ややこしいのは療育手帳ですね。深入りせずに太字を確認していきましょう。
身体障害者
身体障害とは?
身体障害とは、視覚障害などをいい、根拠は身体障害者福祉法です。
児童も含まれるの?
障害者に児童も含まれます。
これも根拠は身体障害者福祉法です。
どこに相談すればいいの?
身体障害者更生相談所で相談することができます。
都道府県が身体障害者福祉司を配置しています。
身体障害者福祉司は、身体障害者相談員、身体障害者支援員とは別物です。
身体障害者手帳とは?
身体障害者手帳とは、身体障害者がそれを対象とする各種制度を利用する際に提示する手帳です。
必要な援助(ヘルパー等)を受けるための証明書にあたります。
交付は都道府県知事により行われます。

参考:身体障害者福祉法
第一条
身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的としています。
精神障害者
精神障害とは?知的障害とは違うの?
精神障害とは、統合失調症やてんかん、知的障害などをいい、根拠は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律です。
児童も含まれるの?
精神障害者は年齢制限もなく児童も含まれます。
参考:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
第一条 この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。
どこに相談すればいいの?
精神保健福祉センターで相談することができます。
精神障害者更生相談所というものはありませんし、精神障害福祉司もありません。
精神障害者保健福祉手帳とは?

手帳は知的障害者は対象外?
知的障害者は「精神障害者」に含まれますが、精神障害者保健福祉手帳を申請することができません。
知的障害者
知的障害とは?
知的障害とは生活に適応できない障害をいい、DSMなどによる医者の診断を参考にして、都道府県が判定します。
また、知的障害に発達障害が含まれるかは自治体によって判断が別れます。
大人・児童は含まれるの?
年齢制限はなく大人も児童も含まれます。
どこに相談すればいいのの?
知的障害者更生相談所で相談することができます。
都道府県が知的障害者福祉司を配置しています。
手帳はあるの?
知的障害者手帳ではなく療育手帳があり、援助を受けやすくしています。
根拠となる法律はなく、通知によります。
また、知的障害は症例数も多いので、都道府県ではなく市町村・福祉事務所が管轄してところが多いです。
参考:都道府県知事・指定都市市長宛厚生事務次官通知療育手帳制度要綱
第5 手帳の交付手続
1 申請
手帳の交付の申請は、知的障害者又はその保護者が、知的障害者の居住地を管轄する福祉事務所の長(福祉事務所を設置しない町村にあっては、当該町村の長及び管轄の福祉事務所の長とする。第7において同じ。)を経由して都道府県知事に対して行うものとする。
2 交付の決定及び交付
都道府県知事等は、児童相談所又は知的障害者更生相談所における判定結果に基づき手帳の交付を決定し、交付の申請の際の経由機関を経由して申請者にこれを交付する。


発達障害者
発達障害とは?
発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などをいいます。
DSMでは、自閉症、アスペルガー症候群などの広汎性発達障害と学習障害は自閉スペクトラム症とされています。
根拠は発達障害支援法で、大人も含まれ、子どものときの発達に障害が発生したことと区別します。
発達障害者支援センターで相談することができます。
発達障害者手帳などありません。
文化省が行った調査によると、特別な支援を必要とする児童は、約6.5%います。
過去問
保育士試験 令和4年(2020年)前期 社会福祉 問 19
次のセンター名と、このことが定められている法律名の組み合わせとして、適切なものを○、 不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A 児童発達支援センター ―― 「児童福祉法」
× B 基幹相談支援センター ―― 「介護保険法」
× C 障害者就業・生活支援センター ――― 「身体障害者福祉法」
○ D 精神保健福祉センター ――――――― 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」
保育士試験 平成31年(2019年)前期 社会福祉 問60
次の文は、社会福祉の概念等に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ C 「身体障害者福祉法」の第1条には、「身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ること」が、定められている。
○ D 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の第1条には、「その社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めること」が、定められている。
保育士試験 平成30年(2018年)後期 社会福祉 問65
次の文は、児童福祉分野の他機関連携に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
× D 「発達障害者支援センター」の設置により、障害児に対する虐待の早期発見・早期対応を図るための関係機関等のネットワークづくりが進められた。
・発達障害者支援センターは、発達障害児(者)へ総合的な支援を目的とした専門機関です。
保育士試験 平成30年(2018年)後期 社会福祉 問70
次のうち、社会福祉機関とそこに配置される社会福祉専門職の組み合わせとして、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
× C 身体障害者更生相談所 ――― 身体障害者支援員
- 身体障害者更生相談所に配置されるのは「身体障害者支援員」ではなく「身体障害者福祉司」です。
保育士試験 平成29年(2017年)前期 社会福祉 問66
次の文は、各種手帳に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A 視覚障害のある児童は、身体障害者手帳の対象となる。
× B 学習障害のある人は、発達障害者手帳の対象となる。
- 発達障害者手帳というものは存在しないため、記述は誤りです。
× C 療育手帳を取得できるのは、18歳未満の者のみである。
- 療育手帳の取得に年齢制限はないため、記述は誤りです。ちなみに、療育手帳とは知的障害者(児)に発行される手帳です。
× D 身体障害者手帳を交付するのは、一般的な都市においては、市町村長である。
- 身体障害者手帳の交付は都道府県知事により行われるため、記述は誤りです。
保育士試験 平成26年(2014年) 社会福祉 問71
次の文は、社会福祉従事者に関する記述である。適切な記述を選びなさい。
× 4. 身体障害者相談員は、身体障害者更生相談所に必置される。障害のある本人が委嘱されることはできない。
- 身体障害者相談員は民間人です。身体障害者福祉司は身体障害者更生相談所の職員です
保育士試験 平成25年(2013年) 児童家庭福祉 問58
次の文は、発達障害児の支援に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
× A 発達障害児に療育手帳を交付することが「児童福祉法」により規定されている。
- 療育手帳の交付を規定しているのは、児童福祉法ではありません。1973年に厚生省が出した「療育手帳制度について」という通知で規定されています。
× B 発達障害者支援センターは、18歳以上の発達障害者に関する相談等が行われる機関であり、発達障害児に関する相談は受け付けていない。
- 発達障害者支援センターでは、障害児の早期発見、早期の発達支援も目的としています。
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