行動主義を攻略して保育の達人になろう!

人物の記事は、覚えやすくするために、人物写真を入れているのですが、もはやすべて同じ顔に見えてきました。

あとは、実験と一緒に覚えると暗記しやすいですね。

行動主義とは?

行動主義とは、わかりやすく言うと、行動を観察すれば心がわかるというもので、「どう行動したか」という目に見える部分に着目する考え方です。

それまでは「何を思ったか」「どう感じたか」を分析するのが主流でしたが、それは本人にしか分かりません。

現在の心理学は、ほとんどがこの行動主義といって差し支えありません。

行動主義は、刺激(stimulus)を与えれば反応(response)するというのS−R理論のもとに成り立たせています。

行動主義者の4先人

  • パブロフ
  • ワトソン
  • スキナー
  • バンデューラー

パブロフ

パブロフ

1849年、パブロフはロシアで生まれ、11人兄弟の長男で、幼いころから好奇心旺盛だったといいます。

物理や数学を学ぶうち、医学へ興味を抱くようになり、外科医に弟子入りして医師の資格を取得しました。

犬の実験

やがて消化腺の研究をするようになり、与える餌によって犬の唾液成分や量の変化を調べる実験をしていました。

パブロフの犬の実験

レスポンデント(古典的)条件付け

分泌された唾液を口の外に出させるため、犬の口に唾液を採取できるような手術をしたところ、餌をまだあげていない犬の口から大量の唾液がでていることに気づきます。

これは餌を与える人間の足音がきっかけで唾液の分泌が促されているようだということがわかりました。

パブロフは、本来無関係な刺激が生物の反応に影響を及ぼす可能性があることに気づきました。

さらに条件反射の実験・研究を続け、ついに大脳の生理機能を究明し、ノーベル生理学医学賞を受賞しました。

死の淵には学生をベッドの近くに座らせ、生理機能の様子を記録させたといいます。

最後まで威厳ある研究者の姿勢を崩さず、肺炎により亡くなりました。

ワトソン

ワトソンはパブロフの理論を前提に、行動主義という立場を創設しました。

ワトソンの環境説の記事はこちら

スキナー

スキナー

ブルーナーと同様に、ふたつの科目にまたがって登場してくる人物です。

スキナー箱実験

スキナー箱実験は、ネズミが赤いレバーを引けば箱から簡単に餌が出てくることを学び、餌を食べるためにそれを繰り返していく実験です。

スキナー箱実験

オペラント(道具的)条件付け

オペラント条件付けとは、報酬に適応して、自発的にある行動を行うように、学習することです。

オペラントは「操作的な」という意味です。

行動変容アプローチに応用されているという記事

プログラム学習

プログラム学習とは、オペラント条件付けを応用して綿密にプログラム化されたティーチング・マシーンを利用した学習です。

ティーチング・マシーンは課題をスモール・ステップに分割し、学習者が自分のペースで自発的に学習でき、効率的に学習できるよう即時にフィードバックを行います。

プログラム学習の具体例

小学生のH君は割り算ができるようになりたいとティーチング・マシーンを始めました。

そこでティーチング・マシーンは足し算の問題を提示したところ、H君は難なく正解することができました。

次にティーチング・マシーンから掛け算の問題を提示され、H君は何回か間違えてしまったものの正解することができました。

間違いがあったため、2、3問目が追加提示されましましたが、考えながらも正解することができました。

ティーチング・マシーンから「割り算は難しいけど集中すればできるからね」という励ましのメッセージの後、割り算の問題が提示されましたが、H君はなかなか解くことができません。

そこで解き方の図解がティーチング・マシーンから提示され、それをH君は理解することができ、次の問題は正解することができました。

バンデューラ

パンデューラ

バンドゥーラはカナダの心理学者です。

ボボ人形実験

研究では、児童の攻撃性に関心を持ち、大人が大きな人形を乱暴に扱う様子を子どもに見せると、子どもがその行動を模倣することを実験(ボボ人形実験)で示して観察学習の存在を明らかにしました。

ボボ人形実験

観察学習(モデリング)

バンデューラは、スキナーの「学習したらご褒美をあげる」理論に賛同しつつ、「見ただけで学習してしまう」観察学習(モデリング)を主張しました。

バンデューラは2021年に亡くなられた方です。

ボボ人形実験は、子どもは観察しただけで学習できることを示し、特に暴力的なテレビ映像などは学習してしまうことが多いことを結論づけてます。

テレビからそのようなシーンが少なくなったのは、バンデューラの影響があります。

社会的学習理論

社会的学習理論とは、自身の体験はもちろんのこと、観察学習・模倣によっても学習するという、さらに発展した理論です。

社会的学習理論 事例

ある幼児がおもちゃを片付けて、保育士に褒められていたとします。

それを見ていた他児が、同じようにおもちゃを片付けたところ、保育士に褒められたので次の日もおもちゃを片付けます。

行動療法へ

行動療法とは、きっかけを変えることで、望ましい行動を増やしていこうとする考え方です。

行動主義の影響を受け、条件付けの繰返しであるペットのしつけから、うつ病や不安症の治療に用いられる心理療法です。

行動療法例1

ある小学生は、ラジオ体操に参加するとスタンプがもらえると聞き、休まずに参加できるようになりました。

行動療法例2

子どもがおもちゃ屋さんの前で、「あれを買って!」と駄々をこね、母親はいつも根負けして買ってしまいます。

そこで、おもちゃ屋さんの前を通らない、あらかじめベビーカーにお気に入りのぬいぐるみをつけておくなど、きっかけを変えるようにします。

また、叫び疲れた後の子どもが落ち着いた瞬間、「がまんできたね! えらかったね~」などと褒め、がまんするといいことがあることを気づかせます。

保育心理の目次

過去問

保育士試験 令和5年(2023年)後期 保育心理 問8

次の文は、幼児の学びの過程に関する記述である。A~Dに関する用語を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。

A 病院で、注射の痛みで泣く経験をした子どもが、医者が着ている白衣に似たものを見ただけで泣き出す。

  • ア 古典的条件づけ

B 新入園児が、その保育所やクラスの行動様式を徐々に学び、身につけ、クラスに溶け込み、クラスの一員となっていく。

C 保育者の手伝いをして褒められた子どもが、次からは、褒めてもらうために手伝いをしたがる。

    D 子どもが「昨日は家族で公園に行った」など、過去の自分の経験について話をする。

    【語群】
    ア 古典的条件づけ
    イ 外発的動機づけ
    ウ 正統的周辺参加
    エ 手続き的記憶
    オ 内発的動機づけ
    カ エピソード記憶
    キ 認知的徒弟制
    ク 観察学習


    (組み合わせ)
    A B C D
    1 ア ウ イ カ

      保育士試験 令和5年(2023年)後期 保育心理 問2

      次のうち、発達理論に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

      × A ジェンセン(Jensen, A.R.)は、人は経験によって変化しうるとし、行動主義の創始者となった。

      • 行動主義の創始者はワトソンです。

      × B ワトソン(Watson, J.B.)は、自分で自分の心の働きを振り返る、省察や内観をもとにした心理学研究の分野を確立した。

      • ワトソンが確立したのは行動主義です。

      ⚪︎ C バンデューラ(Bandura, A.)は、条件づけをもとにした学習理論を社会的学習理論へと発展させ、人の行動を観察し、その人に罰や報酬が与えられるのを見たりすることによって、行動が変容することを実験によって明らかにした。

      D ゴールトン(Galton, F.)は、個人差の大部分が遺伝によるものであるとし、遺伝的に優れた人同士が数世代にわたって子孫を残すことで、人類は高い才能をつくり出しうると考えた。

      (組み合わせ)
        A B C D
      5 × × ○ ○

      保育士試験 令和5年(2023年)前期 保育心理 問7

      次のうち、学習のメカニズムに関する【I群】の記述と【II群】の用語を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

      【I群】
      A 学習の目標となる反応を増大させるための条件づけの手続きである。

      • 強化

      B 生得的な反射を基礎にする刺激と反応の新たな連合の習得である。

      • 古典的条件付け

      C ある行動を引き起こし、その行動を持続させ、一定の方向に導くプロセスである。

      • 動機づけ

      D 課題をスモール・ステップに分割し、学習者が自分のペースで自発的に学習する方法である。

      • プログラム学習

      【II群】
      ア 古典的条件づけ
      イ 動機づけ
      ウ プログラム学習
      エ 道具的条件づけ
      オ 強化
      カ 発見学習

      (組み合わせ)
      A B C D
      1 ア エ イ ウ
      2 ア エ ウ カ
      ○ 3 オ ア イ ウ
      4 オ ア イ カ
      5 オ ア ウ カ

      保育士試験 令和5年(2023年)前期 保育心理 問8

      次のA~Dの学習に関する記述について、関連する用語の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

      A 他者の行動とその結果を観察するだけで学習は成立する。
      B 問題を取り巻く状況全体を把握して構造を理解し、見通しをもつことにより問題を解決する。
      C ある学習をしたことがその後の別の学習に影響する。
      D 大人の子どもに対する期待が子どもの学習に影響を与える。

      (組み合わせ) ABCD
      × 1 モデリング 試行錯誤
      学習曲線 ハロー効果
      × 2 モニタリング 試行錯誤

      学習曲線 ハロー効果
      ○ 3 モニタリング 洞察
      学習の転移 ピグマリオン効果

      × 4 モデリング 洞察
      学習の転移 ハロー効果
      × 5 モデリング 洞察

      学習の転移 ピグマリオン効果

      保育士試験 令和4年(2022年)後期 教育原理 問4

      次の文にあてはまる人物として、正しいものを一つ選びなさい。

      学習とは行動の変容であると考える立場に立って、行動の変容をいかにして効率化できるかを考えた。学習を効率的に行わせるには、正の強化要因を与えるか、負の強化要因を除けばよいとした。学習者が反応(解答)した際に、正しかったかどうかについてフィードバックがあるように、ティーチング・マシーンを考案した。問題は綿密にプログラム化されており、プログラム学習といわれる。

      × 1 ライン(Rein, W.)
      × 2 ブルーナー(Bruner, J.S.)

      ○ 3 スキナー(Skinner, B.F.)
      × 4 ピアジェ(Piaget, J.)
      × 5 ヴィゴツキー(Vygotsky, L.S.)

      保育士試験 令和2年(2020年)後期 保育の心理学 問86

      次の文は、幼児の学びに関わる理論の記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。

      他者の行動やそれに伴う結果を見ることによって、その行動を習得する学習を( A 観察学習 )という。( B バンデューラ )は( A 観察学習 )を中心として( C 社会的 )学習理論を提唱した。例えば、おもちゃを片付けて保育士に褒められた他児を見た幼児が、同じように片付ける。また、外履きを脱いだままにして保育室に入ろうとする他児が注意されているのを見た幼児が、自分の外履きを靴箱にしまう。このような学習形態は保育場面でも多く見られる。他者の行動を見ることにより行動を習得することから、( D モデリング )ともいわれる。

      【語群】
      ア 観察学習
      イ バンデューラ( Bandura, A.)
      ウ 洞察学習
      エ モデリング
      オ 社会的
      カ ブルーナー( Bruner, J.S.)
      キ モニタリング
      ク 文化的

      保育士試験 令和元年(2019年)後期 教育原理 問26

      次の【Ⅰ群】の記述と、【Ⅱ群】の人物を結び付けた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

      【Ⅰ群】

      B  行動主義心理学の立場で、刺激を与えれば反応が生起するという理論(S−R理論)をもとにプログラム学習を構想した。

      • スキナー:「行動主義心理学」やスキナー箱の実験での「プログラム学習」は、スキナーに関する記述です。

      【Ⅱ群】
      ア  オーズベル(Ausubel, D.P.)
      イ  ブルーナー(Bruner, J.S.)

      ウ  スキナー(Skinner, B.F.)

      保育士試験 平成30年(2018年)後期 保育の心理学 問81

      次の文は、子ども理解や発達観に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

      ○ C  行動主義理論においては、保育者が行動を変容させる技法を用いて、適切な行動を形成すると考えられている。

      保育士試験 平成30年(2018年)前期 保育の心理学 問82

      次の文は、認知発達のメカニズムに関する記述である。【Ⅰ群】の人名及び用語と、【Ⅱ群】の内容を結びつけた場合の適切な組み合わせを一つ選びなさい。

      【Ⅰ群】
      A  ケーラーの洞察

      B  パブロフのレスポンデント条件付け

      • レモンを思い浮かべただけで、唾液が出てきた。

      C  バンデューラの観察学習

      • 正義の味方が活躍するテレビ番組が放送された翌日には、クラスでヒーローごっこが、いつもより盛んに行われた。

      D  スキナーのオペラント条件付け

      • ラジオ体操に参加するとスタンプがもらえるので、休まずに参加した。

      【Ⅱ群】

      ア  レモンを思い浮かべただけで、唾液が出てきた。

      ウ  正義の味方が活躍するテレビ番組が放送された翌日には、クラスでヒーローごっこが、いつもより盛んに行われた。

      エ  ラジオ体操に参加するとスタンプがもらえるので、休まずに参加した。

      2. ( A )イ ( B )ア ( C )ウ ( D )エ

      保育士試験 平成29年(2017年)前期 保育の心理学 問89

      次の文は、学童期の仲間関係についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

      ○ A  仲間は、観察学習のモデルとして相互に影響を及ぼし合う存在である。

      B  学童期の初めでは特に、学級内での役割分担が仲間形成の要因になりやすい。

      C  学童期の初めには、閉鎖性の強いギャング・グループが生まれやすい。

      D  学童期の終わり頃になると、興味・関心や価値観などの内面的な特性による結びつきが強くなる。

      3. ( A )○ ( B )× ( C )× ( D )○

      保育士試験 平成25年(2013年) 保育の心理学 問82

      次の【I群】の発達の理論と【II群】の人名とを結びつけた場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。

      C 他者の行動およびその結果を観察することによって、自らの行動を変容させたり新しい行動を習得したりするとした。

      【II群】
      ア ゲゼル(Gesell, A.L.)
      イ ピアジェ(Piaget, J.)

      ウ バンデューラ(Bandura, A.)
      エ ヴィゴツキー(Vygotsky, L.S.)
      オ フェスティンガー(Festinger, L.)
      カ バウアー(Bower, T.G.R.)
      キ ワトソン(Watson, J.B.)

      保育士試験 平成23年(2011年) 発達心理学 問42

      次の【I群】の人名と【II群】の事項を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

      【I群】

      A スキナー  (skinner,B.F)

      B ブルーナー (bruner,J.S)

      C バンデューラ(bandura,A)

      【II群】

      ア プログラム学習

      • スキナー

      イ 社会的学習理論

      • バンデューラ

      ウ 精神分析理論

      エ 発見学習

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