一貫した担当制とする。
・乳幼児に対する受容的・応答性の高いかかわりを心がける。
・被虐待経験のある乳幼児など特別な配慮が必要な乳幼児に対しては、個々の状態に応じた関係づくりを行う。

②子どもの遊びや食、生活体験に配慮し、豊かな生活を保障する。

・個々に応じて柔軟に遂行される日々のいとなみを心がける。
・安全で使いやすい遊具、満足しきれる養育者との遊びの時間や自然と触れ合える外遊びを養育者との十分な交流を交えて提供する。
・他児と区別された「自分のもの」といえる玩具、食器、衣類、戸棚など個別化を図る。


③子どもの発達を支援する環境を整える。

・子どもの心の発達が順調に進み、心理的に健康であるよう、子どもが安全であると感じ、安心感を持てるように配慮する。
・養育者は子どもの情緒の表出に心を響かせ、タイミングよく、仕草や言葉で応答し、子どもが、自分の思いを共有してもらう他者の存在を獲得できるようにする。

(2)食生活

①乳幼児に対して適切な授乳を行う。

・発達に応じた量や時間の間隔、排気のさせ方などの基本的な援助方法についてマニュアル等を作成し、施設内での共通理解を持つ。
・一人一人の乳幼児の個性やその日の体調などに合わせて個別に対応し、乳幼児が安心した状態でいられるように配慮する。
・乳幼児を抱きながら、目を合わせ、優しく言葉をかけ、授乳を行う。

②離乳食を進めるに際して十分な配慮を行う。

・基本的な知識・離乳食の意義・具体的な援助方法などについてマニュアル等を作成し、施設内での共通理解を持つ。

・個々の状態に合わせて離乳を開始し、様々な食べ物に慣れさせる。
・在胎期間も含め、入所に至るまでの経過や発育、発達状況を踏まえ、一人一人に合わせた食の取組を行う。

③食事がおいしく楽しく食べられるよう工夫する。

・乳幼児が自分で食べようとする意欲を育てられるように、おいしい食事をゆっくりと、くつろいで楽しい雰囲気で食べることができる環境づくりや配慮を行う。
・乳幼児の嗜好を把握し、献立に反映する。
・栄養士、調理員等が、食事の様子をみたり、介助するなか、一人一人の発育状況や体調を考慮した調理を工夫する。
・日々の食生活を通じて、①お腹がすくリズムがもてる、②食べたいもの、好きなものが増える、③一緒に食べたい人がいる、④食事づくり、準備にかかわる、

⑤食べ物を話題にする子どもを育てる。

・食後の歯みがきが習慣として定着するよう支援する。

④栄養管理に十分な注意を払う。

・乳幼児の体調、疾病、アレルギー等に配慮しながら、栄養士の専門的知識に基づいた献立作成を行う。
・残食調査を行うなど栄養摂取量の把握に努め、献立に反映する。

(3)衣生活

①気候や場面、発達に応じた清潔な衣類を提供し、適切な衣類管理を行う。

・気候や場面の変化や心身の発達に応じて清潔な衣類を提供し、乳幼児が常に快適な状態でいられるように支援する。
・材質、サイズ、動きやすさ、着脱のしやすさなどに配慮し、個々の発達状態に応じた衣類管理を行う。
・一人一人の乳幼児に個別に衣類を用意する。

(4)睡眠環境等

①乳幼児が十分な睡眠をとれるように工夫する。

・睡眠時の状況を観察し、安定した睡眠のために、個々の乳幼児の発達・心理や安全に配慮した支援を行う。
・安心した心地よい入眠やさわやかな目覚めを支援する。

②快適な睡眠環境を整えるように工夫する。

・環境面での不備が皮膚疾患や呼吸器系の疾病など直接健康を害する原因となり、心身の発達を妨げる要因となることを防ぐために、ベッド、寝具、照明、換気、室内の温度・湿度などについて環境整備を行う。

③快適な入浴・沐浴ができるようにする。

・乳幼児の年齢に適した入浴方法をとり、適切な入浴・沐浴によって清潔を保つ。
・養育者(担当職員)とのふれあいや心地よい体験から、基本的な信頼関係の育みや精神的安定・成長を支援する。

(5)発達段階に応じた支援

①乳幼児が排泄への意識を持てるように工夫する。

・おむつ交換のときに、言葉をかけながら身体をさするなどして、おむつ交換が心地よいものであることを伝える。
・発達段階に応じて、排泄への興味が持てるように配慮する。
・発達段階に応じて、おむつが濡れていないときは、便座に誘導するなど自分から便座に座る意欲を持てるように配慮する。
・発達段階に応じて、個々の幼児のリズムに合わせて誘導を行う。

②発達段階に応じて乳幼児が楽しく遊べるように工夫する。

・個々の乳幼児の発達状況や個性に配慮し、専門的視点から遊びの計画や玩具を用意し、遊びを通じた好奇心の育みや身体機能の発達を支援する。
・模倣遊びや職員や他の乳幼児とのふれあい遊びを通して、情緒の育成を図り、人との豊かなかかわりができるように配慮する。
・一部の玩具について個別化をするなど、家庭と異なる環境にある乳幼児に対しての細やかな配慮を行う。
・おもちゃの個別化を認め、個人別に収納場所を設け、自分の所有物という認識・喜びを与え、自分で片づけるという意欲を育てる。

(6)健康と安全

①一人一人の乳幼児の健康を管理し、異常がある場合には適切に対応する。

・体温測定やその評価法などの日常的な健康管理に関するマニュアルを作成するとともに、日々の健康観察記録を行い、一人一人の健康状態の変化を把握する。
・身体発育の状態や精神・運動発達・情緒的問題等について嘱託医による定期的・総合的な診察を行い、日常生活において異常所見が見られた場合には速やかに医師に相談するなど、医療機関との連携に取り組む。

②病・虚弱児等の健康管理について、日常生活上で適切な対応策をとる。

・日々の健康状態の把握や、服薬その他留意すべき事項の確実な実施に取り組み、状態が変化した場合には速やかに対応できる体制を整える。
・専門医との連携により、乳幼児の健康状態に応じた発達支援プログラムの作成や支援の実施、定例的な診断を行う。

③感染症などへの予防策を講じる。

・感染症に関する対応マニュアル等を作成し、感染症や食中毒が発生し、又は、まん延しないように必要な措置を講じるよう努める。また、あらかじめ関係機関の協力が得られるよう体制整備をしておく。
・乳幼児突然死症候群(SIDS)や窒息の予防策に関するマニュアルを整備し、職員の知識習得や応急処置のスキル向上のための取組を行う。

乳児院運営指針

(7)心理的ケア

①乳幼児と保護者に必要な心理的支援を行う。

・心理的な支援を必要とする乳幼児については、保護者への支援も視野に入れて、自立支援計画に基づき心理支援プログラムを策定する。
・施設で生活する乳幼児への心理的ケアだけでなく、親子関係の構築、家族との再統合など保護者への支援を行う。
・心理士を配置したり、必要に応じて外部の専門家から支援を受けるなどの体制を整備する。

(8)継続性とアフターケア

①措置変更又は受入れに当たり、継続性に配慮した対応を行う。

・子どもの特性を理解するための情報の共有化やケース会議を実施し、切れ目のない養育・支援に努める。
・退所先の地域の関係機関と連携し、退所後の生活が安定するよう努める。
・措置変更等に当たり、引き継ぎを行う施設、里親等と丁寧な連携を行う。そのため日頃より、それぞれの施設や里親の役割を十分に理解し、連絡協議会や合同研修会の開催など相互の連携に努める。
・継続的な支援を行うための育ちの記録を作成する。
・前任の養育者や施設の担当者から後任の者へ適切に引き継ぐ。

②家庭引き取りに当たって、子どもが家庭で安定した生活が送ることができるよう家庭復帰の支援を行う。

・退所に当たってはケース会議を開催し、保護者の意向を踏まえて、児童相談所や関係行政機関と協議のうえ、適切な退所時期や退所後の生活を検討する。
・子どもが退所する地域の関係機関と連携し、退所後の生活の支援体制の構築に努める。
・退所後も施設として保護者や子どもが相談できる窓口を設置し、保護者や子どもに伝える。

③子どもが安定した生活を送ることができるよう退所後の支援を行う。

・児童相談所との連携のなかで、退所後のリスクアセスメントを踏まえて十分な検討を行い、復帰後の安全性への確認と、危機的状況が生じた場合の対応について検討し、具体的な手立てを明確化しておく。
・子どもの状況や家庭の状況を把握し、退所後の記録を整備する。

2 家族への支援 

(1)家族とのつながり

①児童相談所と連携し、子どもと家族との関係調整を図ったり、家族からの相談に応じる体制づくりを行う。

・家庭支援専門相談員をケアワークとは独立した専門職として配置し、その役割を明示する。
・家族との関係調整については、定例的かつ必要に応じて児童相談所と家族の状況や入所後の経過について情報を共有し、適切な支援に向けた協議を行う。
・児童相談所と協働し、乳幼児と家族及び施設と家族とのつながりの維持と関係の調整を図る。
・乳幼児の協働養育者として、日常生活の様子を伝えたり、家庭訪問をする等して家族との協力関係を構築する。
・児童相談所と協働し、家庭内で虐待の発生につながるようなリスク要因を取り除くための手立てを検討する。
・児童相談所を中心とした他機関との協働により、虐待の未然防止と家族機能の再生に向けてのサービス資源の提供などのソーシャルワークを行う。

②子どもと家族の関係づくりのために、面会、外出、一時帰宅などを積極的に行う。

・一時帰宅は児童相談所と協議を行う。

面会、外出、施設宿泊、一時帰宅などを計画的に設定し、乳幼児と保護者との関係性が好転し、保護者の養育意欲が向上するよう支える。
帰宅や面会前後などの乳幼児の様子や保護者の言動に注意をはらい、不適切な状況に素早く気づけるよう努める。

(2)家族に対する支援

①親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組む。

・保護者の相談に積極的に応じるための保護者面接の設定等、専門的なカウンセリング機能の充実に努める。
・保護者と子どもとの愛着関係が築けるよう関係調整に向けた専門的アプローチを行う。
・課題の内容によっては適切な機関につなげられるよう、地域の精神、心理相談のできる機関を十分に把握し、連携をとる。
・家族の不安や抱えた心理的課題を受け止め、寄り添い、解決に向けた具体的な示唆ができるよう専門性を高める。
・面会時に親子関係再構築のために、保護者に適切な助言ができるよう専門性を高める。

3 自立支援計画、記録 

(1)アセスメントの実施と自立支援計画の策定

・子どもの心身の状況や生活状況、保護者の状況など家庭環境等の必要な情報を収集し、統一した様式に則って記録する。
・乳幼児については、かかわりながらの行動観察、保護者からの聞き取り、関係機関からの情報が重要であるため、児童相談所と連携し、乳幼児の疾患や障害の有無、妊娠期の状況、出産後の生育歴、乳幼児が生活していた家庭環境等の情報を把握する。
・家族についても、児童相談所と協働し、家族構成、家族状況等必要な情報を把握する。
・把握した情報を総合的に分析・把握し、課題を適切に把握する。
・アセスメントは、乳幼児の担当職員をはじめ、心理療法担当職員、家庭支援専門相談員などが参加するケース会議で合議して行う。

②アセスメントに基づいて子ども一人一人の自立支援計画を策定するための体制を確立し、実際に機能させる。

・自立支援計画策定の責任者(基幹的職員等)を設置する。

・発達理論、障害に関する等様々な科学的知見に基づいて、乳幼児の抱えている課題について理解を深める。
・関係性に関する理論や虐待発生のリスクやメカニズム等の知見に基づいて、家族の抱えている課題について理解を深める。
・乳幼児や家族の抱えている課題の理解に基づいて、自立支援計画をケース会議で合議して策定する。
・自立支援計画には、支援上の課題と、課題解決のための支援目標と、目標達成のための具体的な支援内容・方法を定める。
・策定された自立支援計画を、全職員で共有し、養育や支援は統一かつ総合されたものとする。
・アセスメントについて適切な理解を深めるために、職員は様々な理論や知見について学び、専門性を高めておく必要がある。施設はそのための職員研修の充実に努める。

③自立支援計画について、定期的に実施状況の振り返りや評価と計画の見直しを行う手順を施設として定め、実施する。

・自立支援計画の見直しは、保護者の意向を踏まえて、それらを反映させつつ、子どもの最善の利益を考慮して行う。
・計画の見直し時には、支援方法を振り返り、自己評価し、支援の成果について分析、検証を行い、専門性や技術の向上に反映させる仕組みを構築する。

・アセスメントと計画の評価・見直しは、少なくとも半年ごとに定期的に行い、かつ緊急の見直しなど必要に応じて行う。

(2)子どもの養育・支援に関する適切な記録

①子ども一人一人の養育・支援の実施状況を適切に記録する。

・入所からアフターケアまでの養育・支援の実施状況を、保護者等及び関係機関とのやりとり等を含めて適切に記録する。
・記録内容について職員間でばらつきが生じないよう工夫する。

②子どもや保護者等に関する記録の管理について、規程を定めるなど管理体制を確立し、適切に管理を行う。

・記録の管理について個人情報保護と情報開示の観点から、研修を実施する。
・守秘義務の遵守を職員に周知する。

③子どもや保護者等の状況等に関する情報を職員が共有するための具体的な取組を行う。

・施設における情報の流れを明確にし、情報の分別や必要な情報が的確に届く仕組みを整備する。
・施設の特性に応じて、ネットワークシステム等を利用して、情報を共有する仕組みを作る。

4 権利擁護 

(1)子どもの尊重と最善の利益の考慮

①子どもを尊重した養育・支援についての基本姿勢を明示し、施設内で共通の理解を持つための取組を行う。

・施設長や職員が子どもの権利擁護に関する施設内外の研修に参加し、人権感覚を磨くことで、施設全体で権利擁護の姿勢を持つ。
・子どもを尊重した姿勢を、個々の養育・支援の標準的な実施方法等に反映させる。

②社会的養護が子どもの最善の利益を目指して行われることを職員が共通して理解 し、日々の養育・支援において実践する。

・人権に配慮した養育・支援を行うために、職員一人一人の倫理観、人間性並びに職員としての職務及び責任の理解と自覚を持つ。
・施設全体の養育・支援の質の向上を図るため、職員一人一人が、養育実践や研修
を通じて専門性などを高めるとともに、養育実践や養育の内容に関する職員の共通理解や意見交換を図り、協働性を高めていく。
・職員同士の信頼関係とともに、職員と子ども及び職員と保護者との信頼関係を形
成していく中で、常に自己研鑽に努め、喜びや意欲を持って養育・支援に当たる。

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過去問

保育士試験 令和3年(2021年)後期 社会的養護 問4

次のうち、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和 23 年厚生省令第 63 号)におい て、児童自立支援計画の策定が義務づけられている施設として、正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A 乳児院
B 児童厚生施設
C 児童家庭支援センター
D 児童心理治療施設

保育士試験 平成30年(2018年)前期 社会的養護 問18

次の文のうち、「乳児院運営指針」の一部として正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

⚪︎ A  日常の養育において「担当養育制」を行い、特別な配慮が必要な場合を除いて、基本的に入所から退所まで一貫した担当制とする。

× B  施設の備品である玩具、食器、戸棚などは措置費で購入しているため、入所児童には自分の所有物という認識を持たせず、共有のものとして利用させる。

  • 施設で購入した備品でも、食器などは共有にせず個人で分けて使うことが望ましい。

⚪︎ C  個々の乳幼児の発達状況や個性に配慮し、専門的視点から遊びの計画や玩具を用意し、遊びを通じた好奇心の育みや身体機能の発達を支援する。

× D  施設は集団での生活であり、自立を目指しているため、日課で決められた食事の時間内に残さず食べることができるように訓練する。

  • 食べ方や食べるペースは個人差が大きいため、個々人に合わせて食事を進めることが望ましいです。

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