親権・後見人は民法から!法改正の背景を知って頭に刻み込もう!

親権とは

親権の権利

  • 財産管理権:子どもの財産を管理する権利義務です。
  • 身上監護権
    • 監護教育権:子を健全に育てるために必要な措置を取ることです。
    • 居所指定権:子は、親権者が指定した場所に住むことです。
    • 懲戒権:監護や教育に必要な範囲内で子を叱ったり、注意したりすることのできる権利です。しつけとは違います。
    • 職業許可権:未成年の子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができません。

親の権利と書いて親権ですが、民法上は親がえらそうです。

しかも、扶養義務がある訳ではありません。

離婚時親権

両親が離婚する際に、一方を親権者と定めなければならなく、父母ともに辞退した場合は離婚できません。

問題点

一時保護中や施設入所中にも親権は親にあった

一時保護中や施設入所中に、親権者による強引な引取りがあった場合は、親権があることにより拒否できませんでした。

また、児童相談所は、親がしつけだと反論する事例に苦慮してきました。

一度親権を奪ってしまうと修復が難しくなる

親権を停止させることはできましたが、一度子を親から引き離すと、一生引き離すことになるケースが多いです。

親権停止

法改正され、2年以内親権停止という猶予期間が与えられ、改善を試みることができるようになりました。

一時保護中や施設入所中は、親権を停止して児童相談所長、児童福祉施設長、里親等が親権を有することにより、いろいろな判断ができるようになりました。

親権喪失

停止期間中、改善できないと思われた場合は、家庭裁判所に裁判を請求して、親権喪失が可能です。

その裁判は虐待された子、児童相談所長等も請求できます。

親権喪失の期限は無期限で、期限を決めないという意味で、永久という訳ではありません。

また、親権者等は、児童相談所長等による監護措置を、不当に妨げてはならないとなりました。

後見制度とは

体系

  • 成年後見制度
    • 任意後見制度
    • 法定後見制度
  • 未成年後見制度

後見制度

後見制度は、民法による判断能力が不十分な人の権利擁護をする制度です。

日常生活を支援するため財産管理の権限も持ちます。(親権による財産管理より責任が大きい)

本人にどのような保護・支援が必要かなどの事情に応じて、家庭裁判所が後見人を選任します。

後見人の負担が大きいことに配慮し、複数人法人が選任される場合があります。

後見人の判断能力が不十分の場合は、後見監督人を選任できます。

後見監督人は、親権の喪失等、家庭裁判所への請求権を有します。

成年後見制度とは

成年後見制度は、認知症の者や知的障害者、精神障害者など、判断能力が不十分な成年の権利擁護をする制度です。

法定後見制度、任意後見制度とは?

家庭裁判所により、法定後見制度または任意後見制度か種類を選定されます。

任意後見制度とは、将来判断能力が不十分になった場合に備え、誰に、どのような支援をしてもらうかをあらかじめ契約により決めておく制度です。

「任意後見契約に関する法律」により 施行された制度です。

成年後見制度 事例

Aさんは、ご主人が亡くなってからは一人暮らしで、子どもはいません。

兄弟はいますが、高齢で、その子どもたち(甥、姪)とはあまり付き合いはありません。

とても元気で、ボランティア活動などもしています。

生活は、年金と借家からの収入でまかなっています。しかしAさんは、将来、認知症などになって、甥や姪に迷惑をかけてしまうことを心配しています。

そこで、判断能力が衰えた場合でも、希望に沿った生活ができるという任意後見制度を法人に委託することにしました。

Aさんは十分に打ち合わせをしてライフプランを作成し、法人と契約を締結しました。

未成年後見制度とは

未成年後見制度とは、未成年の後見制度です。

未成年者の両親またはひとり親が亡くなってしまった場合、両親の財産を相続する、高校や大学への入学に関する契約を行うとき等に、法定代理人として未成年後見人が必要です。

親族その他の利害関係人の請求によって家庭裁判所は未成年後見人を選任します。

祖父母・おじ・おば等、未成年者の親族が未成年後見人となるケースが多いです。

未成年後見人が選任されるまでの間、入所している児童福祉施設の長が、未成年後見人や親権を行う者になることができます。

ちなみに、未成年後見人の権利は、親権を行う者、扶養義務がある者の権利とは別物です。

紛らわしいものまとめ

一時保護中や施設入所中の親権

  • 児童相談所長
  • 児童福祉施設長
  • 里親

法定後見制度に関する申立て

法定後見制度に関する申立て

  • 本人
  • 配偶者
  • 4 親等内の親族
  • 検察官
  • 成年後見人等
  • 任意後見人
  • 任意後見受任者
  • 成年後見監督人等

親権停止・喪失の請求権があるもの

  • 子の親族
  • 検察官
  • 未成年後見人
  • 未成年後見監督人
  • 児童相談所長

未成年後見人の請求権

  • 未成年本人
  • 親族
  • その他の利害関係者

未成年後見人が選任されるまでの未成年後見人や親権者

  • 児童福祉施設の長

過去問

保育士試験 令和4年(2022年)後期 社会福祉 問17

次のうち、成年後見制度に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場 合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

× A 成年後見制度の国の所管は、総務省である。

  • 民法を所管している法務省です。

○ B 成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害等により、判断能力が不十分な人の判断能力を補
い、本人の保護と権利擁護を図るための法律上の制度である。

× C 法定後見制度および任意後見制度は、それぞれ「民法」に基づいている。

  • 任意後見制度の根拠法は「任意後見契約に関する法律」です。

× D 法定後見制度に関する申し立てをすることができる者は、本人、配偶者、4親等内の親族のみで
ある。

  • 申立てができるのは、本人、配偶者、4 親等内の親族、成年後見人等、任意後 見人、任意後見受任者、成年後見監督人等、市区町村長、検察官である。

保育士試験 令和3年(2021年)前期 社会福祉 問64

次の文のうち、社会福祉における権利擁護に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ C  成年後見制度には、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類がある。

保育士試験 令和3年(2021年)前期 子どもの保健 問99

次のうち、児童虐待に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ C  家庭内におけるしつけとは明確に異なり、懲戒権などの親権によって正当化されない。

保育士試験 平成31年(2019年)前期 社会的養護 問32

次の文は、親権に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。 

○ 1. 親権者等は、児童相談所長や児童福祉施設の施設長、里親等による監護措置を、不当に妨げてはならない。

○ 2. 児童相談所長は、親権喪失、親権停止及び管理権喪失の審判について家庭裁判所への請求権を有する。

× 3. 里親等委託中及び一時保護中の児童に親権者等がいない場合には、市町村長が親権を代行する。

  • 里親等委託中及び一時保護中の児童に親権者等がいない場合には、市町村長ではなく児童相談所長が親権代行をもつことができます。

○ 4. 子の親族及び検察官のほか、子、未成年後見人及び未成年後見監督人も、親権の喪失等について、家庭裁判所への請求権を有する。

○ 5. 家庭裁判所は、「父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」に、2年以内の期間を定めて親権停止の審判をすることができる。

保育士試験 平成31年(2019年)前期 児童家庭福祉 問44

次の文は、「民法」の一部である。( A )∼( D )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

第818条  成年に達しない子は、父母の( A 親権 )に服する。
第820条 ( A 親権 )を行う者は、子の( B 利益 )のために子の( C 監護及び教育 )をする( 権利 )を有し、義務を負う。
第821条  子は、( A 親権 )を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
第822条 ( A親権 )を行う者は、第820条の規定による( C 監護及び教育 )に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

1. A:監護 B:利益 C:保護及び養育 D:責任

2. A:監護 B:懲戒 C:監護及び教育 D:権利

3. A:養育 B:保護 C:監護及び教育 D:責任

4. A:親権 B:利益 C:監護及び教育 D:権利

5. A:親権 B:懲戒 C:保護及び養育 D:責任

保育士試験 平成30年(2018年)後期 社会福祉 問63

次の文は、親権についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  未成年の子どもには親権者が必要であるため、親権を行う者がおらず、かつ未成年後見人の指定がない場合には、未成年被後見人またはその親族その他の利害関係人の請求によって家庭裁判所は未成年後見人を選任する。

○ B  「民法」において、親権者には、「懲戒」は監護及び教育に必要な範囲内で許容される。

○ C  未成年の子どもは、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。

× D  両親が離婚しても、実父母の親権は共同して行われる。

  • 民法第819条の1には『父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。』と記されています。

保育士試験 平成30年(2018年)前期 社会福祉 問76

次の文は、成年後見制度に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A  成年後見人の選任は、家庭裁判所が行う。

○ C  成年後見人として、法人が選任される場合がある。

保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 社会福祉 問77

次の文は、未成年後見人に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

× A 未成年後見人は、財産管理の権限は持たない。

  • 日常生活を支援するため財産管理の権限も持ちます。

○ B 未成年後見人は、複数選任されることがある。

× C 未成年後見人の選任は、児童相談所が行う。

  • 代理人を本人の意思で選任する任意後見制度と法定後見制度がありますが、選任は児童相談所ではなく裁判所です。

○ D 社会福祉法人が未成年後見人として選任されることがある。

保育士試験 平成28年(2016年)後期 社会福祉 問68

次の組み合わせは、社会福祉に関係する概念と、その根拠法に関する組み合わせである。不適切な組み合わせを一つ選びなさい。

○ 1. 成年後見制度 ―― 「民法」

保育士試験 平成28年(2016年)前期 社会福祉 問64

次の文は、「民法」における親権の内容に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

○ B 子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。

○ C 子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。

○ D 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。

保育士試験 平成27年(2015年) 社会的養護 問36

次の文は、監護措置と親権代行に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

○ A 児童相談所長は、里親等委託中及び一時保護中の児童に親権者等がいない場合には、親権を代行する。

○ B 児童相談所長は、一時保護中の児童の監護等に関しその福祉のために必要な措置をとることができる。

○ C 親権者等は、児童相談所長、施設長等が児童の監護等に関しその福祉のため必要な措置をとる場合には、不当に妨げてはならない。

× D 児童相談所長、施設長等は、児童の生命、身体の安全を確保するために緊急の必要がある場合であっても、親権者等の意に反しては必要な措置をとることができない。

  • 児童福祉法第33条の2の第4項、第47条の第5項に明記してあります。親権者の宗教上の理由や、その他の理由で子どもの治療を拒否する事例は一定の割合で起きています。特に緊急を要する場合、子どもの最善の利益を考慮し、児童相談所長、施設長などは家庭裁判所を経て手続きをすることなく、一時保護の措置をして治療の同意をします。

保育士試験 平成26年(2014年) 社会的養護 問35

次の文は、「児童福祉法」第47条第3項に規定された児童福祉施設の長の親権等に関する記述である。適切な記述を一つ選びなさい。 

○ 1. 入所中の児童への監護、教育及び懲戒に関し、その児童等の福祉のため必要な措置をとることができる。

× 2. 入所中の児童への監護及び教育に関し、その児童等の福祉のため必要な措置をとることができるが、懲戒に関する措置はとることができない。

  • 児童福祉施設の長、その住居において養育を行う第六条の三第八項に規定する厚生労働省令で定める者又は里親は、入所中又は受託中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童等の福祉のため必要な措置をとることができる。

× 3. 入所中の児童への監護に関し、その児童等の福祉のため必要な措置をとることができるが、教育及び懲戒に関する措置はとることができない。

× 4. 入所中の児童への教育に関し、その児童等の福祉のため必要な措置をとることができるが、監護及び懲戒に関する措置はとることができない。

× 5. 入所中の児童への監護、教育及び懲戒に関する措置はとることができない。

保育士試験 平成25年(2013年) 社会福祉 問66

次の文は、親権等に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

× A 親権停止は、一時的に親権の行使を制限するものであり、親権喪失は、永久に親権の行使を奪うものである。

  • 親権喪失は親が未成年の子どもに対して持つ権利と義務を、無期限で停止することです。2年以内に停止しなければいけない原因が消滅する場合は親権の回復が可能なので、永久という表現は不適切です。

× B 親権者及び未成年後見人は、子どもに対する親権を有するとともに、扶養義務を負わなければならない。

  • 民法第820条によると、親権者は子の監護教育義務を負うと規定されていて、扶養義務を負わない場合もあります。未成年後見人については、親権を有しない場合もあります。

○ C 親が子どもの養育を放棄して、残された子供が餓死した場合、保護責任者遺棄致死罪あるいは、殺人罪が適用される可能性が高い。

× D 両親が離婚する際、成年に達しない子に対する親権を父母ともに辞退した場合、家庭裁判所は両親以外の第三者を親権者として選任しなければならない。

  • 民法第819条第2項によると、父か母か、どちらかが子どもの親権者にならなければ離婚はできません。

保育士試験 平成25年(2013年) 社会福祉 問71

次の文は、社会福祉従事者の義務や権利に関する記述である。適切な記述を一つ選びなさい。 

× 4. 親権を行う者のいない入所児童については、入所している児童福祉施設の職員が未成年後見人となる。

× 5. 児童相談所の児童福祉司は、保護者による児童虐待を認めたときは保護者の親権を停止することができる。

  • 児童福祉司が保護者の親権を停止することはできません。親権の停止は、家庭裁判所で審判されます。

保育士試験 平成23年(2011年) 児童福祉 問24

次の文は、「児童福祉法」第6条の記述である。(  )にあてはまる語句として正しいものを一つ選びなさい。

この法律で、保護者とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に(  )する者をいう。 

× 1. 養護

× 2. 養育

○ 3. 監護

× 4. 育成

× 5. 監督

  • 児童福祉法第47条によると、親権を行う者のいない入所児童については、入所している児童福祉施設の職員ではなく、長が、親権を行う者または未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行うことになっています。

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