試験によく出るのに、考え方がモヤッとしてて、段階がたくさんあり覚えるのが大変だなと思っていましたが、過去問を分析すると、覚えるというより、考え方を理解する方が近道であることがわかります。
細かい段階名まで保育士試験にでませんが、段階ごとの絵で理解するとわかりやすいので、まとめてみました。

Contents
ピアジェの感覚運動期(0~2歳)
第1段階(〜生後1か月)
生まれながらに持っている、吸う、声を出す、手のひらにふれたものをつかむといった反射的行動を行って環境に働きかけます。
シェマを獲得し、同化・調節を繰り返します。

〜用語解説〜
シェマ:認識の枠組み、心の中にある認知構造
同化:持っているシェマを外界のものにあてはめようとすること。
調節:シェマをつくりなおすこと
ある幼児が自宅にある自動車を「自動車のシェマ」として持っていました。
その幼児が隣の家の自動車を初めて見たとき、積極的にそれを「自動車のシェマ」にあてはめようとしますが、うまくはあてはまらなりません。
その時、幼児は「自動車のシェマ」をつくりなおし、自宅の自動車も隣の家の自動車も自動車として取り込めるような「自動車のシェマ」をつくりなおします。

このように、子どもが活動を通して知識を構成していくという能動性を重視し、主に物理的環境との相互作用を中心とする子ども個人の知的構成の理論を構成主義といいます。
簡単にいうと、子ども本人がシェマを同化して調節して構成していくことです。
これに対してヴィゴツキーの理論は社会構成主義といいます。
第2段階(1~4カ月)
シェマの協応がみられます。
第一次循環反応が形成されます。

〜用語解説〜
シェマの協応:いくつかの動作を組み合わせるようになること。例えば、物をつかんで口元に持ってきて、しゃぶるようなことです。
循環反応:たまたま出会い興味を持った結果をもう一度得ようとして、その活動を繰り返し行うこと。
第3段階(4~9カ月)
興味を持った物に向かって手を伸ばしてつかむようになっていきます。
第二次循環反応が形成されます。

第4段階(9~12カ月)
目標と手段が分化し、個々ばらばらであった反応が新しい意図的な行動体系に組み込まれるようになります。
「対象の永続性」が成立しはじめます。

〜用語解説〜

ただし、3ヶ月半の乳児でもものの永続性を獲得していることがその後の研究によりわかってきています。
この段階で1歳ちょうどです。
段階ごとの年齢は覚えず、前後関係を理解していれば問題は解けます。
「発達過程は1歳を基準にする」という記事ではここを基準としています
第5段階(12~18カ月)
目的を達するためにさまざまな手段を試してみます。
第三次循環反応が形成されます。

第6段階(18カ月~2年)
表象が成立します。

〜用語解説〜
表象:目の前にない事物を頭の中で再現する能力。実際に試してみなくても、頭の中で考えることができるようになります。
簡単にいうと、イメージとか画像のことです。

過去問
保育士試験 令和元年(2019年)後期 保育の心理学 問5
次のうち、ピアジェ(Piaget, J.)の考え方に関する記述として、適切なものを○、不適切なも のを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
× C 子どもが世界を認識していく過程には、量的に異なる4つの段階がある。
- 量的→質的
保育士試験 令和元年(2019年)後期 保育の心理学 問81
次の文において、ピアジェ(Piaget, J.)理論とその後の展開として( A )~( D )の用語が適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
ピアジェの理論に基づく(×A 社会的構成主義→構成主義)では、子どもが活動を通して知識を構成していくという能動性を重視する。主に物理的環境との相互作用を中心とする子ども個人の知的構成の理論である。発達の主体はあくまでも子ども自身である。子どもの内的な枠組みである(○B シェマ)と環境が与える情報とのズレを解消することで認知発達が促される。これを(×C 同化→調節)と呼ぶ。
ある発達段階に到達した子どもは、物理的事象でも社会的事象でも、共通した思考が適応できるとされ、領域一般性と名付けられた。しかしその後、領域によって発達の様相が異なることが多くの研究から明らかになってきた。これは(×D 領域特殊性)と呼ばれる。
4.A:× B:○ C:× D:×
A ×
子どもが主体的な活動を通して、能動的に知識を構成していくというピアジェの考え方は、(A:構成主義)として位置づけられています。
「社会的構成主義」は、ヴィゴツキーが提唱しました。学習者は、他者との交流などの社会を利用した学びを通じて発達していくという考え方です。
C ×
認知発達は、自身の持つシェマと環境から得られる情報との違いをなくしていくことで促されていきますが、これをピアジェ理論では、(C:調節)といいます。
同化とは、感覚や運動を通して外界の性質を自分に取り入れることをいいます。
D ×
認知発達の様子は、認知活動の対象となる領域によって、それぞれ固有なものがあり、(D:領域固有性)といわれています。
領域特殊性とは、ある領域で得た知識などが、その領域に限って役立ちますが、他の領域ではその様子が違っていることを指しています。
保育士試験 平成28年(2016年)前期 保育の心理学 問3
次の文は、ピアジェ(Piaget, J.)の理論に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A 物は隠れていても存在し続けているという物の永続性の理解は、ピアジェ(Piaget, J.)が提唱した月齢よりも早い時期であることがその後の研究によって示されている。
× B 誕生から3歳頃までの子どもは、触る、叩く、なめる等の感覚運動を通して世界を理解している。
- 誕生から2歳頃までと考えられています。この時期、自他の区別はありません。
× D 外界の対象に働きかける際に、その対象を自分に合うように変化させて、自分の内部に取り入れることを調節という。
- ピアジェは人が生まれてからいろいろなものを認知し、学んでいく過程を「シェマ」「同化」「調節」の3段階に分けました。このうち「調節」は、対象に合わせて自分の方を変えて、対象を取り込みやすくする働きです。
3.(A)○ (B)× (C)○ (D)×
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