過去問を見ると言葉を暗記する必要はなく、思想の内容を問われていることがわかります。

ヘルバルトの経歴
ペスタロッチの学校に通ったヘルバルトは対照的な思想を作りました。
ドイツの哲学者、教育学者。
カントの後任としてケーニヒスベルク大学で哲学などの講座を受け持ちます。
著書 一般教育学

教育の目的は倫理学によって示され、教育の方法は心理学によって示されると論じられています。
教育の目的とは、倫理学的に表現すると、道徳的品性の陶冶であるとしました。
つまり、道徳的に立派な人格を育成するということです。
教育の方法としては、多方面への興味を喚起することが必要だと考えました。
ヘルバルトの4段階教授法
心理学的に表現すると、「教育(訓育)的教授」という概念であり、「明瞭・連合・系統・方法」という4段階の教授段階説を唱えました。
教授とは、新しい概念を子どもに確実に伝え、子どもがすでに興味を持ち、内面化している概念と結びつけることです。
つまり、認知メカニズムのことです。
「明瞭」とは「個々の事物(新たに学ぼうとすること)を明瞭にする」,「連合」とは「明瞭にされた事物をすでに習得している事物と比較する」,「系統」とは「連合された事物を体系化する」,「方法」とは「3つの過程を経て得た事物が他のものに応用可能になる」ということです。
4段階教授法の具体例
1 明瞭
父親から犬や猫の話しを聞いて生態を理解する。
2 連合
すでに飼っていた昆虫の生態と比較する。
3 系統
生き物の生態は多少違っていても同じだと考える。
4 方法
人間も生き物なので生態は同じということがわかり、思いやりを持って接しなければならないことがわかる。
ヘルバルト主義は弟子たちへ
この「形式的段階」概念は弟子たちに引き継がれ、「予備・提示・比較・総合・応用」の5段階へと改変されました。



過去問
保育士試験 令和3年(2021年)前期 教育原理 問26
次の記述にあてはまる人物として、正しいものを一つ選びなさい。
ドイツの哲学者、教育学者。カントの後任としてケーニヒスベルク大学で哲学などの講座を受け持つ。教育の課題とは道徳的品性の陶冶であるとし、多方面への興味を喚起することが必要だと考え「教育(訓育)的教授」という概念を提示した。また、教授の過程は興味の概念に対応しており、「形式的段階」と呼ばれるようになった。この「形式的段階」概念は弟子たちに引き継がれ、「予備・提示・比較・総合・応用」の5段階へと改変された。
1.ヘルバルト(Herbart, J.F.)
2.ペスタロッチ(Pestalozzi, J.H.)
3.キルパトリック(Kilpatrick, W.H.)
4.デューイ(Dewey, J.)
5.コメニウス(Comenius, J.A.)
正解は 1
保育士試験 平成25年(2013年) 教育原理 問23 )
次の文は、ヘルバルト(Herbart,J.F.)に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。
○ 1.彼によれば、教育の目的は倫理学によって示され、教育の方法は心理学によって示される。
○ 2.彼は、教育の究極的な目的は、道徳的品性の陶冶にあると考えた。
× 3.彼は、「生活が陶冶する」という有名な言葉を残した。
- 「生活が陶冶する」といったのは、スイスの教育学者のペスタロッチです。
○ 4.彼は、教授において、子どもに多方面への興味を喚起することの重要性を説いた。
○ 5.彼は、著書『一般教育学』のなかで、「明瞭・連合・系統・方法」という4段階の教授段階説を唱えた。
正解は 3
保育士試験 平成24年(2012年) 教育原理 問121
次の文は、ロック(Locke,J.)に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。
○ 1.彼は、『人間知性論』では生得観念を否定するいわゆる白紙説によって教育の可能性を大きく広げる働きをした。
○ 2.彼は、『教育に関する考察』の序文に「健康な身体に宿る健全な精神」という言葉を書き、精神と身体の関係の重要性を明らかにしている。
○ 3.彼は、教育目標となる人間像を支配階級である紳士(ジェントルマン)におき、紳士は「体・徳・知」兼備の人間でなければならないとした。
○ 4.彼は、幼児期から正しい習慣形成をすることこそが教育の基本であるとして、鍛練主義の教育を唱えた。
× 5.彼は、道徳的品性の陶冶が教育の課題であるとし、その方法として多方面への興味を喚起することが必要だと考え、「教育的教授」という概念を提示した。
- 「教育的教授」という概念を示したのはヘルバルトです。彼は、子どもに知識や技能を一方的に教え込んだり、機械的に覚えさせるのではなく、子どもに興味・関心を持たせるための教師の教育的活動を重視しました。
正解は 5
保育士試験 平成23年(2011年) 教育原理 問123
次の文は、ペスタロッチ(Pestalozzi,J.H.)に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。
○ 1.初期の著作『隠者の夕暮』の冒頭で、「人間、玉座に坐っている人も、あばら家に住んでいる人も、同じであるといわれるときの人間、つまり人間の本質、それはいったい何であろうか」と述べている。彼は、すべての人 間は、その本質においてなんら変わることなく平等であり、尊ばれる存在であると考えた。
○ 2.彼は、人間に本来備わっている根本的な能力を、精神力(頭)、心情力(心)、技術力(手)の3つに分け、この3つの要素を調和的に発展させる教育を理想とした。
○ 3.彼は、教育の基礎を子どもの直観に置くことを提唱するとともに、それを実践した。彼は、直観を構成する要素として、「数」、「形」、「語」をあげ、この直観の三要素に着目した教授法を考案したが、それは直観教授と呼ばれる。
× 4.彼は、教授とは、新しい概念を子どもに確実に伝え、子どもがすでに内面化している概念と結びつけることであると述べ、学習者に即してその過程をみれば、明瞭-連合-系統-方法という4段階になるとした。
- 記述のような4段階教授法をといたのは、ヘルバルトです。
5.彼は、「生活が陶冶する」という有名な言葉を残した。
正解は 4
保育士試験に一発合格するブログ でリブログ.
いいねいいね