教育基本法から学校教育法、保育所保育指針へ 〜楽して覚えよう〜

教育基本法が平成18年に改正され、教育基本法に基づき学校教育法、幼稚園教育要領が改正されました。

また、幼稚園教育要領と保育所保育指針の整合性をはかるため、平成30年に元々あった保育所保育指針が改正されました。

教育基本法は、日本国憲法からきているので言葉も憲法からきています。学校教育法は教育基本法からきているので割と教育基本法と似ています。

対して保育所保育指針は別の流れからつくられ、途中で幼稚園教育要領を入れ込んだので、同じ表現があったり、平仮名を使った優しい言葉が使われたりしています。

ということは、言っていることはそう変わりないけど、微妙に意味が違くても似ている言葉がいくつかあるのではないかと思いピックアップしてみました。

規律→きまり

規律とは、集団の中におけるこれが守られることです。

教育基本法

(学校教育)

第六条

2 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受けるが、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。

学校教育法

なし

保育所保育指針

4 幼児教育を行う施設として共有すべき事項

⑵ 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿

エ 道徳性・規範意識の芽生え

友達と様々な体験を重ねる中で、してよいことや悪いことが分かり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになる。また、きまりを守る必要性が分かり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付けながら、きまりをつくったり、守ったりするようになる。

協力→協同→協働、協調

協力、協同、協働も、同じ目的に向かって力を合わせ物事を行うという意味では同じです。

協力はより幅広い使われ方をし、日常的に使う頻度が高いです。例えば「アンケートに協力する」という使い方はしますが、「アンケートに共同する」などという使い方はしません。

協同役割分担などが事前に決まっていることが多いです。

協働はそれぞれができること、得意分野のことをする場合に用いられることが多いです。協同よりも協働の方が、より一緒に行動するという意味合いが強いです。

協調とは「他の人と物事を上手くやってゆける傾向や性質」です。組織の潤滑油として機能させることを言います。

教育基本法

(教育の目標)

第二条

3 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

(義務教育)

第五条

3 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。

学校基本法

第二章 義務教育

第二十一条

一 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

保育所保育指針

1 保育所保育に関する基本原則

⑵ 保育の目標

(ウ) 人との関わりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとともに、自主、自立及び協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培うこと。

友だちと「協力」他17か所、「協同」他3か所

地域、保護者(大人)との「協働」他3か所

公共→社会→集団

公共とは、社会全体へ影響を及ぼす事柄、また社会全体で共有するもののことです。

社会とは、人間が集まって形成している集団、生活を送っている総体のことです。

集団とは、心理的集まりです。

教育基本法

前文

我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。

(教育の目標)

第二条

三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

社会」他14か所

学校基本法

第二章 義務教育

第二十一条

一 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

第二十三条

集団生活を通じて、喜んでこれに参加する態度を養うとともに家族や身近な人への信頼感を深め、自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを養うこと。

社会」他20か所

保育所保育指針

1 保育所保育に関する基本原則

⑶ 保育の方法

エ 子ども相互の関係づくりや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を効果あるもの
にするよう援助すること。

集団」他5か所

社会」他17か所

自主、自律→自立、自発

「自主性」とは、他人に頼らず自分の力で考えたり、行動したりすることのできる性質を言います。自発との違いは、他からの干渉を受けない」ことに重点が置かれています。

「自律」とは、 他の助けや支配なしに、自分の行動を自分の立てた規律に従って正しく規制すること。

「自立」…とは、他の助けや支配なしに、自分一人の力だけで物事を行うこと。ひとりだち。

「自発性」とは、他の誰かからの影響や教えなどによらず、ものごとを自分から進んで行おうとすることを言います。自主との違いは、自分がやりたくてやることに重点が置かれています。

ちなみに、「自発性」は倉橋惣三の影響であり、保育所保育指針にしかでてきません。

教育基本法

(教育の目的)

第二条

二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。

(義務教育)

第五条

2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。

学校教育法

(義務教育)

第五条

一 学校内外における社会的活動を促進し、自主自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

「自主、自律」他2か所

(家庭教育)

第十条 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。

「自立」他1か所

保育所保育指針

1 保育所保育に関する基本原則

⑵ 保育の目標 ア

(ウ) 人との関わりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとともに、自主自立及び協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培うこと。

「自主」他1か所、「自立」他6か所、「自発」他6ちなみ所

保護→養護

教育基本法

(義務教育)

第五条 国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。

学校教育法

(重要条文には)なし

保育所保育指針

1 保育所保育に関する基本原則

⑴ 保育所の役割

イ 保育所は、その目的を達成するために、保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。

「養護」他12か所

人格→人間

人格は「成長と共に備わった資質や能力のこと」。「人間力」と言い換えると分かりやすいです。

人間は「成長とともに備わった人間らしい性格のこと」。「人間らしさ」と言うと分かりやすいてす。

教育基本法

(教育の目的)

第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

(幼児期の教育)

第十一条 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。

学校教育法

なし

保育所保育指針

1 保育所保育に関する基本原則

⑵ 保育の目標

ア 保育所は、子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごす場である。このため、保育所の保育は、子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うために、次の目標を目指して行わなければならない。

4 幼児教育を行う施設として共有すべき事項 ⑴

(ウ) 心情、意欲、態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとする「学びに向かう力、人間性等」

研究、修養、養成→研修

教育基本法

(教員)

第九条 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。

2 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成研修の充実が図られなければならない。

学校教育法

なし

保育所保育指針

3 職員の研修

⑴ 職場における研修

職員が日々の保育実践を通じて、必要な知識及び技術の修得、維持及び向上を図るとともに、保育の課題等への共通理解や協働性を高め、保育所全体としての保育の質の向上を図っていくためには、日常的に職員同士が主体的に学び合う姿勢と環境が重要であり、職場内での研修の充実が図られなければならない。

学問、学習→学び

教育基本法

第2条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

第3条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。学校教育学校教育は、体系的・組織的に行われるべきこと、また、学校教育においては、児童・生徒が、規律を重んずるとともに、学習意欲を高めることを重視すべきことを新たに規定しています。

第6条

2 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら
進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。

2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

学校教育法

なし

保育所保育指針

⑵小学校との連携

ア 保育所においては、保育所保育が、小学校以降の生活や学習の基盤の育成につながることに配慮し、幼児期にふさわしい生活を通じて、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培
うようにすること。

3 職員の研修等

⑴ 職場における研修

職員が日々の保育実践を通じて、必要な知識及び技術の修得、維持及び向上を図るとともに、保育の課題等への共通理解や協働性を高め、保育所全体としての保育の質の向上を図っていくためには、日常的に職員同士が主体的に学び合う姿勢と環境が重要であり、職場内での研修の充実が図られなければならない。

教育基本法、学校教本法、保育所保育指針

過去問

保育士試験 令和3年(2021年)前期 保育原理 問2

次の図は、「保育所保育指針」第1章「総則」( 2 )「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の一部を図に表したものである。

問題文の画像

図中の( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

× 1. A:自立心 B:協調性 C:探求心の芽生え

○ 2. A:自立心 B:協同性 C:思考力の芽生え

× 3. A:自律心 B:協同性 C:思考力の芽生え

  • 自律という言葉は、保育所保育指針にはでてきません。

× 4. A:自律心 B:協調性 C:思考力の芽生え

× 5. A:自立心 B:協同性 C:探求心の芽生え

保育士試験 令和元年(2019年)後期 子どもの食と栄養 問15

次の文は、「保育所保育指針」第3章「健康及び安全」の2「食育の推進」の一部である。( A )~( D )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

・保育所における食育は、健康な生活の基本としての「( A 食を営む力 )」の育成に向け、その基礎を培うことを目標とすること。
・子どもが自らの感覚や体験を通して、( B 自然の恵み )としての食材や食の循環・環境への意識、調理する人への感謝の気持ちが育つように、子どもと調理員等との関わりや、調理室など食に関わる保育環境に配慮すること。
・保護者や地域の多様な関係者との( C 連携及び協働 )の下で、食に関する取組が進められること。
・体調不良、食物アレルギー、障害のある子どもなど、一人一人の子どもの心身の状態等に応じ、嘱託医、かかりつけ医等の( D 指示や協力 )の下に適切に対応すること。

× 1. A:連携及び協働  B:食を営む力  C:指示や協力   D:自然の恵み

  • 保育所保育指針での協働は、大人同士が協働するときしか使われません。

× 2. A:連携及び協働  B:食を営む力  C:協議      D:指示や協力

× 3. A:連携及び協働  B:自然の恵み  C:協議      D:指示や協力

× 4. A:食を営む力   B:自然の恵み  C:指示や協力   D:連携及び協働

○ 5. A:食を営む力   B:自然の恵み  C:連携及び協働  D:指示や協力

保育士試験 平成30年(2018年)前期 保育原理 問7

次の文は、戦後の保育の歴史に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

1963( 昭和38 )年に、( A )と厚生省の共同通知として「幼稚園と保育所との関係について」が発出された。この通知では、それぞれの機能の独自性を明示するとともに、「保育所のもつ機能のうち、教育に関するものは( B )に準ずることが望ましい」と示し、保育内容の統一化が図られた。そこで、( B )の改訂・告示を受けて、厚生省は、( C )年に「保育所保育指針」を公表した。ここでは、保育所保育の基本的性格について「( D )と教育が一体となって」と示されるとともに、子どもの発達上の特性、年齢別の保育内容、指導上の留意事項等の具体的な記載がなされ、最初の「保育所保育指針」として大きな役割を果たした。 

○ 1. ( A )文部省  ( B )幼稚園教育要領  ( C )1965( 昭和40 )  ( D )養護

× 2. ( A )内閣府  ( B )幼稚園教育要領  ( C )1975( 昭和50 )  ( D )保護

  • 保育所保育指針では、保護という言葉は使われません。

× 3. ( A )内閣府  ( B )保育要領     ( C )1965( 昭和40 )  ( D )保護

× 4. ( A )文部省  ( B )保育要領     ( C )1965( 昭和40 )  ( D )養護

× 5. ( A )文部省  ( B )幼稚園教育要領  ( C )1975( 昭和50 )  ( D )養護

保育士試験 平成30年(2018年)前期 教育原理 問1

次の文は、「教育基本法」第3条の条文である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

国民一人一人が、自己の( A 人格 )を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる( B 機会)に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる( C 社会 )の実現が図られなければならない。

× 1. ( A )人間性  ( B )機会  ( C )社会

  • 教育基本法に人間という言葉は出てきません。

× 2. ( A )人格   ( B )時期  ( C )社会

× 3. ( A )人格   ( B )機会  ( C )環境

× 4. ( A )人間性  ( B )時期  ( C )環境

○ 5. ( A )人格   ( B )機会  ( C )社会

保育士試験 平成28年(2016年)後期 保育原理 問1

次の文のうち、「保育所保育指針」第1章「総則」の(1)「保育の目標」の一部として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

× E  子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うために、子ども一人一人の状況よりも集団行動と規律に配慮して保育すること。

  • 保育所保育指針に規律という言葉はでてきません。

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