生活保護法の8扶助・生活困窮者と低所得との違い

生活保護受給者であっても、生活困窮者であっても、生活課題などは共通するものがあるので、事業内容は変わりません。

さらには一体として事業を実施したほうが効率が良いです。

生活保護法ができるまで

生活保護法とは?

国民は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障されてるのに、メンタリストdaigoさんが「生活保護受給者より猫を助けて欲しい」と発言し、バッシングを受けてます。

どんな人が受けてるの?

傷病が生活保護のきっかけとなる場合が多く、その多くか高齢者世帯です。

生活保護の基本原則の一つに、『申請保護の原則』があげられます。

これは、保護は基本的に本人や家族、同居の親族等の申請により開始するという意味です。 

生活保護を受けたくない方がたくさんいます。

お気に入りの車を持っていたら売らなきゃいけないですし、不必要な買物はしてはいけません。

審査だって厳しい!

生活保護基準を定めるのは、厚生労働大臣です。基準に基づき都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長が審査しますが、条件は厳しいものがあります。

基本原理の一つに、「保護の補足性」の原理があります

自分持っている資産や能力などのあらゆるものを優先的に活用し、それでもなお最低限度の生活が維持されない場合にその不足分を補うということです。

収入が少しあったとしても最低生活費の不足分を支給されるだけです。

収入に母子父子寡婦福祉資金等があったら引かれますし、世帯の誰かにちょっとした収入があればその分も引かれます。

出典山口県HP
※最低生活費を収入が超えると生活保護を受けれない。

このような厳しい状況に陥らないよう生活自立支援法により一歩手前で助ける仕組みです。

受給者は200万人も!

受給者は全国で約200万人です。

人数に毎年大きな変動はありませんが、人口は減っているので人口比は徐々に上がっています

さらに、高齢者世帯が一貫して増加傾向にあります。

8つの扶助とは?

受給金額を算定式により算出し、母子加算などをしてから決定します。

生活扶助

日々の暮らしにかかる食費、被服費、光熱費などがもらえる制度です。

事例(東京都)

事例はイメージするためのもので、金額を覚える必要はありません。

  • 3人世帯(33歳、29歳、4歳) :158,900円
  • 高齢者単身世帯(68歳)   : 79,550円
  • 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳):120,410円
  • 母子世帯(30歳、4歳、2歳) :189,190円

支給ができない場合は下記の施設に入ります。

  • 救護施設
  • 更生施設
  • 日常生活支援施設(生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業)

この3つは社会福祉法上の第二種社会福祉事業にも登場します。

教育扶助

教育扶助の範囲について、第13条で、学用品、通学用品、学校給食等、義務教育に伴って必要なものと定められています。

幼稚園は義務教育ではないため、対象にはなりません。

医療扶助

生活保護に要する費用のうち、約半数を医療扶助が占めています。

病院に行ったときの最後の会計での支払いがなく、現物支給です。

介護扶助

介護サービスを受けたときの最後の会計での支払いがなく、現物支給です。

住宅扶助

住宅扶助の範囲について、第14条で 1.住居2.補修その他住宅の維持のために必要なものと定められています。

事例(東京都)
  • 3人世帯(33歳、29歳、4歳)69,800円
  • 高齢者単身世帯(68歳)  59,700円
  • 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)64,000円
  • 母子世帯(30歳、4歳、2歳)69,800円

支給ができない場合は下記の施設に入ります。

  • 宿所提供施設(生活困難者を 無料または低額な料金で入所 させて生活の扶助を行う施設)

これは社会福祉法上の第一種社会福祉事業にも登場します。

出産扶助

現金支給です。出産扶助の記事はこちら

生業扶助

技能習得費などかあります。

葬祭扶助

生計困難者に対して助葬を行う事業です。

生活困窮者とは?

生活困窮者は引きこもり等で仕事につくことができず、低所得で生活をやりくりできてない人です。このままいくと、生活保護になるので、いろいろな対策が実施されています。

低所得者とは?

低所得者は、年間200万円以下で資産もない人です。中には生活がやりくりできている人もいます。

先日、コロナ対策として低所得の子育て世帯に給付金がでました。

住宅確保給付金と宿所場所供与、低所得者と生活困窮者の違い

過去問

保育士試験 令和4年(2022年)前期 社会福祉 問6

次の社会福祉施策と、その根拠となる法律の組み合わせとして、適切な組み合わせを一つ選び
なさい。

× C 教育扶助の給付 ―――――― 「児童福祉法」

  • 教育扶助は生活保護法の8扶助のひとつです。

保育士試験 令和3年(2021年)後期 社会福祉 問64

次の文のうち、生活保護制度に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

× A  小学校の学校給食費は、扶助の対象外である。

  • 生活保護法の「教育」において義務教育を受けるために必要な学用品費を支給する「教育扶助」があります。小学校の学校給食はこちらに該当するため扶助の対象になります。

× B  要介護者に対する介護は、扶助の対象外である。

  • 生活保護法の「介護」において介護サービスの費用を支給する「介護扶助」あります。要介護者への介護はこちらに該当するため扶助の対象になります。

× C  救護施設は、医療を必要とする要保護者に対して、医療の給付を行うことを目的としている。

  • 救護施設は「身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設」のことを指します。

 医療を必要とする要保護者に対して、医療の給付は医療サービスの費用を支給する医療扶助に該当します。

○ D  宿所提供施設は、住居のない要保護者の世帯を対象としている。

  • 問題文の通り、宿泊提供施設とは「住居のない要保護者の世帯に対して、住居扶助を行うことを目的とする施設」と定義されています。

保育士試験 平成31年(2019年)前期 社会福祉 問62

次の文は、ひとり親家庭の現状と対策に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

× C  生活保護を受給している父子家庭は、母子加算を受けることができない。

  • 生活保護を受給している父子家庭は、ひとり親世帯なので、母子加算を受けることはできます。

保育士試験 平成31年(2019年)前期 社会福祉 問60

次の文は、社会福祉の概念等に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

× A  「生活保護法」の第1条には、「社会福祉法の理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障すること」が、定められている。

  • 社会福祉法ではなく日本国憲法25条です。第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

保育士試験 平成30年(2018年)後期 社会福祉 問69

次の文は、社会福祉行財政に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ C  2015(平成27)年度の生活保護に要する費用のうち、約半数を医療扶助が占めている。

保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 社会福祉 問67

次の文は、生活保護制度に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  生活保護制度の基本原理の一つに、「保護の補足性」の原理がある。

○ B  生活保護制度の原則の一つに、「申請保護の原則」がある。

○ C  生活保護制度の扶助の種類の一つに、「教育扶助」がある。

× D  生活保護制度の扶助の給付方法は、金銭給付のみである。

○ E  近年の生活保護制度の世帯類型別の被保護世帯数の動向は、高齢者世帯が一貫して増加傾向にある。

保育士試験 平成26年(2014年) 社会福祉 問70

次の文は、「生活保護法」に関する記述である。適切な記述を選びなさい。

× 1.幼稚園の教育費は教育扶助の対象になる。

  • 教育扶助の範囲について、第13条で、学用品、通学用品、学校給食等、義務教育に伴って必要なものと定められています。幼稚園は義務教育ではないため、対象にはなりません。

○ 2.技能習得費は生業扶助の対象になる。

× 3.医療扶助は原則として現金給付で行われる。

  • 医療扶助は原則として現物給付で行われます。(第34条)

× 4.住宅の補修などは住宅扶助の対象とはならない。

  • 住宅扶助の範囲について、第14条で 1.住居2.補修その他住宅の維持のために必要なものと定められています。

保育士試験 平成25年(2013年) 社会福祉 問69

次の文は、生活保護に関する記述である。適切な記述を一つ選びなさい。

○ 1.生活保護の目的は、最低生活の保障と自立助長である。

× 2.生活保護における生活保護基準は、都道府県知事が定める。

  • 生活保護基準を定めるのは、都道府県知事ではなく、厚生労働大臣です。生活保護法第8条で、「要保護者の年齢別や性別、所在地域等の必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすのに十分なもの、且つそれをこえないもの」とされています。

× 3.生活保護は個人を単位としてその要否や程度を決定することを原則としている。

  • 生活保護の単位は、個人ではなく、世帯が原則となります。

× 4.生活保護の実施機関は、市町村である。

  • 生活保護の実施機関は市町村ではなく、都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長と規定されています。

× 5.生活保護による扶助は、すべて金銭給付が原則である。

  • 生活保護には生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類がありますが、そのうち医療扶助と介護扶助に関しては現物給付が原則とされています。

保育士試験 平成25年(2013年) 社会福祉 問68

次の組み合わせは、社会福祉施設とその根拠となる法律の組み合わせである。適切な組み合わせを一つ選びなさい。

× 1.救護施設       ——- 障害者総合支援法

  • 救護施設の根拠法は、「生活保護法」です。救護施設とは、身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設です。

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