道徳って一体なに?モヤモヤしてるからこそ流れを掴もう!

コールバーグとアイゼンバーグは親戚か兄弟なのかと思っていました。

本日の記事は「道徳」がキーワードとなる内容を時系列に並べてみました。

流れが試験にでるというわけではなく、覚えるきっかけになればと思います。

道徳とは?

道徳とは、「善悪を判断し、善を行おうとすること」です。

道徳的判断を行う前提として、自己中心的ではなく他者の立場に立つという役割取得が身についている必要があります。

ごっこ遊びも役割取得が必要という記事

世界の動き

ヘルバルト

ヘルバルトは、教育の目的は道徳的に立派な人格を育成することだと主張しています。

ヘルバルトの記事はこちら

ピアジェ

ピアジェは、道徳的判断は認知発達と関連していると主張しました。

善悪の判断は、被害の大きいものを悪いと判断していたものが、悪い意図のあるものを悪いと判断するようになるとしました。

ピアジェの記事はこちら

コールバーグ

コールバーグは、わずか1年で学位を取得し、ピアジェの認知発達理論の影響を受けて博士号を取得します。

コールバーグ

コールバーグは10歳前後の児童期から成人にかけて育つ道徳性の発達について、3レベル6段階に分けて説明しました。

レベル1 :1、2段階

行動の規準が自分本位に決定され、社会的慣習を考慮しない水準

警察に捕まらないならばよい、奥さんはいい人で美しいのだから彼はそれをやるべきだというような考えです。

レベル2 :3、4段階

他者の期待や社会的慣習に基づいて行動する水準

彼は妻を愛しているからそれをやるべきだ、人を護ることは、財産を守ることよりも大事だという考えです。

レベル3 :5、6段階

道徳的価値と自己の良心によって行動する水準

社会において人には生存権があるため彼女を失ったら私は顔向けできないだろう、人命には特別な固有の価値があり彼女を失ったら私は私でいられないという考えです。

年齢が高いと段階が高くなるのは判明していますが、6段階目まで発達している人は、大人でも少ないのではないでしょうか。

コールバーグの理論は、今日の混迷した社会で、道徳的判断を行うためのすぐれた知見や手がかりを与えるものであるといえます。

児童権利宣言

道徳的に成長する手段を与えることが明記されました。

第二条
児童は、特別の保護を受け、また、健全、かつ、正常な方法及び自由と尊厳の状態の下で身体的、知能的、道徳的、精神的及び社会的に成長することができるための機会及び便益を、法律その他の手段によつて与えられなければならない。

児童権利条約

道徳的な発達のための生活水準の権利を与えることが明記されました。

第27条
1 締約国は、児童の身体的、精神的、道徳的及び社会的な発達のための相当な生活水準についてのすべての児童の権利を認める。

児童の権利に関する条約の記事はこちら

アイゼンバーグ

アイゼンバーグ

アイゼンバーグは、ピアジェやコールバーグの理論には、向社会的態度に焦点が当てられていないと指摘しました。

向社会的態度とは、見返りを期待せずに、人のためになるような行動をしようとする態度のことです。

つまり、思いやりを持って行動するということです。

アイゼンバーグはこの向社会的態度の発達を3つの大枠となる、全部で5段階に規定しました。

レベル1 :1、2段階

自分の快楽のための行動をします。

例えば、子どもが友達の誕生日会に向かう道中で、怪我をしている子どもに会うという設定で、レベル1ではケーキを食べたりゲームで遊んだりしたいから誕生日会に行きます。

レベル2:3、4段階

相手の立場に立っており共感的に行動します。

レベル2では、子どもが怪我をしているから悲しくなるという理由で助けます。

レベル3:5段階

強く内面化された価値観で行動します。

レベル3では、困っている人がいるから助けなければならないと思い助けます。

日本の動き

教育基本法改正

教育基本法改正により道徳心を培うことが明記されました。

教育基本法
第2条
一幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。

保育所保育指針改正

保育所保育指針改正により道徳性の芽生えを培うことが明記されました。

保育所保育指針
第1章 総則
1 保育所保育に関する基本原則
⑵ 保育の目標
ア 保育所は、子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごす場である。このため、保育所の保育は、子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うために、次の目標を目指して行わなければならない。
(ウ) 人との関わりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとともに、自主、自立及び協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培うこと。

いじめ防止対策推進法成立

いじめ防止対策推進法成立で道徳心を培うことが明記されました。

いじめ防止対策推進法
第三章 基本的施策
(学校におけるいじめの防止)
第十五条
学校の設置者及びその設置する学校は、児童等の豊かな情操と道徳心を培い、心の通う対人交流の能力の素地を養うことがいじめの防止に資することを踏まえ、全ての教育活動を通じた道徳教育及び体験活動等の充実を図らなければならない。

中央教育審議会

中央教育審議会答申「道徳に係る教育課程の改善等について」が議論されました。

本文は、大津いじめ事件をきっかけとして、道徳的判断ができない子どもが増えているなかで、道徳の授業を見直しましょうと言っています。

引き継ぐべきというのは、以前からあった基本的な考え方はそのままかわらず持ち続けるべきということです。

本文

1 道徳教育の改善の方向性
(1)道徳教育の使命
教育基本法においては、教育の目的として、人格の完成を目指すことが示されている。
本議論の発端となったのは、いじめの問題への対応であった。様々な道徳的価値について、自分との関わりも含めて理解し、それに基づいて内省し、多角的に考え、判断することが必要と考えられている。
道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うという道徳教育の基本的な考え方は、今後も引き継ぐべきであると考えられている。
(2)道徳教育のねらいを実現するための教育課程の改善
本来の道徳教育のねらいがより効果的に実現されるよう改善を図る必要がある。

2 道徳に係る教育課程の改善方策
(1)道徳の時間を「特別の教科 道徳」(仮称)として位置付ける。
道徳教育の改善・充実のための方策の一つとして、道徳の時間を、教育課程上「特別の教科 道徳」(仮称)として位置付け、道徳教育の改善・充実を図ること が提言された。
(2)目標を明確で理解しやすいものに改善する
道徳性は、極めて多様な児童生徒の人格全体に関わるものであることから(中略)数値などによる評価は導入すべきではない。」と記載されている。
道徳の授業については、特に小学校高学年や中学校において課題の改善のため、児童生徒の発達の段階を踏まえ、内容や指導方法等を適切に見直すことが必要である。

保育心理の目次

過去問

保育士試験 令和4年(2022年)後期 保育の心理 問4

次のうち、A~Dの子どもの行動の基盤となる発達に関する用語を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。

A おもちゃを取られて泣いている他児に近づき、自分が手に持っているおもちゃを差し出す。

  • 向社会的行動

ア 向社会的行動 イ 自己調整
ウ 象徴機能 エ 社会的参照
オ 安全基地 カ 共同注意
キ 共鳴動作 ク 延滞模倣

保育士試験 令和4年(2022年)前期 保育の心理 問1

次の文は、子どもの社会性の発達に関する記述である。【I群】の記述と、【II群】の人物を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【I群】

A 子どもの道徳的判断は、行動の規準が自分本位に決定され、社会的慣習を考慮しない水準から、他者の期待や社会的慣習に基づいて行動する水準に移行し、さらにそれらを超えて道徳的価値と自己の良心によって行動する水準に至るとした。

  • コールバーグ(Kohlberg, L.)

B 向社会的行動の判断の理由づけは、自分の快楽に結びついた理由づけから、相手の立場に立った共感的な理由づけを経て、強く内面化された価値観に基づいた理由づけへと発達するとした。

  • アイゼンバーグ(Eisenberg, N.)

C 子どもの道徳的判断は、「コップがあると知らずにコップを 15 個割った」場合と「お菓子を盗み食いしようとしてコップを1個割った」場合とでは、被害の大きい前者を悪いと判断する結果論的判断から、悪い意図のある後者を悪いと判断する動機論的判断へと発達するとした。

  • ピアジェ(Piaget, J.)

【II群】
ア アイゼンバーグ(Eisenberg, N.)
イ コールバーグ(Kohlberg, L.)
ウ ピアジェ(Piaget, J.)

保育士試験 令和3年(2021年)前期 教育原理 問26

次の記述にあてはまる人物として、正しいものを一つ選びなさい。

ドイツの哲学者、教育学者。カントの後任としてケーニヒスベルク大学で哲学などの講座を受け持つ。教育の課題とは道徳的品性の陶冶であるとし、多方面への興味を喚起することが必要だと考え「教育(訓育)的教授」という概念を提示した。また、教授の過程は興味の概念に対応しており、「形式的段階」と呼ばれるようになった。この「形式的段階」概念は弟子たちに引き継がれ、「予備・提示・比較・総合・応用」の5段階へと改変された。

○ 1. ヘルバルト(Herbart, J.F.)
× 2. ペスタロッチ(Pestalozzi, J.H.)
× 3. キルパトリック(Kilpatrick, W.H.)
× 4. デューイ(Dewey, J.)
× 5. コメニウス(Comenius, J.A.)

保育士試験 平成31年(2019年)前期 教育原理 問23

次の文の出典はどれか。正しいものを一つ選びなさい。

児童は、特別の保護を受け、また、健全、かつ、正常な方法及び自由と尊厳の状態の下で身体的、知能的、道徳的、精神的及び社会的に成長することができるための機会及び便益を、法律その他の手段によつて与えられなければならない。この目的のために法律を制定するに当つては、児童の最善の利益について、最高の考慮が払われなければならない。

× 1. 児童の権利に関する条約
× 2. 児童福祉法
× 3. 児童憲章
× 4. 世界人権宣言
○ 5. 児童権利宣言

保育士試験 平成30年(2018年)前期 教育原理 問29

次の文のうち、中央教育審議会答申「道徳に係る教育課程の改善等について」( 平成26年10月 )に述べられた内容として、不適切な記述を一つ選びなさい。

○ 1. 道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うという道徳教育の基本的な考え方は、今後も引き継ぐべきであると考えられている。

○ 2. 道徳の授業については、特に小学校高学年や中学校において課題の改善のため、児童生徒の発達の段階を踏まえ、内容や指導方法等を適切に見直すことが必要である。

× 3. 道徳の時間については、道徳教育の要となって人格全体に関わる道徳性の育成を目指すものであることから、各教科と同様に数値による評価を行うことが望ましい。

  • 道徳性は、極めて多様な児童生徒の人格全体に関わるものであることから (中略)数値などによる評価は導入すべきではない。」と記載されている。

○ 4. 様々な道徳的価値について、自分との関わりも含めて理解し、それに基づいて内省し、多角的に考え、判断することが必要と考えられている。

○ 5. 学校における道徳教育は、学校のあらゆる教育活動を通じて行われるべきものである。

保育士試験 平成30年(2018年)前期 児童家庭福祉 問45

次の文は、「児童の権利に関する条約」第27条の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

締約国は、児童の身体的、精神的、道徳的及び( A 社会的 )な発達のための相当な生活水準についてのすべての児童の( B 権利 )を認める。
父母又は児童について責任を有する他の者は、自己の能力及び資力の範囲内で、児童の発達に必要な( C 生活条件 )を確保することについての第一義的な責任を有する。

× 1. ( A )知的 ( B )主張 ( C )養護
× 2. ( A )知的( B )権利( C )生活条件
× 3. ( A )社会的 ( B )意見 ( C )養護
○ 4. (A)社会的(B)権利(C)生活条件
× 5. ( A )社会的( B )意見( C )生活条件

保育士試験 平成29年(2017年)前期 教育原理 問21

次の文は、「教育基本法」第2条の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

一幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と( A 道徳心 )を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
二個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、( B 創造性 )を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
三正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、( C 公共 )の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。


○ 1. ( A )道徳心( B )創造性( C )公共
× 2. ( A )道徳心( B )探究心( C )遵法
× 3. ( A )道徳心( B )探究心( C )公共
× 4. ( A )感性 ( B )探究心( C )遵法
× 5. ( A )感性 ( B )創造性( C )公共

保育士試験 平成28年(2016年)前期 教育原理 問2

次の文は、「いじめ防止対策推進法」の一部である。( A )・( B )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

学校の設置者及びその設置する学校は、児童等の( A 豊かな情操 )と道徳心を培い、心の通う対人交流の能力の素地を養うことがいじめの防止に資することを踏まえ、全ての教育活動を通じた道徳教育及び( B 体験活動等 )の充実を図らなければならない。

× 1. (A)確かな学力 (B)総合学習
× 2. (A)確かな学力 (B)情報モラル教育
× 3. (A)豊かな情操 (B)キャリア教育

○ 4. (A)豊かな情操 (B)体験活動等
× 5. (A)豊かな情操 (B)学校行事

保育士試験 平成25年(2013年) 教育原理 問23

次の文は、ヘルバルト(Herbart,J.F.)に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。 

○ 2. 彼は、教育の究極的な目的は、道徳的品性の陶冶にあると考えた。

保育士試験 平成24年(2012年) 教育原理 問121

次の文は、ロック(Locke,J.)に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。 

× 5. 彼は、道徳的品性の陶冶が教育の課題であるとし、その方法として多方面への興味を喚起することが必要だと考え、「教育的教授」という概念を提示した。

  • ヘルバルトに関する記述です。

保育士試験 平成23年(2011年) 発達心理学 問48

次の文は、道徳判断の発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ B コールバーグ(Kohlberg,L.)は、道徳性を正義と公平さであると規定し、その観点にたって児童から成人をも含む道徳性の発達段階を提起した。

○ C 役割取得とは、他者の立場に置かれた自分を想像することにより、他者の意図や感情を推論することであり、道徳判断の発達とも関連する。

× D アイゼンバーグ(Eisenberg,N.)は、向社会的な道徳判断の発達段階を提唱し、すでに幼児期において、内面化された価値によって他者の尊厳を守ろうとする傾向があるとした。

  • 「幼児期」ではなく「児童期」が正しい記述です。向社会的態度とは、見返りを期待せずに、人のためになるような行動をしようとする態度のことです。アイゼンバーグはこの向社会的態度の発達を5段階に規定しました。

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