中年期は人生の最盛期だった??

私の人生の最盛期はいつ訪れるんでしょうか。実は高齢期なのかもしれません。

発達段階MAP

中年期とは?

エリクソンの中年期は40〜65歳の期間をいい、以前は働き盛りで心身が充実するため、人生の最盛期であると認識されていました。

この期間を成人期に含めてしまう場合もあります。

ところが、1970年代に発達心理学や臨床心理学の研究が進むと、この年代に中年期の危機があることが解明されました。

中年期に訪れる4つの変化

中年期の危機は、以下の変化により自分の人生に疑念が生じたり、将来に不安を感じて、精神状態が不安定になると考えられています。

  • 身体的変化
  • 心理的変化
  • 家族における変化
  • 職業における変化

身体的変化

身体能力は衰退し、ワーキングメモリも衰退していきます。

ワーキングメモリとは、情報を頭の中で保持して、どの情報を覚えておけばいいのか、どの情報は削除していいのかを整理する能力のことです。

女性は閉経を迎えてエストロゲンの分泌が低下することにより、更年期障害と呼ばれる諸症状が現れやすいです。

心理的変化

男性も女性もホルモンバランスが崩れてネガティブになりやすくなります。

家族における変化

子どもが親離れし自立すると、子どもを送り出すことの淋しさや、子どもの世話をするという目的を失い、空の巣症候群になる場合があります。

老親介護も始まる場合があります。

また、同居年数が長いにも関わらず、夫婦がパートナーとして親密な関係を築けなかった場合は、子どもらが親離れすると離婚することがあり、「熟年離婚」といわれています。

職業における変化

先端技術や情報化社会の急激な進展、終身雇用制や年功序列制の揺らぎ・崩壊など、職場環境の急激な変化は様々なストレスと職場不適応をもたらしています。

じゃあどうすればいいの?乗り越え方は?

中年期をよりよく生きるためには、これまでの生き方の見直しや、将来の生き方への模索をして青年期に確立したアイデンティティを改めて再構築されることが少なくないです。

例えば、親は子離れして親子関係を再編させ、夫婦の生活や職業上の達成に再焦点化します。

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過去問

保育士試験 令和5年(2022年)後期 保育の心理学 問15

次のうち、中年期の危機に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

⚪︎ A 先端技術や情報化社会の急激な進展、終身雇用制や年功序列制の揺らぎ・崩壊など、職場環境の急激な変化は、職業人に、様々なストレスと職場不適応をもたらしている。

⚪︎ B 子育てが一段落する中年期に至って、これまで親密な関係性を育ててこなかった夫婦は、夫婦共通の目標を失う。長い結婚生活を経た中高年の離婚は「熟年離婚」といわれる。

× C 親子関係においては、親は、子どもの自立にともなう親役割の喪失感、すなわち「心理的離乳」とよばれる不安定感が存在する。

× D 中年期の危機を契機として、これまでの生き方の見直しや、将来の生き方への模索をすることによって、自分の生活や働き方の修正が行われるプロセスは、「アイデンティティの拡散」と捉えられる。

(組み合わせ)A B C D1 ○ ○ × ×

保育士試験 令和4年(2022年)後期 保育の心理学 問11

次のうち、中年期に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

⚪︎ A  女性は閉経を迎えてエストロゲンの分泌が低下することにより、更年期障害と呼ばれる諸症状が現れやすい。

B  エリクソン(Erikson, E.H.)は、中年期の心理・社会的危機を「親密性対孤独」としている。

⚪︎ C  子どもの自立に伴い親役割の喪失が生じることで「空の巣症候群」が生じ、何をしてよいかわからなくなって無気力になったり、抑うつ状態になったりする場合がある。

D  自分とは何者であるのかに悩み、様々なものに取り組んで、初めてアイデンティティを模索する。

3.  A:○  B:×  C:○  D:×

保育士試験 令和3年(2021年)後期 保育の心理学 問84

次のうち、知的機能の発達に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A  結晶性知能は、図形弁別や図形構成課題によって測られ、生育・教育環境の影響を比較的受けないとされる知能であり、青年期以降になると漸減する。
B  流動性知能は、語彙や社会的知識に代表されるもので、学習経験の影響を相対的に受けやすいとされる知能であり、高齢期に至るまで、緩やかに増加する。

⚪︎ C  ワーキングメモリ(作業記憶・作動記憶)は、思考や問題解決などの際に必要な情報を一時的に保持し、それを操作し、再体制化するシステムであり、中年期以降に衰退する。

D  成人期以降の知的能力の発達・変化は、少なくともどのような能力も一様に衰退するものではなく、多様で多方向である。また個人を取り巻く環境や社会・文化の影響を強く受けるものである。

保育士試験 令和3年(2021年)後期 保育の心理学 問86

次のうち、中高年期における家族関係に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

⚪︎ A  親は子離れにあたって、親子関係を再編させること、夫婦の生活や職業上の達成に再焦点化すること、自身の高齢期に関心を持ち始めることなどの変化が必要とされる。

⚪︎ B  親は、子どもが家から巣立っていく時期に、子どもを送り出すことの淋しさや、子どもの世話をするという目的を失った喪失感で、抑うつ症状や心身症などを示すことがある。

C  定年退職や、自分にとって重要な他者の死に遭遇した際に、その人間関係の喪失が深い空虚感をもたらすものとなる。自分の周りに社会的ネットワークを築いていた人ほど、このような危機に効果的に対処することができると考えられる。

D  個人が有する社会的ネットワークで、身近で日頃から頼りにしている人との関係をどのように維持しうるのかという観点でモデル化したものが、ソーシャル・コンボイと言われる。生涯発達の各時点におけるコンボイの成員数や、種類には変化が生じると言われる。

1.  A:○  B:○  C:○  D:○

保育士試験 令和元年(2019年)後期 保育の心理学 問90 

次のA ~ Dのうち、成人期・高齢期の特徴に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

⚪︎ A  成人期では、子どもの巣立ちや老親介護などを通して心理的変化に直面しやすく、時として人生の転機となり、アイデンティティの再構築がみられることがある。

B  知能には、加齢の影響を受けやすいものと受けにくいものがあり、結晶性知能は成人期以降減衰するが流動性知能は高齢期でも低下しにくい。

C  身体機能は、加齢に伴い程度の差はあるものの少しずつ低下する。聴覚では母音、低音域の音、ゆっくりしたテンポでの聞き取りづらさを感じる人が多くなる。

D  高齢期には、加齢による変化に対処しながら自分の特徴を最大限に活かすなど、幸福に年齢を重ねることをサクセスフル・エイジングと呼ぶ。

保育士試験 平成30年(2018年)後期 保育の心理学 問93

次の文は、中年期の特徴に関する記述である。( a )〜( d )の太字部分が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

中年期は人生の最盛期と捉えられてきたが、( a )1980年代以降では中年期に大きな変化が生じるという見方が受け入れられるようになっている。その変容としては、( b )身体的変化、心理的変化、家族における変化のほか、職業における変化がある。例えば、家族のライフサイクルという視点からは、( c )中年期の女性には、「空の巣症候群」という、子どもの親離れに伴う問題がみられる。こうした背景から、( d )厚生労働省の平成27年の調査によると、パートナーとして親密な関係を築いてこなかったために、同居年数20年以上の別居が急増していると考えられる。

4.  ×  ○  ○  ×

(a)中年期は1960年代まで人生の最盛期として捉えられてきましたが、1970年以降、そこに大きな変化が生じるという見方がされるようになり「中年の危機」という用語が使われるようになりました。

(d)厚生労働省の調査によると、別居がもっとも多いのは30代で同居期間が1年未満のものであり、中年期の同居年数20年以上の別居離婚は全体の1%未満と少ないです。

保育士試験 平成25年(2013年) 保育の心理学 問89

次の文は、老年期の発達についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A エリクソン(Erikson, E.H.)によると、老年期の発達課題は「統合対絶望」である。

× B アイデンティティの再構築は、老年期特有のものである。

  • アイデンティティの再構築は老年期よりもむしろ、中年期の特徴であるといわれています。

C 知的能力の低下を防ぐために、日常生活で知的活動を行うことが有効である。

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