貧困率、ひとり親世帯の数字の意味とは?!貧困3原因「最新版」

この資料は2023令和5年後期試験に対応しています。

目次

まずは児童の権利に関する条約から

児童の権利に関する条約により生存権が保障されています。

日本の子どもの貧困率が高いことが国際的に浮き彫りに!

同条約委員会の指摘により、ひとり親世帯の貧困や養育費未払いについて勧告されました。

OECD加盟国の中で子どもの貧困率が34カ国中25位であることから判明したためです。

貧困している世帯はどれ位?中でもひとり親世帯が多い!

日本人の16%が相対的貧困であり、そのほとんどが子どもがいる世帯であることが、以下の数値でわかり、覚える必要があります。

全世帯員      の 相対的 貧困率16%程度
子ども       の(相対的)貧困率14%程度
子どもがいる現役世帯の 相対的 貧困率13%程度
(内ひとり親世帯は50%程度)

参考 厚生労働省HP
相対的貧困率とは、手取り(等価可処分所得)が日本人手取りの中央値の半分(貧困線)を下回っている人の割合です。

例えば、下記の人がいたとします。

A 手取り年収2000万円
B 手取り年収 800万円
C 手取り年収 700万円
D 手取り年収 400万円
E 手取り年収 100万円

5人の平均年収は800万円ですが、中央値はCの700万円です。
その半分は350万円なので、Eが相対的貧困に該当します。
Dは平均年収の半分ではありますが、相対的貧困には該当しません。
ややこしいので、平均手取り年収とかけ離れている人と覚えても支障ないでしょう。

子どもの(相対的)貧困率とは、18歳未満の子どものうち、相対的貧困率の割合です。

よく、子ども7人のうち1人が貧困しているという表現が使用されます。

子どもがいる現役世帯の相対的貧困率は、世帯数毎にカウントされています。

なぜひとり親世帯は貧困?ひとり親になった理由から確認しよう!

参考 厚生労働省HP

母子世帯のうち
「死別」が 8.0 %、
「生別」が94.7 %(約9割
となっています。

父子世帯のうち
「死別」が 21.3 %、
「生別」が 78.7 %(約8割
となっています。

母子・父子世帯ともに、生別のほとんどが離婚です。

離婚を減らすようにすればいいかというと、日本は国際的にみても離婚件数は少ないので、解消しづらい状況です。

母子生活支援施設においてもひとり親になった理由は「離婚」が最も多いです。

離婚件数の記事はこちら

ひとり親は働いてないから貧困なの?!

母子世帯の母の就業状況をみると、86.3 %()が就業しています

OECD 加盟国のひとり親の就業率に比べ、日本のひとり親の就業率は高いです。

ここを解消しても効果はなさそうです。

ひとり親世帯は収入が低いの?

母自身 の平均年間  収入
約270万円
母自身 の平均年間就労収入
 240万円
母子世帯の平均年間  収入
約370万円

母子世帯の世帯の平均年間収入( 約370 万円)は、国民生活基礎調査による児童のいる世帯の平均所得を100として比較すると、49.2(約5割)となっています。

つまり、夫婦2馬力で収入も2倍あるということです。

OECD 加盟国のひとり親の収入に比べ、日本の母子世帯のひとり親の収入は低いです。

ちなみに父自身の平均年間就労収入は母自身よりは高いですがまだまだ足りません。

  • 父自身の平均年間就労収入 約500万円
就労収入:就労による収入  
収入:就労収入と児童扶養手当と養育費をあわせたもの
世帯の平均年間収入:同居親族の収入を含む

ひとり親の収入が低い原因は?

原因1:働ける時間が限られている

働ける時間が限られているため、パート・アルバイトで収入を得ようすることが多いです。

就業している母のうち、雇用条件の割合は下記の通りです。

  • 正規の職員・従業員約5割
  • パート・アルバイト等

※ 母子生活支援施設においては「パート・アルバイト」が最も多いです。

原因2:養育費がもらえてない?!

養育費の取り決め状況は、「取り決めをしている」が 母子世帯で 46.7 %(約5割)となっています。

取り決め率は増加し、受給率は母子世帯で増加していますが、まだ6割のひとり親が受給していません。

原因3:1番教育費がかかるとき?!

ひとり親の末子の年齢は、母子・父子世帯とも(約15〜17歳)が最も多いです。

1番教育費がかかるときです。

子どもについての悩みは母子世帯、父子世帯共に教育・進学となっています。

収入をあげるにはどうすればいい?

よい仕事を紹介してくれれば助かる!

就労支援事業は、マザーズハローワークで就労を支援します。

家事をやってもらえたらもっと働ける!

日常生活支援事業は、家事を代行するサービスです。

子どもの面倒を見てくれればフルタイムで働ける!

生活向上事業とは、夕方に子どもを預かって学習支援や食事の提供等をします。

養育費を受給できればだいぶ楽になる!

母子・父子自立支援員に取り決めのあっせんをしてもらいます。

お金を貸してもらえれば自立できるかも!

資金貸付を行います。

ちなみにひとり親とは、離婚が成立していなくても、実質ひとりで家庭を切り盛りしている親のことをいい、以下も含まれます。

・父親がDV等、1年以上拘束されている場合
・母親が婚姻によらないで懐胎した場合
・どちらかの親に障害がある場合

過去問

保育士試験 令和5年(2023年)後期 保育の心理 問14

次のうち、子どもの貧困に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

⚪︎ A 生存に必要な食料や衣服、衛生、住居など、人間としての最低限の生存条件を欠くような貧困を相対的貧困という。

⚪︎ B 子どもの相対的貧困は、学習環境や、塾などの学校外での学習の機会を奪い、それらが複雑に絡みあって、学業達成に影響を及ぼす。

⚪︎ C 「2019年国民生活基礎調査」によれば、子どものいるひとり親世帯の約半数が相対的貧困の状態にある。そのため子どもが進学を諦めて就職したり、親が多くの仕事をかけもちしたりしなければならない状況が考えられる。

(組み合わせ)
A B C
1 ○ ○ ○

保育士試験 令和5年(2023年)後期 保育の心理 問13

次のうち、ひとり親世帯に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場 合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。ただし、ここでいう「子ども」とは、20 歳未満で未婚 の者とする。

A 「結婚と家族をめぐる基礎データ」(令和4年3月 内閣府男女共同参画局)によると、「子ども のいる離婚件数」は、「子どものいない離婚件数」よりも少ない。
○ B 「ひとり親家庭の現状と支援施策について」(令和2年 11 月 厚生労働省子ども家庭局家庭福祉 課)によると、近年ひとり親世帯は増加傾向にあり、ひとり親世帯になった理由は、母子世帯、父 子世帯ともに「離婚」が最も多い。
○ C 「平成 28 年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(厚生労働省)によると、父子世帯は、母子世 帯に比べると、年収が高いものの、子どものいる全世帯の年間収入よりは低い。
D 「平成 28 年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(厚生労働省)によると、ひとり親世帯の子ど もについての悩みは、母子世帯、父子世帯ともに、「しつけ」が最も多く、次いで「教育・進学」 となっている。

(組み合わせ) A B C D
3 × ○ ○ ○ 4 × ○ ○ ×

保育士試験 令和5年(2023年)前期 保育の心理学 問13

次のうち、ひとり親世帯に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。ただし、ここでいう「子ども」とは、20歳未満で未婚の者とする。

A  「結婚と家族をめぐる基礎データ」(令和4年3月内閣府男女共同参画局)によると、「子どものいる離婚件数」は、「子どものいない離婚件数」よりも少ない。

⚪︎ B  「ひとり親家庭の現状と支援施策について」(令和2年11月厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課)によると、近年ひとり親世帯は増加傾向にあり、ひとり親世帯になった理由は、母子世帯、父子世帯ともに「離婚」が最も多い。

⚪︎ C  「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(厚生労働省)によると、父子世帯は、母子世帯に比べると、年収が高いものの、子どものいる全世帯の年間収入よりは低い。

× D  「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(厚生労働省)によると、ひとり親世帯の子どもについての悩みは、母子世帯、父子世帯ともに、「しつけ」が最も多く、次いで「教育・進学」となっている。

  • ひとり親世帯の子どもについての悩みは母子世帯、父子世帯共に教育・進学となっています。

4.  A:×  B:○  C:○  D:×

保育士試験 令和3年(2021年)後期 子ども家庭福祉 問55

次のうち、日本と諸外国の子ども家庭福祉に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  「ひとり親家庭等の支援について」(平成30年厚生労働省)によると、OECD 加盟国のひとり親家庭の親の就業率に比べ、日本のひとり親家庭の親の就業率は高いことが示されている。

保育士試験 令和3年(2021年)前期 子ども家庭福祉 問59

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
Hさんはひとり親で、1歳9か月のL君を養育しながら、J保育所を利用している。L君の担当のK保育士は、L君がいつも朝ご飯を食べていないこと、洗濯をしていない同じ服をよく着ていること、あまり風呂に入っていないことを気にしており、Hさんに家での様子や関わり方を聞こうとしてもいつも疲れた様子で、「ちゃんと育児はしている」と言われるばかりである。また、Hさんは持病があり、仕事を続けて休むことがある。K保育士は、保育所長に対応を相談したところ、保育所長からは「Hさんは、子育てと仕事の両立が大変なのかもしれない。少しでも負担を軽減できる方法を提案してみてはどうか。」とアドバイスされた。

【設問】K保育士がHさんに利用を勧める事業として、最も不適切なものを一つ選びなさい。

○ 2.ひとり親家庭等生活向上事業

保育士試験 令和2年(2020年)後期 社会福祉 問73

次のうち、事業名と、このことが定められている法律名の組み合わせとして不適切なものを一つ選びなさい。

○ 3.母子家庭日常生活支援事業 「母子及び父子並びに寡婦福祉法」

保育士試験 平成31年(2019年)前期 社会福祉 問62

次の文は、ひとり親家庭の現状と対策に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ D  ひとり親家庭の児童に対する母子家庭生活向上事業(ひとり親家庭等生活向上事業)には、児童に対する学習に関する支援を行う事業が認められている。

保育士試験 平成31年(2019年)前期 社会福祉 問62

次の文は、ひとり親家庭の現状と対策に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(厚生労働省)によると、母子世帯の母自身の平均年間就労収入は、200万円以下である。

○ B  「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(厚生労働省)によると、母子世帯の平均年間収入は、児童のいる世帯の平均所得を100として比較すると、50を割っている。

保育士試験 平成30年(2018年)前期 社会福祉 問64

次の文は、子どもの貧困問題への対応に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ D  「母子及び父子並びに寡婦福祉法」は、ひとり親家庭の子どもの生活の向上を図るための事業として、生活に関する相談に応じ、又は学習に関する支援を行うことができると規定している。

保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 児童家庭福祉 問44

次の文は、「平成27年度子供の貧困の状況と子供の貧困対策の実施状況」( 内閣府 )についての記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。 

○ 2.子供の相対的貧困率は15%を超えていた。 

× 3.全世帯での相対的貧困率は約16%であるのに対し、子供がいる現役世帯のうち大人が一人の場合の相対的貧困率は80%を超えていた。 

  • 子供がいる現役世帯のうち大人が一人の場合の相対的貧困率は54.6%です。

保育士試験 平成28年(2016年)前期 児童家庭福祉 問59

次の文は、わが国の子どもの貧困に関する記述である。誤ったものを一つ選びなさい。 

○5.相対的貧困率の貧困線とは、等価可処分所得の中央値の半分の額を指し、「子どもの貧困率」は、等価可処分所得が貧困線に満たない17歳以下の子どもの割合を指す。

保育士試験 平成27年(2015年) 児童家庭福祉 問57

次の文は、現代の子どもと家庭の状況に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  わが国の子どもの相対的貧困率は、平成24 年には約16%となり、約6~7人に1人が該当する。

  • 平成27年度版 子ども・若者白書によると「子どもの相対的貧困率は平成24(2012)年には16.3%となっている。」という記述があるので○です。約14%

× B  平成24 年の子どもがいる現役世帯の相対的貧困率は約15%であり、そのうち、ひとり親家庭を含む「大人が1人」の世帯の相対的貧困率は約30%である。

  • 子供がいる現役世帯の相対的貧困率は15.1%13%であり、そのうち,大人が1人の世帯の相対的貧困率が54.6%約50%であるため、×です。

保育士試験 平成27年(2015年) 児童家庭福祉 問55

次の文は、厚生労働省による「平成23 年度全国母子世帯等調査結果報告」における母子世帯等の実態に関する記述である。正しいものを一つ選びなさい。 

× 1.父子世帯になった理由として最も多いのは「死別」である。 

  • 1は、父子世帯になった理由で1番多いのは「離婚」で74.3%のため誤りです。ちなみに死別は16.8%です。

× 2.母子世帯になったときの末子の年齢階級は、12 ~ 14 歳が最も多い。 

  • 母子世帯になったときの末子の年齢階級は、15~17 歳が最も多い。 

× 3.平均年間収入(自身の収入)は、母子世帯、父子世帯ともに200 万円程度であり、ほとんど変わらない。 

  • 平均年間年収は、父子世帯380万円で、母子世帯は223万円です。そのため、100万円以上の差がありほとんど差が無いとはいえないため誤りです。

× 4.母子世帯の母では、60%以上が前夫等との養育費について取り決めを行っている。 

  • 4は、母子世帯で養育費の取り決めをしているのは、37.7%なので、6割以上が取り決めをしているという文章には該当しないため誤りです。

○ 5.母子世帯の母の80%以上が就業しているが、「パート・アルバイト等」がその約半分を占めている。

正解は 5

保育士試験 平成24年(2012年) 児童福祉 問38

次の文は、ひとり親家庭へのサービスについての記述である。正しいものを一つ選びなさい。

× 1.ひとり親家庭の親が一時的に生活援助や保育サービスが必要となった場合、家庭生活支援員を派遣し、あるいは家庭生活支援員の居宅等において児童の世話等を行う子育て支援短期利用事業が実施されている。

  • ひとり親家庭には「母子家庭等日常生活支援事業」があります。

× 2.母子ともに入所させ、保護し、その自立促進のために生活を支援する施設として、「児童福祉法」に基づく母子福祉施設である母子福祉センターが設置されている。

  • 児童福祉法に基づいて、母子が入所して保護支援を受けられるのは「母子生活支援施設」です。「母子福祉センター」は、母子及び寡婦福祉法に基づいて、相談、指導を行っています。

× 3.2006(平成18)年から、ハローワークとマザーズハローワークが統合され、すべてのハローワークで児童を連れて就業相談を受けたり、保育所に関する情報提供を受けたりすることができるようになった。

  • マザーズハローワークとハローワークは別です。マザーズハローワークでは子育てをしながらの就労相談ができます。ハローワーク内にマザーズコーナーが設けられている場合もあります。

○ 4.「母子及び寡婦福祉法」には、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの又はその扶養している児童に対し、配偶者のない女子の経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせてその扶養している児童の福祉を増進するための資金貸付の制度がある。

× 5.母子自立支援員の業務は、母子家庭の子育てと生活支援であり、就業相談や養育費の相談業務は含まない。

  • 母子自立支援員は、配偶者のいない子育てをする女性に対し、自立のための就労支援も行います。

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