家庭でできる誤飲事故具体的対応の問題は、頻度が少ないだけにあまり時間はかけたくないところです。
ここでは必要最小限のものを掲載しています。
理屈を知れば丸暗記しなくても問題を解けますので参考にして下さい。
誤飲したものが体にどのような悪さをし、それに対しての応急処置、やってはいけないことを考えていきます。
目次
誤飲事故 〜塩素系漂白剤〜
塩素系漂白剤とは
塩素系漂白剤とは、トイレやお風呂の洗剤や漂白剤のことです。
飲まなくても触っただけで皮膚が溶けます。
飲むとどうなるか
組織を腐食(やけどに似た状態)する作用が強いので、皮膚や粘膜がただれます。
原液を少しでも口にした場合は危険です。
うすめたものでも注意が必要です。
対処方法
牛乳や卵白を飲ませて粘膜を保護し、すぐに医療機関を受診します。
これはやってはいけない
吐かせると喉や食道を再び逆流して粘膜をさらに傷つけるので吐かせません。
誤飲事故 〜灯油〜
灯油とは
昔よく使われていた石油ストーブの燃料や、ベンジンのことです。

べンジンは、懐炉(カイロ)やオイルライターの燃料、しみ抜きに使われています。
飲むとどうなるか
飲むと気管に入りやすく、少量でも気管に入ると肺炎をおこすので危険です。
蒸気を吸って中毒症状がでることもあります。
対処方法
何もせずにすぐに医療機関を受診します。
これはやってはいけない
牛乳や水等を飲ませると嘔吐を誘発する可能性があります。
また、吐かせると気管に入りやすいです。
誤飲事故 〜ボタン電池〜
ボタン電池とは
ボタン電池はおもちゃや小型ゲーム、リモコン、電卓、自動車の鍵などに広く使用されています。

飲むとどうなるか
飲むと電池の内容物が溶けて放電し、食道や胃の粘膜に腐食や穿孔(せんこう=穴があく状態)をおこします。
鼻や耳に電池を入れて、鼻の中や鼓膜に穿孔を生じた例があります。
対処方法
何もせず医療機関へすぐ行きます。
誤飲事故 〜タバコ〜 ❢ 統計第1位
どの位の毒性なのか
タバコ1本分のニコチンで子どもは死んでしまいます。
対処方法
ニコチンは水に溶け出すと人体に吸収されやすくなります。
水に浸っていたたばこを食べたり、その液を飲んだ場合、あるいは乾いたたばこでも大量に食べた場合はすぐ受診します。
これはやってはいけない
水や牛乳を飲むと、溶けて吸収されます。
誤飲事故 〜石けん、シャンプー〜
何の位の毒性なのか
毒性上ほとんど問題はありませんが,食道や胃粘膜を多少傷つけます。
対処方法
粘膜を保護するための牛乳や卵白を飲ませます。
誤飲事故 〜玩具〜
気を付ける玩具とは
気を付ける玩具とは、スーパーボールのようにちょうど喉に詰まってしまう大きさのものです。
ミニトマトやブドウも該当します。
飲むとどうなるか
飲んでしまった場合は、窒息死の危険があります。
対処方法
うつ伏せにするか、頭を床に向け逆さに抱え、背中などを叩き玩具を吐かせます。
誤飲事故 〜豆やナッツ類〜
豆やナッツ類など、硬くてかみ砕く必要のある食品は5歳以下の子どもには食べさせません。
喉頭や気管に詰まると窒息しやすく、大変危険です。
小さく砕いた場合でも、気管に入りこんでしまうと肺炎や気管支炎になるリスクがあります。

過去問
保育士試験 令和5年(2023年)前期 子どもの保健 問 17
次の文は、「食品による子どもの窒息・誤嚥事故に注意!」(令和3年1月 消費者庁)にお
ける食品の窒息・誤嚥事故防止に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場 合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
× A 豆やナッツ類は、小さく砕いて与えれば、肺炎や気管支炎のリスクにはなりません。
○ B 物を口に入れたままで、走ったり、笑ったり、泣いたり、声を出したりすると、誤って吸引し、窒息・誤嚥するリスクがあります。
○ C ミニトマトやブドウ等の球状の食品は、乳幼児には、4等分する、調理して軟らかくするなどして、よく噛んで食べさせましょう。
○ D 食べているときは、姿勢を良くし、食べることに集中させましょう。
(組み合わせ)
A B C D
4 × ○ ○ ○
保育士試験 令和4年(2022年)後期 子どもの保健 問15
次のうち、「食品による子どもの窒息・誤嚥事故に注意!」(令和3年1月:消費者庁)の窒息・誤嚥事故防止に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A 豆やナッツ類など、硬くてかみ砕く必要のある食品は5歳以下の子どもには食べさせない。
× B 乳幼児に豆やナッツ類を与える場合は、小さく砕いて与える。
- 小さく砕いた場合でも、気管に入りこんでしまうと肺炎や気管支炎になるリスクがあります。
○ C ミニトマトやブドウ等の球状の食品を乳幼児に与える場合は、4等分する、調理して軟らかくするなどして、よく噛んで食べさせる。
○ D 食べているときは、姿勢をよくし、食べることに集中させる。
○ E 節分の豆まきは個包装されたものを使用するなど工夫して行い、子どもが拾って口に入れないように、後片付けを徹底する。
保育士試験 平成30年(2018年)後期 子どもの保健 問119
次のうち、子どもの誤飲事故への対応として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ A 灯油などの揮発性石油製品を誤飲した場合は、吐かせると肺に吸いこむ恐れがあるので吐かせずにすぐに医療機関を受診する。
○ B ボタン電池は、飲み込んでその場に留まると電池が放電して周囲の体の組織を傷つける恐れがあるので、誤飲したかどうか判然としない場合でも疑わしいときはすぐに医療機関を受診する。
○ C 石けんやシャンプーなどを誤飲した場合には、毒性は高くないものの粘膜への刺激を和らげるために牛乳を飲ませて様子をみる。症状があれば医療機関を受診する。
○ D 次亜塩素酸ナトリウム含有の塩素系漂白剤の原液を誤飲した場合は、組織を腐食する作用が強いため吐かせてはならない。口の中をよく洗い、牛乳や卵白を飲ませてすぐに医療機関を受診する。
保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 子どもの保健 問105
次の文は、子どもの健康問題および保育所での対応についての記述である。適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。
× A 誤飲とは、異物が気道に入ることである。
- 誤飲とは、本来飲み込んではいけない物を飲み込んでしまうことです。物が気道に入り込んでしまうことを誤嚥とよびます。
保育士試験 平成26年(2014年) 子どもの保健 問119
次の文は、室内およびその周辺での乳幼児の事故とその予防に関する記述である。適切な記述を選びなさい。
× 4.乳幼児の誤飲事故の原因は、おもちゃ類が最も多い。
- 最も多いのはタバコの誤飲です。
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