すべて児童養護施設運営指針「第Ⅱ部 各論②」と同じです。
目次
- 1 5 事故防止と安全対策
- 2 6 関係機関連携・地域支援
- 3 7 職員の資質向上
- 4 8 施設運営
- 4.1 (1)運営理念、基本方針の確立と周知
- 4.2 (2)中・長期的なビジョンと計画の策定
- 4.3 (3)施設長の責任とリーダーシップ
- 4.4 (4)経営状況の把握
- 4.5 (5)人事管理の体制整備
- 4.6 ①施設が目標とする養育・支援の質を確保するため、必要な人材や人員体制に関する具体的なプランを確立させ、それに基づいた人事管理を実施する。
- 4.7 ②客観的な基準に基づき、定期的な人事考課を行う。
- 4.8 ③職員の就業状況や意向を定期的に把握し、必要があれば改善する仕組みを構築する。
- 4.9 ④職員処遇の充実を図るため、福利厚生や健康を維持するための取組を積極的に行う。
- 4.10 (6)実習生の受入れ
- 4.11 (7)標準的な実施方法の確立
- 4.12 (8)評価と改善の取組
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5 事故防止と安全対策
①事故、感染症の発生時などの緊急時の子どもの安全確保のために、組織として体制を整備し、機能させる。
・事故発生対応マニュアル、衛生管理マニュアル等を作成し、職員に周知する。定期的に見直しを行う。
②災害時に対する子どもの安全確保のための取組を行う。
・立地条件等から災害の影響を把握し、建物・設備類の必要な対策を講じる。
・災害時の対応体制を整える。
・食料や備品類などの備蓄リストを作成し、備蓄を進める。
③子どもの安全を脅かす事例を組織として収集し、要因分析と対応策の検討を行い、子どもの安全確保のためのリスクを把握し、対策を実施する。
・安全確保・事故防止に関する研修を行う。
・災害や事故発生に備え、危険箇所の点検や避難訓練を実施する。
・外部からの不審者等の侵入防止のための対策や訓練など不測の事態に備えて対応を図るとともに、地域の関係機関等と連携し、必要な協力が得られるよう努める。
6 関係機関連携・地域支援
(1)関係機関等の連携
①施設の役割や機能を達成するために必要となる社会資源を明確にし、児童相談所など関係機関・団体の機能や連絡方法を体系的に明示し、その情報を職員間で共有する。
・地域の社会資源に関するリストや資料を作成し、職員間で情報の共有化を図る。
②児童相談所等の関係機関等との連携を適切に行い、定期的な連携の機会を確保し、具体的な課題や事例検討を行う。
・子どもや家族の支援について、関係機関等と協働して取り組む体制を確立する。
・地域の関係機関・団体のネットワーク内での共通の課題に対して、ケース会議や情報の共有等を行い、解決に向けて協働して具体的な取組を行う。
・児童相談所と施設は子どもや家族の情報を相互に提供する。
・要保護児童対策地域協議会などへ参画し、地域の課題を共有する。
(2)地域との交流
①子どもと地域との交流を大切にし、交流を広げるための地域への働きかけを行う。
・子どもが地域の行事や活動に参加する際、必要があれば職員やボランティアが支援を行う体制を整える。
・町内会、子ども会、老人会など地域の諸団体と連絡を取り、施設の行事に地域住民を招待する。
②施設が有する機能を、地域に開放・提供する取組を積極的に行う。
・地域へ向けて、理念や基本方針、施設で行っている活動等を説明した印刷物や広報誌等を配布し、地域の人々の理解を得ることやコミュニケーションを活発にする取組を行う。
・地域へ施設を開放するための規程を設け、施設のスペースを開放し、地域の活動の場として提供する。
③ボランティアの受入れに対する基本姿勢を明確にし、受入れについての体制を整備する。
・ボランティア受入れについて、登録手続き、事前説明等に関する項目などマニュアルを整備する。
・ボランティアに対して必要な研修を行う。
(3)地域支援
①地域の具体的な福祉のニーズを把握するための取組を積極的に行う。
・地域住民に対する相談事業を実施すること等を通じて、具体的な福祉ニーズの把握を行う。
・社会的養護の施設の責務を果たすべく、地域に対して開かれた施設運営を行う。
②地域の福祉のニーズに基づき、施設の機能を活かして地域の子育てを支援する事業や活動を行う。
・施設が有する専門性を活用し、地域の子育ての相談・助言や市町村の子育て事業の協力をする。
・地域の里親支援、子育て支援等に取組など、施設のソーシャルワーク機能を活用し、地域の拠点となる取組を行う。

7 職員の資質向上
①組織として職員の教育・研修に関する基本姿勢を明示する。
・施設が目指す養育を実現するため、基本方針や中・長期計画の中に、施設が職員に求める基本的姿勢や意識を明示する。
②職員一人一人について、基本姿勢に沿った教育・研修計画を策定し、計画に基づいた具体的な取組を行う。
・職員一人一人について、援助技術の水準、知識の質や量、専門資格の必要性などを把握する。
・施設内外の研修を体系的、計画的に実施するなど、職員の自己研鑽に必要な環境を確保する。
・職員一人一人が課題を持って主体的に学ぶとともに、他の職員や関係機関など、様々な人とのかかわりの中で共に学び合う環境を醸成する
③定期的に個別の教育・研修計画の評価・見直しを行い、次の研修計画に反映させる。
・研修を終了した職員は、報告レポートの作成や研修内容の報告会などで発表し、共有化する。
・研修成果を評価し、次の研修計画に反映させる。
④スーパービジョンの体制を確立し、施設全体として職員一人一人の援助技術の向上を支援する。
・施設長、基幹的職員、心理療法担当職員、家庭支援専門相談員などのスーパーバイザーに、いつでも相談できる体制を確立する。
・職員がひとりで問題を抱え込まないように、組織として対応する。
・職員相互が評価し、助言し合うことを通じて、職員一人一人が援助技術を向上させ、施設全体の養育・支援の質を向上させる。
8 施設運営
(1)運営理念、基本方針の確立と周知
①法人や施設の運営理念を明文化し、法人と施設の使命や役割を反映させる。
・理念には子どもの権利擁護や家庭的養護の推進の視点を盛り込み、施設の使命や方向、考え方を反映させる。
②法人や施設の運営理念に基づき、適切な内容の基本方針を明文化する。
・基本方針は、「乳児院運営指針」を踏まえて、理念と整合性があり、子どもの権利擁護や家庭的養護の推進の視点を盛り込み、職員の行動規範となる具体的な内容とする。
③運営理念や基本方針を職員に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行う。
④運営理念や基本方針を保護者等に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行う。
(2)中・長期的なビジョンと計画の策定
①施設の運営理念や基本方針の実現に向けた施設の中・長期計画を策定する。
・理念や基本方針の実現に向けた目標(ビジョン)を明確にし、養育・支援の内容や組織体制等の現状分析を行う。
・養育単位の小規模化による家庭的養護の推進や早期に家庭復帰が見込めない乳幼児には個々の状況に応じて里親委託を推進し、併せて里親支援機能の充実などの計画を明確にする。
・医療や療育の必要な子どもに対する専門的ケアや地域支援の拠点機能を強化し、地域の里親支援やショートステイなど家庭支援を行う体制を充実させる。
②各年度の事業計画を、中・長期計画の内容を反映して策定する。
③事業計画を、職員等の参画のもとで策定するとともに、実施状況の把握や評価・見直しを組織的に行う。
④事業計画を職員に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行う。
・事業計画をすべての職員に配布し、会議や研修において説明する。
⑤事業計画を保護者に配布するとともに、十分な理解を促すための取組を行う。
・事業計画をわかりやすく説明した資料を作成し、保護者への周知の方法に工夫や配慮をする。
(3)施設長の責任とリーダーシップ
①施設長は、自らの役割と責任を職員に対して明らかにし、専門性に裏打ちされた信念と組織内での信頼のもとにリーダーシップを発揮する。
・施設長は、社会的養護の使命を自覚し、自らの役割と責任について文書化するとともに、会議や研修において表明する。
・施設長は、職員の模範となるよう自己研鑽に励み、専門性の向上に努める。
②施設長自ら、遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行い、組織全体をリードする。
・施設長は、法令遵守の観点での施設運営に関する研修や勉強会に参加する。
・施設長は、職員に対して遵守すべき法令等を周知し、また遵守するための具体的な取り組みを行う。
③施設長は、養育・支援の質の向上に意欲を持ち、組織としての取組に十分な指導力を発揮する。
・施設長は、養育・支援の質の現状について定期的、継続的に評価・分析を行う。
・施設長は、養育・支援の質の向上について職員の意見を取り入れるとともに、施設内に具体的な体制を構築し、自らもその活動に積極的に参画する。
④施設長は、経営や業務の効率化と改善に向けた取組に十分な指導力を発揮する。
・施設長は、施設の理念や基本方針の実現に向けて、人員配置、職員の働きやすい環境整備等を行う。
・施設長は、経営や業務の効率化や改善のために施設内に具体的な体制を構築し、自らもその活動に積極的に参画する。
(4)経営状況の把握
①施設運営を取りまく環境を的確に把握するための取組を行う。
・施設運営を長期的視野に立って進めていくために、社会的養護の全体の動向、施設が位置する地域での福祉ニーズの動向、子どもの状況の変化、ニーズ等を把握する。
②運営状況を分析して課題を発見するとともに、改善に向けた取組を行う。
・運営状況や改善すべき課題について、職員に周知し、職員の意見を聞いたり、職員同士の検討の場を設定する等、施設全体での取り組みを行う。
③外部監査(外部の専門家による監査)を実施し、その結果に基づいた運営改善を実施する。
・事業規模に応じ、2年あるいは5年に1回程度、外部監査を受けることが望ましい。
(5)人事管理の体制整備
①施設が目標とする養育・支援の質を確保するため、必要な人材や人員体制に関する具体的なプランを確立させ、それに基づいた人事管理を実施する。
・各種加算職員の配置に積極的に取り組み、人員配置の充実に努める。
・職員が、各職種の専門性や役割を理解し合い、互いに連携して組織として養育・支援に取り組む体制を確立する。
・基幹的職員、家庭支援専門相談員、心理療法担当職員、里親支援専門相談員等の機能を活かす。
②客観的な基準に基づき、定期的な人事考課を行う。
③職員の就業状況や意向を定期的に把握し、必要があれば改善する仕組みを構築する。
・勤務時間、健康状況を把握し、職員が常に仕事に対して意欲的にのぞめるような環境を整える。
④職員処遇の充実を図るため、福利厚生や健康を維持するための取組を積極的に行う。
・職員の心身の健康に留意し、定期的に健康診断を行う。
(6)実習生の受入れ
①実習生の受入れと育成について、基本的な姿勢を明確にした体制を整備し、効果的なプログラムを用意する等積極的に取り組む。
・受入れの担当者やマニュアルを整えるとともに、受入れの意義や方針を全職員が理解する。
・学校等と連携しながら、実習内容全般を計画的に学べるプログラムを準備する。
(7)標準的な実施方法の確立
①養育・支援について、標準的な実施方法を文書化し、職員が共通の認識を持って行う。
・標準的な実施方法を職員に周知し、共通の認識を持って一定の水準の養育・支援を行う。
・マニュアルは、子どもの状態に応じて職員が個別に柔軟に対応できるものにする。
②標準的な実施方法について、定期的に検証し、必要な見直しを組織的に実施できるよう仕組みを定め、検証・見直しを行う。
・標準的な実施方法の見直しは、職員や保護者等の意見や提案、子どもの状況等に基づいて養育・支援の質の向上の観点から行う。
・見直しの時期は、少なくとも1年に1回は検証し必要な見直しを行う。
(8)評価と改善の取組
①施設運営や養育・支援の内容について、自己評価、第三者評価等、定期的に評価 を行う体制を整備し、機能させる。
・3年に1回以上第三者評価を受けるとともに、定められた評価基準に基づいて、毎年自己評価を実施する。
・職員の参画による評価結果の分析・検討する場を設け、実行する。
②評価の結果を分析し、施設として取り組むべき課題を明確にし、改善策や改善実施計画を立て実施する。
・分析・検討した結果やそれに基づく課題を文書化し、職員間で共有し、改善に取り組む。
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