この資料は令和4年後期試験に対応しています。
日本の子どもの貧困率が高いことが国際的に浮き彫りに!
OECD 加盟国の中で、子どもの貧困率が34カ国中25位であることが判明。
貧困している世帯はひとり親世帯が多い

- 全世帯員 の相対的貧困率16%程度
- 子ども の 貧困率14%程度
- 子どもがいる現役世帯の相対的貧困率13%程度①
①のうち
- 大人が一人(ひとり親)50%程度
- 大人が二人以上 10%程度
つまり、総人口の16%(大人2%・子ども14%)が貧困しているということです。
子どもがいる現役世帯の13%が貧困世帯で(子ども7人のうち1人が貧困)、うち半分がひとり親世帯ということです。
相対的貧困率の貧困線とは、等価可処分所得の中央値の半分の額を指します。
つまり、「使えるお金」が平均の半分しかないということです。
子どもの貧困率の貧困線とは、必要な額のことをいい、国が定めています。子どもが多ければ必要な額は上がります。
子どもがいる現役世帯の相対的貧困率とは、母数が世帯数です。
ひとり親世帯はなぜ貧困?ひとり親になった理由から確認しよう!

母子世帯になった理由は「死別」が8%、「生別」が91 %(約9割)となっている。
父子世帯になった理由は、「死別」が 19.0 %、「生別」が 80.0 %(8割)となっている。
母子・父子世帯ともに、生別のほとんどが離婚ですが、国際的にみても離婚件数は少ないので、解消しづらい状況です。


ひとり親世帯の就業状況
~ 就業率は増加 ~
母子世帯の母の就業状況をみると、81.8 %(約8割)が就業している。
OECD 加盟国のひとり親の就業率に比べ、日本のひとり親の就業率は高いです。
ひとり親世帯の平均年間収入
- 母自身の平均年間 収入 243 万円(約250万円)
- 母自身の平均年間就労収入 200万円
- 世帯 の平均年間 収入 348 万円(約350万円)
母子世帯の世帯の平均年間収入( 348 万円)は、国民生活基礎調査による児童のいる世帯の平均所得を100として比較すると、49.2(約5割)となっている。
OECD 加盟国のひとり親の収入に比べ、日本の母子世帯のひとり親の収入は低いです。
ちなみに父自身の平均年間就労収入は母自身よりは高いですがまだまだ足りません。
- 父自身の平均年間就労収入 398万円(約400万円)
就労収入:就労による収入
収入:就労収入と児童扶養手当と養育費をあわせたもの
世帯の平均年間収入:同居親族の収入を含む
ひとり親世帯の正規の職員・従業員の割合
就業している母のうちの割合は
- 正規の職員・従業員 約5割
- パート・アルバイト等 約5割
離婚によるひとり親世帯の養育費の状況
~ 取り決め率は増加、受給率は母子世帯で増加 ~
養育費の取り決め状況は、「取り決めをしている」が 母子世帯で 42.9 %(約4割)となっている。
ひとり親世帯の親と末子の年齢
末子の年齢は、母子・父子世帯とも(約15〜17歳)が最も多い。
結論
日本の貧困をなくすには、ひとり親が貧困を解消することが近道です。
ひとり親が貧困になってしまうのは、パート・アルバイトの収入が低いことではないかと言われています。
働ける時間が限られているため、パート・アルバイトで収入を得ようすることが多いのです。
それを解消するための事業は下記のとおりです。
- 家事を代行してもらう日常生活支援事業
- 夕方に子どもを預かって学習支援や食事の提供等をする生活向上事業
- マザーズハローワークでの就労支援事業
また養育費がないことも問題です。取り決めのあっせんをしてもらいます。
- 相談・支援をする母子・父子自立支援員
支出についても、1番教育費がかかる時期です。それを解消するための事業は下記のとおりです。
- 資金貸付

過去問
保育士試験 令和3年(2021年)後期 子ども家庭福祉 問55
次のうち、日本と諸外国の子ども家庭福祉に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A 「ひとり親家庭等の支援について」(平成30年厚生労働省)によると、OECD 加盟国のひとり親家庭の親の就業率に比べ、日本のひとり親家庭の親の就業率は高いことが示されている。
保育士試験 令和3年(2021年)前期 子ども家庭福祉 問59
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
Hさんはひとり親で、1歳9か月のL君を養育しながら、J保育所を利用している。L君の担当のK保育士は、L君がいつも朝ご飯を食べていないこと、洗濯をしていない同じ服をよく着ていること、あまり風呂に入っていないことを気にしており、Hさんに家での様子や関わり方を聞こうとしてもいつも疲れた様子で、「ちゃんと育児はしている」と言われるばかりである。また、Hさんは持病があり、仕事を続けて休むことがある。K保育士は、保育所長に対応を相談したところ、保育所長からは「Hさんは、子育てと仕事の両立が大変なのかもしれない。少しでも負担を軽減できる方法を提案してみてはどうか。」とアドバイスされた。
【設問】K保育士がHさんに利用を勧める事業として、最も不適切なものを一つ選びなさい。
○ 2.ひとり親家庭等生活向上事業
保育士試験 令和2年(2020年)後期 社会福祉 問73
次のうち、事業名と、このことが定められている法律名の組み合わせとして不適切なものを一つ選びなさい。
○ 3.母子家庭日常生活支援事業 「母子及び父子並びに寡婦福祉法」
保育士試験 平成31年(2019年)前期 社会福祉 問62
次の文は、ひとり親家庭の現状と対策に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ D ひとり親家庭の児童に対する母子家庭生活向上事業(ひとり親家庭等生活向上事業)には、児童に対する学習に関する支援を行う事業が認められている。
保育士試験 平成31年(2019年)前期 社会福祉 問62
次の文は、ひとり親家庭の現状と対策に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A 「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(厚生労働省)によると、母子世帯の母自身の平均年間就労収入は、200万円以下である。
○ B 「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(厚生労働省)によると、母子世帯の平均年間収入は、児童のいる世帯の平均所得を100として比較すると、50を割っている。
保育士試験 平成30年(2018年)前期 社会福祉 問64
次の文は、子どもの貧困問題への対応に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ D 「母子及び父子並びに寡婦福祉法」は、ひとり親家庭の子どもの生活の向上を図るための事業として、生活に関する相談に応じ、又は学習に関する支援を行うことができると規定している。
保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 児童家庭福祉 問44
次の文は、「平成27年度子供の貧困の状況と子供の貧困対策の実施状況」( 内閣府 )についての記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。
○ 2.子供の相対的貧困率は15%を超えていた。
× 3.全世帯での相対的貧困率は約16%であるのに対し、子供がいる現役世帯のうち大人が一人の場合の相対的貧困率は80%を超えていた。
- 子供がいる現役世帯のうち大人が一人の場合の相対的貧困率は54.6%です。
保育士試験 平成28年(2016年)前期 児童家庭福祉 問59
次の文は、わが国の子どもの貧困に関する記述である。誤ったものを一つ選びなさい。
○5.相対的貧困率の貧困線とは、等価可処分所得の中央値の半分の額を指し、「子どもの貧困率」は、等価可処分所得が貧困線に満たない17歳以下の子どもの割合を指す。
保育士試験 平成27年(2015年) 児童家庭福祉 問57
次の文は、現代の子どもと家庭の状況に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A わが国の子どもの相対的貧困率は、平成24 年には約16%となり、約6~7人に1人が該当する。
- 平成27年度版 子ども・若者白書によると「子どもの相対的貧困率は平成24(2012)年には16.3%となっている。」という記述があるので○です。→13.5%
× B 平成24 年の子どもがいる現役世帯の相対的貧困率は約15%であり、そのうち、ひとり親家庭を含む「大人が1人」の世帯の相対的貧困率は約30%である。
- 子供がいる現役世帯の相対的貧困率は15.1%→12.6%であり、そのうち,大人が1人の世帯の相対的貧困率が54.6%→45.1%であるため、×です。
保育士試験 平成27年(2015年) 児童家庭福祉 問55
次の文は、厚生労働省による「平成23 年度全国母子世帯等調査結果報告」における母子世帯等の実態に関する記述である。正しいものを一つ選びなさい。
× 1.父子世帯になった理由として最も多いのは「死別」である。
- 1は、父子世帯になった理由で1番多いのは「離婚」で74.3%のため誤りです。ちなみに死別は16.8%です。
× 2.母子世帯になったときの末子の年齢階級は、12 ~ 14 歳が最も多い。
- 母子世帯になったときの末子の年齢階級は、15~17 歳が最も多い。
× 3.平均年間収入(自身の収入)は、母子世帯、父子世帯ともに200 万円程度であり、ほとんど変わらない。
- 平均年間年収は、父子世帯380万円で、母子世帯は223万円です。そのため、100万円以上の差がありほとんど差が無いとはいえないため誤りです。
× 4.母子世帯の母では、60%以上が前夫等との養育費について取り決めを行っている。
- 4は、母子世帯で養育費の取り決めをしているのは、37.7%なので、6割以上が取り決めをしているという文章には該当しないため誤りです。
○ 5.母子世帯の母の80%以上が就業しているが、「パート・アルバイト等」がその約半分を占めている。
正解は 5
保育士試験 平成24年(2012年) 児童福祉 問38
次の文は、ひとり親家庭へのサービスについての記述である。正しいものを一つ選びなさい。
× 1.ひとり親家庭の親が一時的に生活援助や保育サービスが必要となった場合、家庭生活支援員を派遣し、あるいは家庭生活支援員の居宅等において児童の世話等を行う子育て支援短期利用事業が実施されている。
- ひとり親家庭には「母子家庭等日常生活支援事業」があります。
× 2.母子ともに入所させ、保護し、その自立促進のために生活を支援する施設として、「児童福祉法」に基づく母子福祉施設である母子福祉センターが設置されている。
- 児童福祉法に基づいて、母子が入所して保護支援を受けられるのは「母子生活支援施設」です。「母子福祉センター」は、母子及び寡婦福祉法に基づいて、相談、指導を行っています。
× 3.2006(平成18)年から、ハローワークとマザーズハローワークが統合され、すべてのハローワークで児童を連れて就業相談を受けたり、保育所に関する情報提供を受けたりすることができるようになった。
- マザーズハローワークとハローワークは別です。マザーズハローワークでは子育てをしながらの就労相談ができます。ハローワーク内にマザーズコーナーが設けられている場合もあります。
○ 4.「母子及び寡婦福祉法」には、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの又はその扶養している児童に対し、配偶者のない女子の経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせてその扶養している児童の福祉を増進するための資金貸付の制度がある。
× 5.母子自立支援員の業務は、母子家庭の子育てと生活支援であり、就業相談や養育費の相談業務は含まない。
- 母子自立支援員は、配偶者のいない子育てをする女性に対し、自立のための就労支援も行います。

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