バルテスの生涯発達心理学で老後を計画してみよう!

今更…とは言いませんが、大学生位でこんな心理学を学んでおきたかったなと感じました。

生涯発達心理学とは?

生涯発達心理学は、生涯を通した発達を模索することで、幸福に年齢を重ねていくことを目指しています。

これまでは、子供時代から青年までを研究対象としていましたが、バルデスは老年までを対象として研究しました。

その後、ブロンフェンブレンナーが続きます。

今では介護の世界で多用されています。

3大要因とは?

バルテスは、加齢変化に伴い自分の行動を制御する理論を提唱しました。

バルテス

加齢的変化は年齢、歴史、ライフイベントから影響を受けます。

年齢によるもの

年齢的な要因は、予測しやすいものと言えます。

例えば、幼少期は運動をする習慣がなく行動範囲が狭かったとします。

成人期には行動範囲が広がりますが、老年期ではもともと体力がないため狭くなります。

歴史的な出来事からは多大な影響が!

歴史的な要因は、戦争や時代の変化等、予測できないことが起こり、大きく影響を受けます。

新型コロナウィルス蔓延は、戦争と同じ位、歴史的な出来事で、人生の目標や生活様式、健康問題など生涯を通して強い影響力を与えました。

バルテスは、発達が歴史に埋め込まれていると表現しています。

結婚したら失業したなんて予想できない!

就職、結婚、失業、近親者の死などのライフイベントは予測しづらいです。

例えば子どもの巣立ちや老親介護などを通して心理的変化に直面し、人生の転機となってアイデンティティの再構築がみられることがあります。

人はどのようにして年をとっていくのか?

加齢によりすべて喪失する訳じゃない!

バルテスは、生涯発達の一般的原理発達として、全生涯を通じて常に獲得(成長)と喪失(衰退)とが相互に関連しあって共在すると主張しました。

加齢により喪失が多くなり、獲得するものが少なくなります。

しかし、獲得するものはあるので、補償的・代替的なメカニズムで補っていきます。

例えば、加齢による機能低下を見越して運転免許証の返納を選択し、代わりに宅配サービスで補償(補ってつぐなうこと)するといったようなことです。

多次元・多方向に発達する!

知識が増えたり、身体が衰退したりします。

受験生においては、知識は増えますが、運動能力は衰え、受験が終わるとその逆になります。

可塑性を持ちながら発達する!

バルテスは、生涯発達を獲得と喪失、成長と衰退を常に繰り返しているとしました。

混合したダイナミックスと表現し、ダイナミックスとは、迫力があるという意味が誤用されていますが、本来は「動的な」という意味で、ここでは常に変化していることを意味しています。

過去問

保育士試験 令和4年(2022年)後期 保育の心理学 問1

次のうち、バルテス(Baltes, P.B.)の考え方に関する記述として、適切なものを○、不適切な ものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A ヒトの発達は、多次元的、多方向的に進みうる。また高い可塑性を有し、獲得と喪失の両方を伴う過程であると仮定する。

× B ヒトの発達は、成人という完成体に至るまでの心身機能の変化をみていくものであると考え、そこに至るまでの発達の量的変化を仮定する。

  • 老年までの質的変化を仮定します。

○ C ヒトの発達は、個人と社会との相互作用過程であり、文化および歴史の中に埋め込まれていると仮定する。

× D ヒトの発達は、加齢とともに喪失が増えた場合の適応として、有効に機能する領域がより限定的に選択されるなど防衛機制のメカニズムが発達すると仮定する。

  • 補償的・代替的なメカニズムが発達します。

保育士試験 令和4年(2022年)前期 保育の心理学 問9

次の文は、高齢期に関する記述である。下線部( a )~( d )に該当する用語を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

高齢期には、( a )人が生きていくことそのものに関わる問題についての賢さ、聡明さといった人生上の問題に対して実践的に役立つ知識が増すことがある。そこでは、人間や社会についての豊富な知識に裏打ちされた柔軟で明確な見識を持ちあわせていることが条件になる。
また高齢期では、( b )加齢による衰えがありつつも、歳をとってもこうでありたいという自分を保持しながら「上手に歳をとる」といった加齢への向き合い方が重要になる。

バルテス( Baltes, P. B.)らは、こうした加齢変化に伴い自分の行動を制御する方略についての理論を提唱した。具体的には、( c 選択)自分の生活をより安全にするために、加齢による機能低下を見越して運転免許証の返納を決断する、そして、( d 補償)車を運転しないことにより買い物が不自由になるため、宅配サービスを利用するというように、新たな生活スタイルを作り上げて最適化を図る。それによりこれまでとは変わらない行動が維持されていくのである。

【語群】
ア センス・オブ・ワンダー
イ ライフサイクル
ウ 喪失
エ サクセスフル・エイジング
オ 補償
カ 選択
キ 英知( wisdom )
ク 転移

保育士試験 令和2年(2020年)後期 保育の心理学 問77

次のA~Cのうち、発達に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ C バルテス( Baltes, P.B.)は、生涯発達を獲得と喪失、成長と衰退の混合したダイナミックスとして捉えた。

保育士試験 令和元年(2019年)後期 保育の心理学 問90

次のA ~ Dのうち、成人期・高齢期の特徴に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  成人期では、子どもの巣立ちや老親介護などを通して心理的変化に直面しやすく、時として人生の転機となり、アイデンティティの再構築がみられることがある。

保育士試験 平成31年(2019年)前期 保育の心理学 問80

次の文は、人の発達に関する記述である。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  生涯の発達的変化に影響を及ぼす要因として、人生のなかで出会う重要な意味をもつ個人的出来事があげられる。

保育士試験 平成31年(2019年)前期 保育の心理学 問81

次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の人名を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】
D  受胎から死に至る過程の行動の一貫性と変化を捉え、生涯発達の一般的原理や発達の可塑性と限界を明らかにした。

【Ⅱ群】
ア マッコール(McCall, R.B.)
イ ゲゼル(Gesell, A.L.)
ウ ブロンフェンブレンナー(Bronfenbrenner, U.)
エ エリクソン(Erikson, E.H.)

オ バルテス(Baltes, P.B.)

保育士試験 平成28年(2016年)後期 保育の心理学 問81

次の説を提唱した人物として正しいものを一つ選びなさい。

生涯発達心理学とは、受胎から死に至る過程における行動の一貫性と変化を研究するものである。研究の目的は、生涯発達の一般的原理、発達における個人間の差異性と類似性、発達の可塑性とその限界等を明らかにすることである。

1. マーラー(Mahler, M.S.)
2. レヴィン(Lewin, K.)
3. メルツォフ(Meltzoff, A.)

○ 4. バルテス(Baltes, P.B.)
5. ハヴィガースト(Havighurst, R.J.)

保育士試験 平成25年(2013年) 保育の心理学 問88

次の文は、生涯発達理論についての記述である。この理論を提唱した人物として正しいものを一つ選びなさい。

生涯発達心理学の観点として、(1)個体の発達は生涯にわたる過程であること、(2)発達は全生涯を通じて常に獲得(成長)と喪失(衰退)とが相互に関連しあって共在する過程であること、(3)個体の発達は歴史的文化的条件の影響を受けること、などを主張し発達について新たな視点をもたらした。

1. キャンポス(Campos, J.J.)
○ 2. バルテス(Baltes, P.B.)
3. ローレンツ(Lorenz, K.)
4. ブラゼルトン(Brazelton, T.B.)
5. ギブソン(Gibson, E.J.)

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