マーシアの4つのアイデンティティ・ステイタスで自分を分析!

なせ保育士になるのにアイデンティティを学ぶのでしょうか。

青年期は保育士や親なりたて世代なので、その人たちに「覚悟を決めろ」と言っているかのようです。

マーシアはエリクソンを展開!

マーシアは、マルシアとかマーシャと訳されることがあります。

マーシア

マーシアは、大学で30年間教鞭をとりながら臨床心理学センターを設立し、大学院生にトレーニングの機会とカウンセリングサービスを提供しました。

臨床実習をしていたとも言うでしょう。

エリクソンは、青年期に自分が何者なのか悩み(発達危機)、アルバイト等の社会的役割を通してアイデンティティを確立(発達課題)していくとしました。

その理論を実証していったのがマーシアです。

ちなみに言葉の使い方がエリクソンとマーシアでは少し違うようですが、意味はほぼ同じと考えてよいです。

  • エリクソン     マーシア
    • 発達課題  →  積極的関与
    • 発達危機  → 危機

アイデンティティ・ステイタスとは?

マーシアは4つのアイデンティティの状態を定義し、アイデンティティ・ステイタスとしました。

  1. アイデンティティ拡散
  2. 早期完了
  3. モラトリアム
  4. アイデンティティ達成

一般的には上記の順番で発達するとされていますが、どこかが入れ替わったり、早期完了のままだったりすることがあります。

様々な危機を経験したり、ものごとに積極的関与したりする中で、青年の半数以上が1つのステイタスのままでいることもわかってきました。

アイデンティティ
アイデンティティ・ステイタス

アイデンティティ拡散

アイデンティティ拡散とは、アイデンティティを確立できない状態を意味します。

自分が何者で何をしたらいいのかわからずに途方に暮れてネガティブな考えに陥り、自分の意志に沿って生きることをあまりしていません。

アイデンティティ・クライシスとも言います。

早期完了

早期完了とは、他者の価値観を自分自身のアイデンティティとして受け入れた状態のことです。

これまでに自分と親との間に不協和がない等、危機を経験していることがないか、経験中の状態にあります。

どんな体験もとりあえず積極的に動いてきたのですが、幼児期以来の信念を補強するだけで、自分の意志を持っていないために、他者や社会の価値観・期待をそのまま疑うことなく実行しています。

そのため、物事が上手くいっている時には安定したパフォーマンスを見せますが、上手くいかない時は融通がきかないため精神的な脆さを示しがちです。

モラトリアム

モラトリアムとは、エリクソンがつくった言葉です。

危機の経験も関与もまだ不十分なモラトリアムの状態にある人は、いろいろなことをしてみて何が自分に合うかどうかを探索しています。

モラトリアムの状態のままで安定している青年は少ないとされています。

アイデンティティ達成

アイデンティティ達成とは、アイデンティティが確立された状態のことです。

この状態に至っている人は、環境変化に対する柔軟性や安定した対人関係を持つことができます。

自分の人生について十分に考えて(=危機を経験していて)、自分の意志で積極的に生きている(=関与している)ということです。

アイデンティティ達成に至る青年は年齢とともに増加し、同一の状態で安定している青年のうちこの状態にある青年の数は最も多いです。

また、アイデンティティ達成状態になるのは青年期前期から後期にかけて多くなります。

成人期にも拡散することがある?!

成人期では、子どもの巣立ちや老親介護などを通して心理的変化に直面しやすく、再び拡散状態へと戻ることもあります。

時として人生の転機となり、アイデンティティは生涯にわたって模索していくものとなります。

青年や成人は、マーシアのアイデンティティで達成度を測定することにより、アイデンティティを確立するためにどんな経験が必要か考えてみるのもよいでしょう。

過去問

保育士試験 令和3年(2021年)後期 保育の心理学 問85

次の文は、青年期に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

青年期は、家族以外の人との親密な関係を深めていく中で、青年は( A アイデンティティ )の確立という新たな課題に直面する。エリクソン(Erikson, E.H.)は、青年期が、大人としての責任と義務を問われずに、自由に何かに打ち込み、挫折し、さらにまた何かを探し求めるといった経験、あるいは、様々な危機を経ることが重要であるとして、この期間を( B モラトリアム )期間であると考えた。
その後、マーシア(Marcia, J.E.)は、( A アイデンティティ )の状態を4つの類型に分けて考える( C アイデンティティ・ステイタス )を提唱した。この4類型の中の一つである( D 早期完了 )は、これまでに危機を経験していることはなく、自分の目標と親との目標の間に不協和がなく、どんな体験も、幼児期以来の信念を補強するだけになっているという、融通のきかなさが特徴的である。

【語群】
ア:アイデンティティ
イ:モラトリアム
ウ:アイデンティティ・ステイタス
エ:早期完了
オ:モダリティ
カ:達成
キ:拡散
ク:アイデンティティ・クライシス

保育士試験 令和元年(2019年)後期 保育の心理学 問90

次のA ~ Dのうち、成人期・高齢期の特徴に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  成人期では、子どもの巣立ちや老親介護などを通して心理的変化に直面しやすく、時として人生の転機となり、アイデンティティの再構築がみられることがある。

保育士試験 平成28年(2016年)前期 保育の心理学 問93

次の文は、アイデンティティについての記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

アイデンティティの実証研究は、マーシア(Marcia, J.E.)によって大きく進展した。彼はエリクソン(Erikson, E.H.)の概念である( A 危機)と積極的関与を用いて、4つのアイデンティティの状態を定義し、( B アイデンティティ・ステイタス)と呼んだ。この発達を検討した縦断的研究によれば、青年期前期から後期にかけて( C 達成)状態になることが多くなる一方で、成人期になってから再び( D 拡散)状態へと戻ることもある。

【語群】
ア 葛藤
イ 危機
ウ ジェンダー・アイデンティティ
エ アイデンティティ・ステイタス
オ 早期完了
カ 達成
キ モラトリアム
ク 拡散

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