目次
- 1 倉橋惣三は幼稚園に通う学生
- 2 倉橋惣三は研究熱心
- 3 倉橋惣三の活躍は雑誌から始まる
- 4 倉橋惣三著「幼稚園雑草」
- 5 倉橋惣三著「育ての心」
- 6 倉橋惣三著「幼稚園保育法真諦」
- 7 幼稚園真諦
- 8 過去問
- 8.1 保育士試験 令和2年(2020年)後期 保育原理 問15
- 8.2 保育士試験 平成30年(2018年)前期 保育原理 問17
- 8.3 保育士試験 平成29年(2017年)前期 保育原理 問6
- 8.4 保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 教育原理 問24
- 8.5 保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 保育原理 問16
- 8.6 保育士試験 平成28年(2016年)後期 教育原理 問25
- 8.7 保育士試験 平成27年(2015年) 保育原理 問4
- 8.8 保育士試験 平成26年(2014年) 保育原理 問4
- 8.9 保育士試験 平成24年(2012年) 保育原理 問101
- 8.10 保育士試験 平成23年(2011年) 教育原理 問125
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倉橋惣三は幼稚園に通う学生

静岡県出身です。
青年時代、武道や野球をしたりはせず、暇があれば東京女子高等師範学校附属幼稚園(現・お茶の水女子大学附属幼稚園)に通って子どもたちと遊ぶことをとても楽しみにしている青年でした。



ちなみに、東京女子高等師範学校出身は野口ゆかです。
倉橋惣三は研究熱心
その当時創刊間もなかった『児童研究』を、よく分かりもしないのに月々購読して喜んでいました。

そして、東京女子高等師範学校講師を経て、教授・主事に就任しました。
倉橋惣三の活躍は雑誌から始まる
児童文化に深い理解と関心を示し、児童雑誌『コドモノクニ』では編集顧問をつとめました。

倉橋惣三著「幼稚園雑草」

『キンダーブック』で人形芝居?

倉橋惣三は、創刊と編集にも関わりました。
「お茶の水人形座」を創設するなど人形芝居を保育界に広めました。
倉橋惣三著「育ての心」

この子どもの気持ちは,子どもの行為に現れるごく繊細で,小さな,わかりにくい中にあるものである。
その繊細さのため,大人にとっては,非常に見落とし安いものである。
だからこそ,それを見落とさない大人だけが,「子どもと共にいる人」である。
(略)
育ての心は相手を育てるばかりではない。
親と教育者とを育てる心である。
倉橋惣三著「幼稚園保育法真諦」

幼稚園では恩物は使ってはいるものの、堅苦しく、フレーベルの精神を忘れて、恩物のみを使った幼稚園を疑う。
(略)
子供が日々幼稚園へ来てその日何をするかはあらかじめきめられません。
幼稚園として、先ず用意して置けるものは誘導準備だけです。
誘導以外のことは、子供が来てからのことです。
子供が来たら、こういうふうに指導をしようと考えておきましても、幼児自らがどういう活動をするかを見なくてはいけません。
ただし、ある活動にはどのような誘導がよいかという一般的な場合では、広く研究されてますから、機会に応じて誘導保育案を実行していくことは、幼稚園の普段の心がけだと思うのであります。
幼稚園真諦

子どもの生き生きしさや心持ちを大切にし、幼児生活の価値を認め、幼児の生活を保障することの必要性を提唱しました。
自分の生活に或系統をつけた時に、生活興味が起つて来ると云ふ大きな問題であります。
子どもの生活の中に保育者が教育目的を持ちながら近づき、その生活が充実するように導く「生活を生活で生活へ」という説を提唱しました。
子どもの生活を或中心へ結び付けさせて行く事が出来るならば、幼児の興味を深からしめ、又幼児の生活を、一層生活として発展させて行く事が出来ます。
すなはちここに誘導の問題が起こって来るのであります。
指導だけならば、
「ああそれかい。それを斯うしようとするのかい。ブランコを漕ぎたいのかい。絵が書きたいのかい。」
と言つてその時その子を指導していればいいのですが、誘導はそれ以上のことです。
子どもたちのさながらの生活を重視したことで「さながら保育」とも呼ばれます。
幼児の生活を「さながらにしておく」ことが大切であるとし、そこでの幼児の自発生活を尊重しました。
「真諦」とは、根本にあることです。
「さながら」とは、そのものということです。
ちなみに生活がキーワードとなるのは、ペスタロッチとデューイです。
子供賛歌

倉橋惣三は児童の自発性を尊重する児童中心主義と呼ばれました。(社会中心主義は城戸番太郎)
皇太子殿下(現 上皇陛下)が小学校に上がるまでの2年間、遊び相手を務めました。
戦後は幼児教育内容調査委員会の委員として、「保育要領」の作成に携わりました。
文部省から出された幼児教育の手引書で、幼稚園のみならず保育所や子どもを育てる母親を対象とする幅広い手引書となりました。
今の保育所保育指針にある「自発的」という言葉は倉橋惣三の影響です。

過去問
保育士試験 令和2年(2020年)後期 保育原理 問15
次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の語句を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
C 1948(昭和23 )年に文部省から出された幼児教育の手引書で、幼稚園のみならず保育所や子どもを育てる母親を対象とする幅広い手引書となった。
- 保育要領:倉橋惣三を中心に作成された、幼稚園・保育所・家庭での手引き書です。倉橋惣三は、東京女子高等師範学校付属幼稚園の主事です。記述文Aの幼稚園保育及設備規程の制定以前は、既存の幼稚園はみな、氏の幼稚園の園則に従い運営されていました。
【Ⅱ群】
ア 保育要領
保育士試験 平成30年(2018年)前期 保育原理 問17
次の文は、倉橋惣三に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A 児童文化に関心を持ち、『キンダーブック』の1927( 昭和2 )年の創刊・編集に携わったり、「お茶の水人形座」を創設するなど人形芝居を保育界に広めた。
○ B 子どもの生き生きしさや心持ちを大切にし、子どもの生活の中に保育者が教育目的を持ちながら近づき、その生活が充実するように導く「生活を生活で生活へ」という説を提唱した。
○ C 1934( 昭和9 )年発刊の『幼稚園保育法真諦』において、子どもの興味に即した主題を持たせながらその生活や活動をさらに発展させるような保育方法として「誘導」の考え方を提唱した。
× D 戦後は教育刷新委員会の委員となり、「幼稚園教育要領」の作成に関わるなどし、戦後の新教育の建設に貢献した。
- 教育刷新委員会は、戦後、GHQの要請により設立されました。委員長・安倍能成、副委員長・南原繁らにより運営されました。
保育士試験 平成29年(2017年)前期 保育原理 問6
次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の人名を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
A 静岡県出身の心理学者で、児童文化に深い理解と関心を示し、1922(大正11)年に創刊された『コドモノクニ』では編集顧問をつとめ、『キンダーブック』の1927(昭和2)年の創刊と編集にも関わった。
- 倉橋惣三:児童中心主義で、「生活を、生活で、生活へ」と導く誘導保育で有名です。フレーベル思想(教育遊具の恩物を用いて、遊びで発達を促す)の誤った実践を批判し、本来のフレーベル思想を世に広めました。
【Ⅱ群】
ア倉橋惣三
保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 教育原理 問24
次の文の著者として、正しいものを一つ選びなさい。
自分の生活に或系統をつけた時に、生活興味が起つて来ると云ふ大きな問題であります。其の意味からしまして、幼児をして断片の生活を或中心へ結び付けさせて行く事が出来るならば、幼児の興味を深からしめ、又幼児の生活を、一層生活として発展させて行く事が出来ます。すなはち此所に誘導の問題が起つて来るのであります。指導だけならば「ああそれかい。それを斯うしようとするのかい。ブランコを漕ぎ度いのかい。絵が書き度いのかい。」と言つてその時その子を指導して居ればいゝのですが、誘導はそれ以上のことです。
4.倉橋惣三
保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 保育原理 問16
次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の人名を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
C 1934( 昭和9 )年に出された『幼稚園保育法真諦』において「フレーベルの精神を忘れて、その方法の末のみを伝統化した幼稚園を疑う」と述べて、当時普及していた恩物中心の保育を批判し、子どもの生き生きしさや心もちを大切にする保育を提唱した。
【Ⅱ群】
ア 倉橋惣三
- 倉橋惣三:1934( 昭和9 )年に出された『幼稚園保育法真諦』において「フレーベルの精神を忘れて、その方法の末のみを伝統化した幼稚園を疑う」と述べて、当時普及していた恩物中心の保育を批判し、子どもの生き生きしさや心もちを大切にする保育を提唱したのは「倉橋惣三」です。
保育士試験 平成28年(2016年)後期 教育原理 問25
次の文の著者として正しいものを一つ選びなさい。
子供が日々幼稚園へ来てその日何をするかはあらかじめきめられません。幼稚園として、先ず用意して置けるものは誘導準備だけです。誘導以外のことは、子供が来てからのことであります。子供が来たらば、こういうふうに充実指導をしてやろうと考えて置きましても、幼児自らがどういう活動をするかを見なくてはどう充実してやるべきかわかりません。ただしどういう活動にはどういうふうな誘導を与えてやるかということは、個々の場合を離れて広く研究しておかれることですから、機会に応じて誘導保育案を実行していくことは、幼稚園の平生の心がけだと思うのであります。
3.倉橋惣三
- 大正から昭和にかけて児童中心主義の理論と実践を指導。東京女子高等師範学校付属幼稚園の主事。恩物中心の形式主義的保育を批判し、幼児の生活自体を基本とする「誘導的保育論」を提唱した。
正解は 3
保育士試験 平成27年(2015年) 保育原理 問4
次の文のうち、倉橋惣三の著作『育ての心』の一部として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A 子どもの心もちは、極めてかすかに、極めて短い。濃い心もち、久しい心もちは、誰でも見落とさない。かすかにして短き心もちを見落とさない人だけが、子どもと俱にいる人である。
○ C 教育はお互いである。それも知識を持てるものが、知識を持たぬものを教えてゆく意味では、或いは一方が与えるだけである。しかし、人が人に触れてゆく意味では、両方が、与えもし与えられもする。
保育士試験 平成26年(2014年) 保育原理 問4
次の文は、日本における保育の先駆者についての記述である。適切な記述を選びなさい。
○ 1.倉橋惣三は、幼児教育内容調査委員会の委員として、1948(昭和23)年刊行の「保育要領」の作成に携わった。
保育士試験 平成24年(2012年) 保育原理 問101
次の文は、倉橋惣三についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A 幼児生活の価値を認め、幼児の生活を保障することの必要性を提唱した。
○ B 幼児の生活を「さながらにしておく」ことが大切であるとし、そこでの幼児の自発生活を尊重した。
× C 『幼稚園雑草』『育ての心』『幼児教育書簡』など多数の著作がある。
- 「幼稚園雑草」「育ての心」「キンダーブック」等の数々の著書はありますが、「幼児教育書簡」はペスタロッチの著書です。
○ D:1917年に東京女子高等師範学校の教授になったと同時に東京女子高等師範学校の主事となりました。
保育士試験 平成23年(2011年) 教育原理 問125
次の文は、倉橋惣三に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。
○ 1.東京女子高等師範学校教授となり、附属幼稚園主事として活躍した。
○ 2.幼児の自発性を尊重した保育理論を展開し、「生活を、生活で、生活へ」という有名な言葉を残した。
○ 3.彼の幼児教育の方法は誘導保育と呼ばれる。
○ 5.代表的著作には、『幼稚園雑草』、『育ての心』、『幼稚園真諦』、『子供賛歌』などがある。