目次
レッジョ・エミリア・アプローチとは
北イタリアのレッジョ・エミリア市において誕生・発展した独創的な保育の取り組みの総称です。
ローリス・マラグッツィを指導者として、デューイ、ピアジェ、ヴィゴツキー、フレイレ、ブルーナーらの理論をもとに誕生し、モンテッソーリ教育、ドルトン教育に続き世界7大教育のひとつです。

レッジョ・エミリアの特徴は?
「子どもの無限の可能性」を伸ばしていくことが目的の保育方法です。
特徴は、プロジェクトと呼ばれる子ども同士の話し合いであり、教師、親、行政関係者、教育学の専門家等が支え合って子どもの活動を援助する、子どもの探求したい事柄を中心に保育を展開していきます。
例えば展覧会に向けて作品を作る場合、子どもたちが「個人で作るのか、みんなで作るのか」「何を作るのか」「どのように作るのか」など小グループで話し合いながら進めていきます。
保育士は指示を出すのではなく、その話し合いに対等に参加し、保護者にも状況を共有して理解を求めます。
あらかじめ決められたカリキュラムや時間割が一切なく、子どもたちのペースでプロジェクトを進めていきます。
全て子どもたちのタイミングですごしているので、保育士が子どもをせかしたり、時間が来たら終わらせたりするようなことはありません。
表現活動の拠点となるのは「アトリエ」です。

レッジョ・エミリアには専門家を配置しドキュメンテーションを作成
プロジェクトでは、ペダゴジスタと呼ばれる教育専門家やアトリエスタと呼ばれる芸術専門家、保育者などによって観察され、写真や動画、文字に記録・整理された後に、子どもたちの学びの記録として文書化されます。

この記録文書による子どもの学びの記録は多くの国の保育実践手法に影響を与え、「ドキュメンテーション」として広く知られるようになりました。

過去問
保育士試験 令和2年(2020年)後期 保育原理 問19
次の【Ⅰ群】の事項と、【Ⅱ群】の記述を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【Ⅰ群】
A ヘッドスタート
B レッジョ・エミリア・アプローチ
C モンテッソーリ・メソッド
【Ⅱ群】
ア 1998年にイギリスにおいて発足した、経済的・社会的支援を必要とする地域への早期介入の補償保育・教育プログラム
イ 子ども自身が、深く集中し継続するように考案された「日常生活の訓練」「感覚訓練」「読み書きと算数」等の教具を選択して活動し、教師は仲介者に徹する教育法
ウ 保育方法の特徴は、プロジェクトと呼ばれるテーマ発展型の保育であり、教師、親、行政関係者、教育学の専門家等が支え合って子どもの活動を援助するイタリア北部にある都市における実践
エ 1965年にアメリカで開始された、教育機会に恵まれない子どもを対象とした大がかりな就学前準備教育
保育士試験 令和2年(2020年)後期 保育原理 問16
次の文のうち、諸外国の幼児教育・保育に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ C イタリアのレッジョ・エミリア市では、第二次世界大戦後、ローリス・マラグッツィ( Malaguzzi, L.)のリーダーシップのもと、独創的な保育の取り組みが進められてきた。
保育士試験 令和元年(2019年)後期 保育原理 問11
次の文のうち、レッジョ・エミリアの保育・教育実践に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
× A フランスの都市レッジョ・エミリアの保育・教育実践は、その学校建築設計の特徴として、食育ができる「食堂」と、表現活動の拠点となる「アトリエ」があげられる。
- レッジョ・エミリアの保育・教育は、フランスではなくイタリアで実施されました。
○ B 「アトリエリスタ(芸術教師)」が配置されていることは、レッジョ・エミリアの保育・教育実践の特徴の一つである。
○ C 「ドキュメンテーション(子どもの日々の活動や学びの記録)」は、レッジョ・エミリアの保育・教育実践の特徴の一つである。
× D レッジョ・エミリアの保育・教育実践の考え方を支えてきたのは、教師であり思想家であるルドルフ・シュタイナー(Steiner, R.)である。
- レッジョ・エミリア保育実践創始者の一人として、社会心理学者、教育哲学者のローリス・マラグッツィがあげられます。ルドルフ・シュタイナーによる教育は、シュタイナー教育です。
保育士試験 平成29年(2017年)後期・地域限定 保育原理 問20
次の文は、諸外国の幼児教育・保育に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
○ C 第2次世界大戦後、イタリアのレッジョ・エミリア市で始められた幼児教育は、レッジョ・エミリア・アプローチとよばれる。その実践の振り返りには、子どもの行動や言葉をメモや写真などの様々な手段を用いて記録しながら作成するドキュメンテーションを活用することを特徴の一つとしている。
コメントを残す