ラングラン・ハッチンスが日本の教育基本法を変えた?

ラングラン

ラングランは2度の大戦を経験し、社会を改革する手段を政治よりも教育として考えていました。

後にユネスコに加わり、ユネスコの成人教育推進国際委員会において、「生涯にわたって統合された教育」を提唱しました。

ラングラン

今日においては、社会の急激な変化や大きな変化に適応でき、生涯にわたってたくましく生きるための力が重要である。

それには、人生の各段階でふさわしい教育が必要だといい、さまざまな教育を調和させ、統合したものにすると主張しました。

日本では、高度経済成長のまっただなかにあって、人々は必死に技術を磨く必要がありました。

この変動に対処するため生涯教育が受け入れられたのです。

ハッチンス

ハッチンス

ラングランの思想を、後継者ハッチンスが展開していきました。

ハッチンスは、精力的に学部・大学院の組織改革を行い、特にシカゴ・プランと呼ばれる大学学部改革は過度の専門教育志向と職業志向を排し、教養教育を重視する画期的なものであったと言われています。

成人は、人間的になるため、自由時間が労働時間を上回り、自由時間における自己実現としての学習を重視するような価値に転換した社会を「学習社会」と呼びました。

市民が自由な時間(余暇)に学習していた古代アテネの社会が、学習社会のモデルです。

その後、日本ではどのように浸透したか

1980(昭55)年

中央教育審議会が「生涯教育について」を答申しました。

「生涯教育は、国民一人ひとりが、充実した人生を送ることを目指して、生涯にわたって行う学習を助けるために、教育制度全体が、その上に打ち立てられるべき基本的な理念である。」としました。

1986(昭61)年

中央教育審議会答申が、「学校教育の自己完結的な考え方から、生涯学習体系への移行を主軸とする教育体系の統合的な再編成を行い、新しい教育ネットワークを形成する」と評価されました。

徐々に国民にも受け入れられてきます。

1990(平2)年

「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」が施行されました。

2006(平18)年

教育基本法」改正。

第三条に生涯学習の理念として

国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会にあらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現を図らなければならい。

と明記されました。

2006(平20)年

中央教育審議会答申「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について〜知の循環型社会の構築を目指して〜」

変化の激しい社会を生き抜くために必要な力について述べられました。

生涯にわたってたくましく生きるための力が重要である。

知識や技能等は陳腐化しないよう常に更新する必要がある。

また、他者との関係を築く力等は、多様な場所や方法で学習し、職業生活を経て身に付くものでもある。

成人の学習についても、環境整備が必要である。

具体的策として、OECD動向がわかるBS放送を使った学習、放課後児童クラブと連携したPTA活動(大人同士の高め合い)等が挙げられています。

過去問

保育士試験 令和4年(2022年)前期 教育原理 問9

次の文は、「教育基本法」の一部である。( A )・( B )にあてはまる語句の正しい組み 合わせを一つ選びなさい。

第三条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、( A その生涯)に わたって、あらゆる機会に、( B あらゆる場所)において学習することができ、その成果を適切に生かすこと のできる社会の実現が図られなければならない。

(組み合わせ) AB
○ 1 その生涯 あらゆる場所
2 その生涯 学校家庭やすべての社会
3 その生涯 教育施設
4 就学期全期 あらゆる場所
5 就学期全期 学校

保育士試験 令和3年(2021年)前期 教育原理 問28

次の文は、中央教育審議会答申「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について~知の循環型社会の構築を目指して~」(平成20年)の一部である。( A )・( B )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

変化の激しい社会においては、各個人が「自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」を身に付けるために、生涯にわたって学習を継続できるようにすることが求められている。特に技術の進展等が著しい中で、知識や( A 技能 )等は陳腐化しないよう常に更新する必要がある。また、いわゆる狭義の知識・( A 技能 )のみならず、他者との関係を築く力等の豊かな人間性を含む総合的な力は、学校教育の期間と場のみならず、ライフステージに応じて多様な場所や方法で学習し、( B 職業生活 )やその他の社会における活動においてその成果を発揮することを経て身に付くものでもあり、成人の学習についても、このような国民の継続的な学習へのニーズに応えられる環境整備、すなわち学ぶ機会の充実とその成果を生かせる環境づくりが必要である。

× 1.A:判断力  B:私生活

× 2.A:思考力  B:私生活

× 3.A:思考力  B:職業生活

× 4.A:技能   B:私生活

○ 5.A:技能   B:職業生活

保育士試験 令和2年(2020年)後期 教育原理 問26

次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の人物を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】
A ユネスコ( UNESCO )の成人教育推進国際委員会において、「生涯にわたって統合された教育」( lifelong integrated education )を提唱した。

  • ラングラン

B 成人の教育の目的を、人間的になることとして、すべての制度をその実現のために方向づけるように価値の転換に成功した社会を「学習社会」( learning society )と呼んだ。

  • ハッチンス

【Ⅱ群】
ア ハッチンス( Hutchins, R.M.)
イ エリクソン( Erikson, E.H.)
ウ ラングラン( Lengrand, P.)
エ ノールズ( Knowles, M.S.)
オ クラントン( Cranton, P.)

保育士試験 平成30年(2018年)前期 教育原理 問21

次の文は、「教育基本法」第3条の条文である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

国民一人一人が、自己の( A 人格 )を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる( B 機会 )に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる( C 社会 )の実現が図られなければならない。

1.( A )人間性  ( B )機会  ( C )社会

2.( A )人格   ( B )時期  ( C )社会

3.( A )人格   ( B )機会  ( C )環境

4.( A )人間性  ( B )時期  ( C )環境

5.( A )人格   ( B )機会  ( C )社会

保育士試験 平成24年(2012年) 教育原理 問127

次の文は、生涯教育についての記述である。今日の生涯教育の概念として最も適切な記述を一つ選びなさい。

× 1.生涯教育とは、一般成人を対象とし、基礎教育、職業教育、一般的教養などを含む組織的な教育活動である。

  • 生涯教育とは、生まれてから死ぬまで人の一生涯に渡って行う学習を援助し、推進するものです。家庭教育、学校教育、社会教育を統合するもので、人間は何歳になっても学習する意欲があれば、それを援助ことそが大切です。

× 2.生涯教育とは、学校教育終了後から始まる組織的な教育活動であり、学校教育は、生涯教育の概念には含まれない。

× 3.生涯教育とは、成人および学校外の青少年の自主的・組織的な教育活動である。

× 4.生涯教育とは、学校教育と成人教育を統合するものであり、家庭教育は、生涯教育の概念には含まれない。

○ 5.生涯教育とは、人々が生涯にわたって行う学習を援助し、推進するもので、家庭教育・学校教育・社会教育を有機的に統合するものである。

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