第三者評価・自己評価は保育所事例でモヤモヤをスッキリさせる!

第三者評価、特に自己評価って馴染みがなく、なんとなくモヤモヤしているものです。

ここでは保育所の具体例を元に意味を理解し、他へ応用すると効率的と考えましたので記事にしてみました。

目次

保育所・保育士の自己評価とは?

保育所・保育士の自己評価とは?

施設長や保育士自身が自身の評価を行う(施設長は保育所全体の評価)のが自己評価です。

では、保育士の自己評価の事例を挙げてみましょう。

自己評価の事例

自己評価の事例

厚生労働省HPより

この自己評価シートは厚生労働省が示しているお手本です。

割と当たり前なことが書いてあり、年度末になったら、自身がどれだけ達成できたかをランク付けして、ランクの平均をHPなどで公表します。

自己評価は義務

自己評価は義務

自己評価は毎年必ずやらなければならない義務です。

結果を公表することも義務です。

保育所の第三者評価とは?

保育所の第三者評価とは?

第三者評価の行われ方は、第三者機関の研修を受けた評価者が、利用者調査(インタビューなど)を必ず行い、自己評価を参考にして評価します。

評価結果は、第三者機関がワムネットという情報サイト等で保育所の同意を得た上で公表されます。

保育所はこれを改善に繋げ、保護者はニーズに合った保育所を選べるという仕組みてす。

これは、平成12年の社会福祉基礎構造改革で行うようになりました。

ちなみに、保育士自身は第三者評価を受けません。

また、第三者評価は、苦情解決システムの第三者委員とは別物です。

では具体例を挙げてみましょう。

第三者評価の事例

第三者評価の事例

K保育園長は運営を改善するため、年に1度の第三者評価を受けることにしました。

お金も手間もかかりますが、改善すべきことを把握して、利用者に信頼される保育所にしたいと考えました。

これまで、園児は園庭横の農園の収穫にだけ参加していましたが、第三者機関からの評価により、種まきから参加し、野菜や果物の成長を見て食べるという食育を強化することにしました。

さらに収穫はクラスごとに保護者と体験できるよう工夫するなど、体験活動を保護者と共有する機会を設けました。

保護者同士の交流のほか、保護者が他の子どもにも目を向ける機会となりました。

収穫した大豆では豆腐を作りました。

近隣の「豆腐屋さん」に来てもらい、子どもの目の前で豆腐を作ってもらいました。

取組み後、子どもは「豆腐屋さん」の前を通るとき自然に挨拶できるようになりました。

この経験から、職員は地域の力を借りることが重要であるとさらに認識するようになり、通勤途中で出会う周辺住民にも意識するようになりました。

第三者評価は努力義務

第三者評価は努力義務

第三者評価は、お金も手間もかかりますから努力義務です。

当然、その結果を公表することも努力義務です。

他施設の第三者評価は?

第三者評価は努力義務

幼稚園や社会的養護施設、社会福祉施設も考え方は同じです。

社会的養護施設とは、児童福祉施設+自立援助ホーム、児童発達支援センターのことです。

社会福祉施設は、高齢者や障害者施設を含みます。

5社会的養護施設は義務

5社会的養護施設は義務

ただし、5社会的養護施設(乳児院・児童養護施設・母子生活支援施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設)だけは、3年に1度ですが、第三者評価を行うことが義務化されています。

というのも、施設内虐待について国連から指導を受け、措置制度等が残っている5社会養護施設が義務化されました。

ちなみに、苦情解決システムの6児童福祉施設とは別物です。

第三者評価のやり方は、原則は全国共通ですが、都道府県が独自に定めることもできます。

社会福祉の目次

参考

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(抄)

(児童福祉施設の一般原則)
第5条3
児童福祉施設は、その運営の内容について、自ら評価を行い、その結果を公表するよう努めなければならない。

(業務の質の評価等)
第36条の2第1項
保育所は、自らその行う法第39条に規定する業務の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。
第36条の2第2項
保育所は、定期的に外部の者による評価を受けて、それらの結果を公表し、常にその改善を図るよう努めなければならない。

保育所保育指針

ア 保育所は、保育の質の向上を図るため、保育の計画の展開や保育士等の自己評価結果を踏まえ、当該保育所の保育の内容等について自ら評価を行い、その結果を公表するよう努めなければならない。

イ 保育所の自己評価を行うに当たっては、次の事項に留意しなければならない。

(ア)地域の実情や保育所の実態に即して、適切に評価の観点や項目等を設定し、全職員による共通理解を持って取り組むとともに、評価の結果を踏まえ、当該保育所の保育の内容等の改善を図ること。

(イ)児童福祉施設最低基準第36条の趣旨を踏まえ、保育の内容等の評価に関し、保護者及び地域住民等の意見を聴くことが望ましいこと。

努力義務であるかなようになっていますが、保育所保育指針の性質上、義務であるという解釈がなされています。

保育士等による自己評価に当たっては、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること。

児童養護施設運営指針

1.目的
この「運営指針」は、児童養護施設における養育・支援の内容と運営に関する指針を定めるものである。社会的養護を担う児童養護施設における運営の理念や方法、手順などを社会に開示し、質の確保と向上に資するとともに、また、説明責任を果たすことにもつながるものである。

運営指針の記事はこちら

過去問

過去問

保育士試験 令和5年(2023年)後期 社会福祉 問13

次のうち、福祉サービスの第三者評価事業に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

× A 第三者評価事業を受審することで、他の事業所や施設などとの優劣を示すことが目的である。

B 福祉サービスの第三者評価事業の普及促進については、「福祉サービス第三者評価事業に関する指針」において市町村社会福祉協議会の義務であることが規定されている。C 福祉サービスの第三者評価事業を行う評価機関は、都道府県推進組織における第三者評価機関認証委員会から認証を受ける必要がある。D 福祉サービス第三者評価機関認証ガイドラインの策定・更新は、厚生労働大臣が実施する。(組み合わせ)A B C D1 ○ ○ ○ ○2 ○ ○ × ×3 ○ × ○ ×4 × ○ ○ ○5 × × ○ ×

保育士試験 令和4年(2022年)後期 社会福祉 問16

次のうち、「社会福祉法」で定めている福祉サービスの情報提供等に関する記述として、適切 な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A 社会福祉事業の経営者に対して、福祉サービスの利用者が、適切かつ円滑に福祉サービスを利用することができるように、その経営する社会福祉事業に関する情報の提供を行うよう努めなければならないと定めている。

○ B 国と地方公共団体に対して、福祉サービスを利用しようとする者が必要な情報を容易に得られるように、必要な措置を講ずるよう努めなければならないと定めている。

○ C 利用者から実際に福祉サービスの利用契約の申込みがあった場合、社会福祉事業の経営者は、利用者に対して、福祉サービスを利用する事項について説明するように努めなければならないと定めている。

○ D 社会福祉事業の経営者は、利用契約が成立した際に、利用者に対して、定められた事項を記載した書面を交付しなければならないと定めている。

保育士試験 令和4年(2022年)後期 保育の心理学 問16

次のうち、福祉サービス第三者評価事業に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記 述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A 児童養護施設等の社会的養護関係施設については、福祉サービス第三者評価を受けることが義務付けられている。

○ B 福祉サービス第三者評価事業の普及促進等は、国の責務となっている。

× C 福祉サービス第三者評価を受けた結果は、市町村が公表することになっている。

 ・第三者機関が公表します。

○ D 福祉サービス第三者評価事業とは、公正・中立な福祉事務所が専門的・客観的立場から福祉サービスについて評価を行う仕組みのことである

保育士試験 令和3年(2021年)後期 保育の心理学 問92

次のうち、保育所の自己評価に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  保育所の自己評価は、保育士等の自己評価結果に基づいて、施設長と職員との話し合いを通して行われる。

× B  保育士等の自己評価において課題になっていることなどを、短期間に全て改善するように進めることが大切である。

・短期間という記述はありません。

○ C  職員間で共有する資料には、保育記録をはじめ、保育所が実施した様々な調査結果、あるいは保育所に寄せられた要望や苦情等も含まれる。

○ D  保育の内容等の評価の公表を通して、保護者及び地域住民等から理解を得るとともに、評価に関する意見を聴くことが望ましい。

保育士試験 令和3年(2021年)後期 保育実習理論 問147

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
M保育所のR保育士は、保育の計画や保育の記録を通して、自らの保育実践を振り返るための自己評価を行い、保育士としての専門性の向上や保育実践の改善に努めたいと考えている。

【設問】
R保育士が、自己評価によって子どもの育ちを捉える際に、留意すべき点として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  子どもが何をしていたかやその結果だけではなく、取り組みの過程を理解すること。

○ B  子どもの発達には個人差があること。

× C  子どもの心の動きや物事に対する意欲など内面の育ちを捉えることよりも、子どものできることとできないことに焦点をあてること。

  • 子どものできる・できないだけでなく、心の動きや物事に対する意欲といった内面の育ちを捉えるようにします。

○ D  子どもと子ども、子どもと保育士等との関係なども視野に入れて捉えること。

第三者評価・自己評価

保育士試験 令和3年(2021年)後期 社会的養護 問37

次のうち、社会的養護関係施設における第三者評価及び自己評価の実施に関する記述として、適切なものを一つ選びなさい。

× 1.社会的養護関係施設は、第三者評価を5か年度毎に1回以上受審しなければならない。

  • 3年に一度です。

× 2.第三者評価は、各施設が独自に作成した基準を用いて実施される。

  • 第三者評価基準を用います。

× 3.利用者調査は、任意での実施とされている。

  • 必須です。

○ 4.ファミリーホーム及び自立援助ホームの第三者評価の受審は努力義務とされている。

× 5.社会的養護関係施設は、第三者評価の受審年に限り、自己評価を行わなければならない。

  • 自己評価は毎年行います。

保育士試験 令和元年(2019年)後期 社会的養護 問39

次の文のうち、「保育所保育指針」第1章「総則」3「保育の計画及び評価」の一部として、下線部分が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ D  保育士等による自己評価に当たっては、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること。

保育士試験 令和元年(2019年)後期 社会的養護 問39

次の文のうち、児童養護施設における第三者評価および自己評価に関する記述として適切なものを一つ選びなさい。

○ 1.第三者評価の受審が義務づけられている。

× 2.第三者評価は、4か年度毎に1回以上受審しなければならない。

  • 第三者評価は、3年に1回受けることが義務付けられています。

× 3.自己評価の結果の公表は任意である。

  • 自己評価の結果の公表は任意ではなく「義務」とされています。

× 4.自己評価は、2か年度毎に1回行わなければならない。

  • 自己評価は、毎年行うように定義されています。

× 5.第三者評価における利用者調査の実施は任意である。

  • 第三者評価における利用者調査の実施は任意ではなく「義務」とされています。

保育士試験 令和元年(2019年)後期 社会福祉 問75

次の文は、保育所のサービス評価に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  保育所は、福祉サービスの自己評価を行うなど、福祉サービスの質の向上に向けて努力することが義務づけられている。

○ B  保育所は、定期的に第三者評価を受審するよう努めなければならない。

× C  保育所の第三者評価を行うのは、市町村自治体である。

  • C 第三者評価を行うのは市町村自治体ではなく、公正・中立な第三者機関となっています。

○ D  保育所の公表された自己評価や第三者評価受審の結果は、利用者がサービス選択を行うための情報として活用される。

保育士試験 平成30年(2018年)後期 社会福祉 問74

次の文は、福祉サービスの第三者評価事業に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  評価調査者として満たすべき要件の1つは、評価調査者養成研修を受講し修了していることである。

○ B  第三者評価機関が評価の結果を公表する際は、受審した事業所の同意を得る必要がある。

○ C  福祉サービス第三者評価事業の普及促進等は、国の責務である。

保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 社会的養護 問35

次の文は、社会的養護の施設等における第三者評価に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  第三者評価を受審するに当たっては、あらかじめ、第三者評価の評価基準に基づく自己評価を行うことが求められている。

○ B  第三者評価を受審する義務がある施設においては、第三者評価を3か年度に1回以上受審しなければならない。

○ C  児童自立生活援助事業( 自立援助ホーム )における第三者評価の受審は、努力義務である。

保育士試験 平成29年(2017年)前期 社会福祉 問80

次の文は、社会福祉における利用者の保護に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

× B  第三者評価制度の意義は、サービス提供者自身が問題点を明らかにし、それを自主改善するというよりは、第三者評価機関が問題点を公表して指導・介入することによりサービスの質を向上させるということである。

  • 第三者評価機関は指導・介入はせず、評価の実施及び結果の公表を行う機関のため、誤った記述です。第三者評価を受けることで、サービス提供事業者はサービスを客観的に振り返り、どのようにしたら質の向上ができるか検討することができます。

× C  第三者評価制度は、社会福祉改革における利用者本位の潮流の中から新しい制度として生み出され、すべての児童福祉施設が実施することを「児童福祉法」で義務付けている。

  • すべての児童福祉施設に義務付けられているわけではないため、誤った記述です。「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」の中で、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設では「業務の質の評価等」に規定されています。

保育士試験 平成28年(2016年)後期 児童家庭福祉 問45

次の文は、児童家庭福祉における権利擁護サービスに関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。 

○ 4. 「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和23年厚生省令第63号)において、児童養護施設は、定期的に外部の者による評価を受け、その結果を公表しなければならないと定められている。

○ 5. 「保育所保育指針」において、保育所は、保育内容等について自ら評価を行い、その結果について公表するよう努めなければならないことが示されている。

保育士試験 平成26年(2014年) 児童家庭福祉 問42

次の文は、児童の権利擁護に関する記述である。適切な記述を選びなさい。

○ 3. 「社会的養護関係施設における第三者評価及び自己評価の実施について」(平成24年3月 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長及び厚生労働省社会・援護局長通知)によると、社会的養護関係施設の第三者評価基準について、原則は全国共通であるが、都道府県が独自に定めることもできるとされている。

保育士試験 平成26年(2014年) 社会福祉 問76

次の文は、福祉サービスの第三者評価事業に関する記述である。適切な記述を選びなさい。

× 1.児童福祉分野の福祉サービス第三者評価事業では、民生委員・児童委員の評価を組み入れることが特別に定められている。

・第三者評価に民生委員・児童委員の評価を組み入れる事は定められていません。

○ 2.福祉サービス第三者評価事業は、サービス提供者が事業運営の具体的な問題点を把握し、サービスの質の向上に結び付けるとともに、利用者が適切にサービス選択を行うための情報提供も目的としている。

○ 3.保育所の第三者評価事業は、全国社会福祉協議会が設置した福祉サービスの質の向上推進委員会(以前の評価基準等委員会)が策定した保育所版福祉サービス第三者評価基準ガイドラインに基づき都道府県や第三者評価機関で工夫を加えながら実施している。

○ 4.「社会福祉法」では、社会福祉事業経営者に対して、自ら提供するサービスの評価を行うよう促すと同時に、国に対しても、公正かつ適切なサービス評価を実施するように要請している。

保育士試験 平成23年(2011年) 社会福祉 問15

次の文は、福祉サービスの第三者評価事業に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。

○ 1.福祉サービスの第三者評価事業とは、社会福祉基礎構造改革において、その理念を具体化する仕組みの一つとして位置付けられた。

○ 2.福祉サービスの第三者評価事業では、主に、福祉サービス提供体制の整備状況と取り組みについて専門的・客観的な立場からの評価が行われる。

○ 3.福祉サービスの第三者評価事業に従事する評価調査者は、評価調査者としての業務を行うための条件として評価調査者に対する研修を受講することになっている。

○ 4.福祉サービスの第三者評価事業結果の取り扱いについては、第三者評価機関と都道府県推進組織において、それぞれ「福祉サービス第三者評価結果の公表ガイドライン」に基づき公表している。

× 5.児童福祉施設は、福祉サービスの自己評価と第三者評価を受けることが「児童福祉法」で義務付けられている。

・「児童福祉法」ではなく、「社会福祉法」第78条は、「社会福祉事業の経営者は、自己評価の実施等によって自らの提供する福祉サービスの質の向上に努めなければならない」と自己評価について努力義務を規定しています。なお、社会的養護施設(児童養護施設・乳児院・母子生活支援施設・情緒障害児短期治療施設・児童自立支援施設)は平成24年度から3年に1度の受審が義務化されました。

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