公的年金制度とは?
公的年金制度は、働ける世代の人たちが加入し、その保険料を以て高齢者や本当に保障が必要な人たちに年金を給付する制度です。
1959(昭和34)年に公布された「国民年金法」により始まりました。
第1号被保険者である自営業者なども年金制度の対象に加えられ、国民皆年金が整えられました。
その後、管理運営を行っていた社会保険庁が廃止され、日本年金機構が管理運営することになりました。
窓口は、「年金事務所」または「街角の年金相談センター」です。
公的年金制度の種類は下記の2種類です。
- 国民年金制度
- 厚生年金制度
厚生年金制度は労働者が加入し、国民年金制度に上乗せしたものです。
公的年金制度に対して私的国民年金制度があります。
保育士試験とは関係ありませんが、iDeCo(個人型確定拠出年金)がこれに当たります。
誰が加入するの?(被保険者)
- 国民年金制度
- 第1号被保険者:日本国内に住む20歳以上60歳未満の人のうち第2、3号被保険者とならない人全て
- 第2号被保険者:70歳未満の会社員、国・地方公共団体の公務員や私立学校の教職員
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者
- 厚生年金制度
- 国民年金の第2号被保険者
公的年金制度の財源は?お金はどこからくるの?
- 国民年金制度
- 被保険者負担の保険料
- 政府 負担の国庫
- 厚生年金制度
- 被保険者負担の保険料
- 事業主 負担の保険料
被保険者は毎月払い続けます。
ただし、第3号被保険者は保険料を納付する必要はありません。
学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される『学生納付特例制度』が設けられています。
国庫負担割合は従来の1/3から段階的に引き上げられ、平成21年に1/2になりました。
公的年金制度の給付は?どんな時に給付されるの?
- 国民年金制度
- 老齢基礎年金:65歳以上
- 障害基礎年金:障害が生じたとき
- 遺族基礎年金:死亡したとき
- 厚生年金制度
- 老齢厚生年金:65歳以上
- 障害厚生年金:障害が生じたとき
- 遺族厚生年金:死亡したとき
老齢基礎、厚生年金は支給開始年齢が60歳から65歳に段階的に引き上げられました。
障害基礎、厚生年金は20歳前に障害を持った場合でも給付されます。
遺族基礎、厚生年金は「子のある配偶者」と「子」に給付されます。
みんないくら払ってるの?事例
保育士・月給22万円
公的年金の手続きは全て会社が計算してくれます。
給料明細を確認したところ、国民年金と厚生年金を合わせて約2万円が天引きされていました。
定年退職者・65歳
60歳に定年退職し、現在、会社勤めはしていません。
定年退職してからは保険料の支払いが終了していたので納付することはありませんでしたが、給付もなく、65歳になり晴れて給付が始まりました。
受給額は老齢基礎年金と老齢厚生年金合わせて毎月約20万円の振込みがあります。
サラリーマンの子・10歳
サラリーマンの子に2級障害が生じてしまい、障害基礎年金と障害厚生年金合わせて毎月約3万円の振込みがあります。
高収入にならない限り生涯に渡って続きます。
サラリーマンの妻
ある現役サラリーマンが癌で亡くなり、その妻に遺族基礎年金と遺族厚生年金の給付が始まりました。
子どもが2人いるので毎月約10万円の振込みがあります。

過去問
保育士試験 令和4年(2022年)前期 社会福祉 問68
次のうち、国民年金制度に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A 20歳になれば、学生であっても被保険者となる。
× B 老齢基礎年金の支給開始年齢は、75歳と規定されている。
- 原則65歳から受け取ることができます。20歳から60歳までの40年間の国民年金の加入期間等により年金額が計算されます。
× C 第2号被保険者の被扶養配偶者は、第1号被保険者である。
- 第1号被保険者とは、国内の20歳以上60歳未満の自営業者、農業・漁業者、学生及び無職の者とその配偶者です。
保育士試験 平成31年(2019年)前期 社会福祉 問64
次の文は、国民年金制度に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
× A 保険料の支払い期間は、20歳から70歳未満である。(任意加入被保険者を除く)
- 保険料は満20歳(20歳の誕生月)から、満70歳ではなく、満60歳になるまで支払います。
× B 20歳以上の大学生は、本来は保険料を支払う義務を負うが、学生納付特例制度によって、在学期間の納付が免除される。
- 日本年金機構によると、「学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される『学生納付特例制度』が設けられています」と記載されています。
× C 遺族基礎年金は、子どもの有無に関わらずに支給される。
- 遺族基礎年金の対象者は「子のある配偶者」と「子」です。「子」は、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子のことを言います。
○ D 障害者が障害年金を受給するためには、原則として事前の保険料拠出を必要とするが、国民年金に加入する20歳前に障害を持った場合はこの限りではない。
保育士試験 平成30年(2018年)前期 社会福祉 問66
○ A 1961( 昭和36 )年の国民年金の創設によって、自営業者なども年金制度の対象に加えられ、国民皆年金が整えられた。
× B 国民年金制度の被保険者は、18歳以上65歳未満の者である。
- 20歳以上60歳未満の者、第2号被保険者である。
○ C 公的年金制度の年金給付の種類には、老齢基礎年金、老齢厚生年金、障害基礎年金、障害厚生年金、遺族基礎年金、遺族厚生年金等がある。
○ D 公的年金制度は、社会保険方式によって国民に対して所得保障を行う制度の一つである。
保育士試験 平成28年(2016年)後期 社会福祉 問71
次の文は、所得保障についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ B 国家公務員の常勤職員は、厚生年金保険の被保険者である。
× C 老齢基礎年金は、租税のみを財源としている。
- 老齢基礎年金は、国庫負担割合が2分の1となっています。
保育士試験 平成27年(2015年) 社会福祉 問62
次の文は、社会福祉の歴史に関する記述である。適切な記述を一つ選びなさい。
○ 3. わが国の国民皆年金制度の始まりは、1959(昭和34)年に公布された「国民年金法」であった。
保育士試験 平成26年(2014年) 社会福祉 問69
次の文は、年金保険制度に関する記述である。適切な記述を選びなさい。
○ 1. 年金給付の主要なものは、障害年金、遺族年金、老齢年金の3種である。
× 2. 任意加入を原則としている。
- 2.誤り。国民年金は20歳以上60歳未満の国民すべてが加入します。
○ 3. 基本的に厚生年金保険の被保険者は、同時に国民年金の第2号被保険者となる。
○ 4. 基本的に共済組合の組合員は、同時に国民年金の第2号被保険者となる。
○ 5. 基本的に国民年金は20歳以上60歳未満のすべての国民を被保険者とする制度である。
保育士試験 平成23年(2011年) 社会福祉 問6
次の文は、現行の年金制度に関する記述である。正しいものを一つ選びなさい。
○ 1. 年金制度の管理運営を行っていた社会保険庁が廃止され、日本年金機構が管理運営することとなった。
× 2. 福祉事務所が年金制度の窓口となっている。
- 年金制度の窓口は、全国312か所の「年金事務所」または全国72か所の「街角の年金相談センター」です。
× 3. 保険料の納付義務のなかった第3号被保険者も保険料を負担することとなっている。
- 第3号被保険者である期間は、保険料を納付する必要はありません。
× 4. 老齢厚生年金受給開始年齢が、従来の65歳から60歳へと引き下げられた。
- 平成14年4月に施行された厚生年金保険法の改正により、支給開始年齢が60歳から65歳に段階的に引き上げられました。
× 5. 基礎年金の財政安定を図るため、保険料負担割合が引き上げられ、平成21年度から国庫負担が従来の1/2から1/3に引き下げられた。
- 国庫負担割合は従来の1/3から段階的に引き上げられ、平成21年に1/2になりました。
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