児童養護施設運営指針の「第Ⅱ部 各論①」!通勤しながらマスター!

ここでは、児童養護施設運営指針そのものを掲載しました。

児童福祉法等に共通していることは当たり前として、児童養護施設の特有のことや、過去問題で出題された部分を色表示にして、短時間で運営指針をマスターすることを目的としています。

ボリュームはありますが、難しい内容ではないので、色部を中心に1度読んみるだけでマスターできることを目指しています。

児童養護施設運営指針「第Ⅰ部 総論」はこちら

乳児院運営指針「各論①」はこちら

1.養育・支援

(1) 養育・支援の基本

①子どもの存在そのものを認め、子どもが表出する感情や言動をしっかり受け止め、子どもを理解する。

・職員は高い専門性に基づく深い洞察力をもって子どもを理解し、受容的・支持的な態度で寄り添い、子どもの課題把握に努める。
・被虐待体験や分離体験など子どもが抱える苦痛やいかりを理解する。
・子どもが表出する感情や言動のみを取り上げるのではなく、理由や背景を理解する。

②基本的欲求の充足が、子どもと共に日常生活を構築することを通してなされるよう養育・支援する。

・基本的な信頼感を獲得するなど良好な人間関係を築くために職員と子どもが個別的にふれあう時間を確保する。
・子ども一人一人の充足すべき基本的欲求を把握する。
・基本的欲求の充足において、子どもの希望や子どもと職員との関係性を重視する。
・職員は、基本的欲求の充足のプロセスにおいて子どもとの関係性をより深める。

③子どもの力を信じて見守るという姿勢を大切にし、子どもが自ら判断し行動することを保障する。

・過干渉にならず、つまずきや失敗の体験を大切にし、子どもが主体的に解決していくプロセスを通して、自己肯定感を形成し、自己を向上発展させられるよう養育・支援する。

(岡山孤児院十二則 旅行主義)

④発達段階に応じた学びや遊びの場を保障する。

年齢や発達段階に応じた図書や、玩具などの遊具、遊びの場を用意する。
・幼稚園の就園等、可能な限り施設外で教育を受ける機会を保障する。
・子どもの発達段階や学校適応状況を勘案して、必要に応じて特別支援教育を受ける機会を保障する。

⑤秩序ある生活を通して、基本的生活習慣を確立するとともに、社会常識及び社会規範、様々な生活技術が習得できるよう養育・支援する。

・職員の指示や声掛けは適切に行い、穏やかで秩序ある生活が営めるようにする。
・普段から職員が振る舞いや態度で模範を示す。 (岡山孤児院十二則 実行主義)
・施設生活・社会生活の規範等守るべきルール、「しなければならないこと」と「してはいけないこと」を理解できるよう子どもに説明し、責任ある行動をとるよう養育・支援する。
・子どもが社会生活を営む上での必要な様々な知識や技術を日常的に伝え、子どもが生活技術や能力を習得できるよう養育・支援する

(2) 食生活

①食事は、団らんの場でもあり、おいしく楽しみながら食事ができるよう工夫する。

・食事の時間が、職員と子ども、そして子ども同士のコミュニケーションの場として機能するよう工夫する。
・クラブ活動等子どもの事情に応じて、温かいものは温かく食べられるなど、配慮された食事環境とする。
・無理なく楽しみながら食事ができるように、年齢や個人差に応じて食事時間に配慮する。
・施設外での食事、来客を迎えての食事など、食事を楽しむ多様な機会を設ける。

②子どもの嗜好や健康状態に配慮した食事を提供する。

・子どもの年齢、障害のある子ども、また、食物アレルギーの有無など子どもの心身の状態や日々の健康状態に応じ、適切に対応する。
・定期的に残食の状況や子どもの嗜好を調査し、栄養摂取量を勘案し献立に反映す る。

③子どもの発達段階に応じて食習慣を身につけることができるよう食育を推進する。

・日常的に食材の買い出しから後片付けまでに触れることで、食生活に必要な知識及び技能を習得し、基本的な食習慣を身につけることができるよう食育を推進する。
・日々提供される食事について献立の提示等食に関する情報提供等を行う。
・偏食の指導を適切に行う。
・食事の準備や配膳、簡単な調理など基礎的な調理技術を習得できるようにする。
・郷土料理、季節の料理、伝統行事の料理などに触れる機会をもち、食文化を継承できるようにする。

(3)衣生活

①衣服は清潔で、体に合い、季節にあったものを提供する。

・常に衣服は清潔で、体に合い、季節にあったものが着用できるようにする。

②子どもが衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるように支援する。

・気候、生活場面、汚れなどに応じた選択、着替えや衣類の整理、保管などの衣習慣の習得を支援する。
・発達段階や好みに合わせて、四季を通じて子ども自身が衣服を購入する機会を設ける。

(4)住生活

①居室等施設全体がきれいに整美されているようにする。

建物の内外装、設備、家具什器、庭の樹木、草花など、子どもの取り巻く住環境から、そこに暮らす子どもが大切にされているというメッセージを感じられるようにする。

・軽度の修繕は迅速に行う。
・発達段階に応じて居室等の整理整頓、掃除等の習慣が身につくようにする。

②子ども一人一人の居場所が確保され、安全、安心を感じる場所となるようにする。

・小規模グループケアを行う環境づくりに配慮する。
・家庭的な環境としてくつろげる空間を確保する。
・中学生以上は個室が望ましいが、相部屋であっても個人の空間を確保する。

(5)健康と安全

①発達段階に応じ、身体の健康(清潔、病気、事故等)について自己管理ができるよう支援する。

・幼児については、常に良好な健康状態を保持できるよう、睡眠、食事摂取、排泄等の状況を職員がきちんと把握する。
・発達段階に応じて、排泄後の始末や手洗い、うがい、洗面、洗髪、歯磨きなどの身だしなみ等について、自ら行えるように支援する。
・寝具や衣類などを清潔に保つなど、自ら健康管理できるよう支援する。
・夜尿のある子どもについて、常に寝具や衣類が清潔に保てるよう支援する。

②医療機関と連携して一人一人の子どもに対する心身の健康を管理するとともに、異常がある場合は適切に対応する。

・健康上特別な配慮を要する子どもについて、医療機関と連携するなど、子どもの心身の状態に応じて、健康状態並びに心身の状態について、定期的、継続的に、また、必要に応じて随時、把握する。
・受診や服薬が必要な場合、子どもがその必要性を理解できるよう説明する。
・感染症に関する対応マニュアル等を作成し、感染症や食中毒が発生し、又は、まん延しないように必要な措置を講じるよう努める。また、あらかじめ関係機関の協力が得られるよう体制整備をしておく。

(6)性に関する教育

①子どもの年齢・発達段階に応じて、異性を尊重し思いやりの心を育てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設ける。

・性をタブー視せず、子どもの疑問や不安に答える。
・年齢・発達段階に応じた性教育を実施する。
・日頃から職員間で性教育のあり方等を検討し、職員の学習会を行う。
・必要に応じて外部講師を招いて、学習会などを職員や子どもに対して実施する。

(7)自己領域の確保

①でき得る限り他児との共有の物をなくし、個人所有とする。

・食器や日用品などが子どもの好みに応じて個々に提供する。
・個人の所有物について記名する場合は、年齢や子どもの意向に配慮する。
・個人の所有物が保管できるよう個々にロッカー、タンス等を整備する。

②成長の記録(アルバム)が整理され、成長の過程を振り返ることができるようにする。

・子ども一人一人の成長の記録を整理し、自由に見ることができるように個人が保管し、必要に応じて職員と共に振り返る。

児童養護施設運営指針

(8)主体性、自律性を尊重した日常生活

①日常生活のあり方について、子ども自身が自分たちの問題として主体的に考えるよう支援する。

・子ども自身が自分たちの生活について主体的に考えて、自主的に改善していくことができるような活動(施設内の子ども会、ミーティング等)が行えるよう支援する。
・行事などの企画・運営に子どもが主体的にかかわり、子どもの意見を反映させる。

②主体的に余暇を過ごすことができるよう支援する。

・子ども興味や趣味に合わせて、自発的活動ができるよう支援する。
・学校のクラブ活動、外部のサークル活動、子どもの趣味に応じた文化やスポーツ活動は、子どもの希望を尊重し、可能な限り参加を認める。

③子どもの発達段階に応じて、金銭の管理や使い方など経済観念が身につくよう支援する。

・計画的な小遣いやアルバイト代の使用、金銭の自己管理ができるように支援する。
・退所を見据え、一定の生活費の範囲で生活することを学ぶプログラムを実施する。

(9)学習・進学支援、就労支援

①学習環境の整備を行い、学力等に応じた学習支援を行う。

不適切な学習環境にいた子どもが多いことを踏まえて、その学力に応じて学習の機会を確保し、よりよき自己実現に向けて学習意欲を十分に引き出す。
・公立・私立、全日制・定時制にかかわらず高校進学を保障する。また、障害を有する子どもについては特別支援学校高等部への進学を支援するなど、子どもの学習権を保障する。

②「最善の利益」にかなった進路の自己決定ができるよう支援する。

・進路選択に必要な資料を収集し、子どもに判断材料を提供し、十分に話し合う。

・高校卒業後の進学についてもでき得る限り支援する。

中卒児・高校中退児に対して、就労させながら施設入所を継続することで十分な社会経験を積めるよう支援する。

③職場実習や職場体験等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組む。

・事業主等と密接に連携するなど、職場実習の効果を高めるよう支援する。
・子どもの希望に応じてアルバイト等就労体験を積めるよう支援する。

(10)行動上の問題及び問題状況への対応

①子どもが暴力、不適応行動などを行った場合に、行動上の問題及び問題状況に適切に対応する。

・子どもの特性等あらかじめ職員間で情報の共有化し、連携して対応する。
・問題行動をとる子どもへの対応だけでなく、施設の日々の生活の持続的安定の維持が子どもの問題行動の軽減に寄与することから、損なわれた秩序の回復、一緒に暮らす成員間の関係修復、生活環境の立て直しなど子どもの問題行動によって引き起こされる問題状況への対応を行う。
・子どもの行動上の問題に対しては、子どもが訴えたいことを受けとめるとともに、多角的に検証して原因を分析した上で、適切に対応する。また、記録にとどめ、以後の対応に役立てる。

パニックなどで自傷や他害の危険度の高い場合に、タイムアウトを行うなどして子どもの心身を傷つけずに対応するとともに、周囲の子どもの安全を守る

②施設内の子ども間の暴力、いじめ、差別などが生じないよう施設全体で取り組む。

・日頃から他人に対する配慮の気持ちや接し方を職員が模範となって示す。
・子ども間の暴力、いじめ、差別などが施設内で生じないようにするための予防策や、発生してしまった場合に、問題克服へ向けた取組を施設全体で行う。
・施設内での重要なルールとして「暴力防止」を掲げ、日頃から他者の権利を守ることの大切さを子どもと話し合う機会を持つ。
・子どもの遊びにも職員が積極的に関与するなどして子ども同士の関係性の把握に努め、いじめなどの不適切な関係に対しては適時介入する。
・生活グループの構成には、子ども同士の関係性に配慮する。
・暴力やいじめについての対応マニュアルを作成するなど、問題が発覚した場合は、全職員が適切な対応ができる体制を整える。

③虐待を受けた子ども等、保護者からの強引な引き取りの可能性がある場合、施設内で安全が確保されるよう努める。

強引な引き取りへの対応について、あらかじめ施設で統一的な対応が図られるよう周知徹底する

・生活する場所が安全であることを、子どもが意識できるようにする。

(11)心理的ケア

①心理的ケアが必要な子どもに対して心理的な支援を行う。

・心理的な支援を必要とする子どもは、自立支援計画に基づきその解決に向けた心理支援プログラムを策定する。
・施設における他の専門職種との多職種連携を強化するなどにより、心理的支援に施設全体で有効に取り組む。
・治療的な援助の方法について施設内で研修を実施する。

(12)継続性とアフターケア

①措置変更又は受入れに当たり、継続性に配慮した対応を行う。

・子どもの特性を理解するための情報の共有化やケース会議を実施し、切れ目のない養育・支援に努める。
・措置変更に当たり、引き継ぎを行う施設、里親等と丁寧な連携を行う。そのために日頃より、それぞれの施設や里親の役割を十分に理解し、連絡協議会や合同研修会の開催など相互に連携に努める。
・継続的な支援を行うための育ちの記録を作成する。
・前任の養育者や施設の担当者から後任の者へ適切に引き継ぐ。
・里親、児童自立支援施設などへの措置変更されたケースについて、再び児童養護施設での養育が必要と判断された場合、入所していた施設は再措置に対応する。
・18歳に達する前に施設を退所し自立した子どもについては、まだ高い養護性を有したままであることを踏まえ、必要に応じて再入所の措置に対応する。

入所経路別児童数

②家庭引取りに当たって、子どもが家庭で安定した生活が送ることができるよう家庭復帰後の支援を行う。

・退所に当たって、ケース会議を開催し、子ども本人や保護者の意向を踏まえて、児童相談所や関係機関等と協議の上、適切な退所時期や退所後の生活を検討する。
・子どもが退所する地域の市町村や関係機関と連携し、退所後の生活の支援体制の構築に努める。
・退所後も施設として子どもと保護者が相談できる窓口を設置し、子どもと保護者に伝える。
・子どもや家庭の状況の把握に努め、退所後の記録を整備する。

③できる限り公平な社会へのスタートが切れるように、措置継続や措置延長を積極的に利用して継続して支援する。

・子どもの最善の利益や発達状況をかんがみて、高校進学が困難な子どもや高校中退の子どもへの措置継続や、18歳から20歳までの措置延長を利用して自立支援を行う。

④子どもが安定した社会生活を送ることができるよう退所後の支援を積極的に行う。

・アフターケアは施設の業務であり、退所後も施設に相談できることを伝える。
・退所者の状況を把握し、退所後の記録を整備する。
・必要に応じて、児童相談所、市町村の担当課、地域の関係機関、自立援助ホームやアフターケア事業を行う団体等と積極的な連携を図りながら支援を行う。

施設退所者が集まれるような機会を設けたり、退所者グループの活動を支援し、参加を促す。

2.家族への支援

(1)家族とのつながり

①児童相談所や家族の住む市町村と連携し、子どもと家族との関係調整を図ったり家族からの相談に応じる体制づくりを行う。

家庭支援専門相談員を独立した専門職として配置し、その役割を明示する。

・家族との関係調整については、定例的かつ必要に応じて児童相談所と家族の状況や入所後の経過について情報を共有し、協議を行い、また、家族の所在する市町村と協議を行う。

②子どもと家族の関係づくりのために、面会、外出、一時帰宅などを積極的に行う。

・家族に対して、面会、外出、一時帰宅はもちろん、学校行事等への参加を働きかける。
・一時帰宅は児童相談所と協議を行う。
・親子が必要な期間を一緒に過ごせるような宿泊設備を施設内に設ける。
・家族等との交流の乏しい子どもには、週末里親やボランティア家庭等での家庭生活を体験させるなど配慮する。

児童養護施設等入所調査

(2)家族に対する支援

①親子関係の再構築等のために家族への支援に積極的に取り組む。

・子どもと保護者の安定した関係に配慮し、保護者の養育力の向上に資するよう、適切に支援を行う。
・子どものために行う保護者への援助を支援として位置付け、積極的に取り組む。
・親子生活訓練室の活用や家族療法事業の実施など、子どもと保護者との関係回復に向けた支援を行う。

3.自立支援計画、記録

(1)アセスメントの実施と自立支援計画の策定

①子どもの心身の状況や、生活状況等を正確に把握するため、手順を定めてアセスメントを行い、子どもの個々の課題を具体的に明示する。

・児童相談所との話し合いや関係書類、子ども本人との面接などで、子どもの心身の状況や生活状況、保護者の状況など家庭環境、学校での様子などを必要な情報を収集し、統一した様式に則って記録する。
・把握した情報を総合的に分析・検討し、課題を具体的に明示する。

・アセスメントは、子どもの担当職員をはじめ、心理療法担当職員、家庭支援専門相談員などが参加するケース会議で合議して行う。

②アセスメントに基づいて子ども一人一人の自立支援計画を策定するための体制を確立し、実際に機能させる。

・自立支援計画策定の責任者(基幹的職員等)を設置する。
・児童相談所と援助方針等について打ち合わせ、自立支援計画に反映させる。
・また、策定した自立支援計画を児童相談所に提出し、共有する。
・自立支援計画は、ケース会議で合議して策定する。
・自立支援計画には、支援上の課題と、課題解決のための支援目標と、目標達成のための具体的な支援内容・方法を定める。
・支援目標は、子どもに理解できる目標として表現し、努力目標として子どもに説明する。
・策定された自立支援計画を、全職員で共有し、養育・支援は統一かつ統合されたものとする。

③自立支援計画について、定期的に実施状況の振り返りや評価と計画の見直しを行う手順を施設として定め、実施する。

・自立支援計画の見直しは、子どもとともに生活を振り返り、子どもの意向を確認し、併せて保護者の意向を踏まえて、それらを反映させつつ、子どもの最善の利益を考慮して行う。
・計画の見直し時には、支援方法を振り返り、自己評価し、支援の成果について分析、検証を行い、専門性や技術の向上に努めし、施設全体の支援の向上に反映させる仕組みを構築する。
・アセスメントと計画の評価・見直しは、少なくとも半年ごとに定期的に行い、かつ緊急の見直しなど必要に応じて行う。

(2)子どもの養育・支援に関する適切な記録

①子ども一人一人の養育・支援の実施状況を適切に記録する。

・入所からアフターケアまでの養育・支援の実施状況を、家族及び関係機関とのやりとり等を含めて適切に記録する。
・記録内容について職員間でばらつきが生じないよう工夫する。

②子どもや保護者等に関する記録の管理について、規程を定めるなど管理体制を確立し、適切に管理を行う。

・記録の管理について個人情報保護と情報開示の観点から、研修を実施する。

・守秘義務の遵守を職員に周知する。

③子どもや保護者等の状況等に関する情報を職員が共有するための具体的な取組を行う。

・施設における情報の流れを明確にし、情報の分別や必要な情報が的確に届く仕組みを整備する。
・施設の特性に応じて、ネットワークシステム等を利用して、情報を共有する仕組みを作る。

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