児童虐待!法律ができて虐待は減ったの?

この記事は2022令和4年後期試験に対応しています。

福祉行政報告例の児童虐待件数と併せて、「死亡虐待による死亡事例等の検証結果等について」も一緒に学習すると覚えやすいと思い、記事にしました。

虐待相談は市町村などにもきますので、この記事は児童相談所においての記事であることを念頭において下さい。

児童の権利に関する条約に批准!

日本は平成6年に児童の権利に関する条約に批准しました。

児童の権利に関する条約には虐待に関しての条文があります。

現在の児童虐待相談対応件数は約19万件ですが、批准当時は2000件でした。

児童虐待相談対応件数:条約批准時は2000件

児童虐待の防止等に関する法律制定!

条約に批准したので内容に即した法整備は必須です。

2000年(平成12)に「児童虐待の防止等に関する法律」が制定されました。

以下は法律の要約です。

身体的虐待とは?

児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えることです。

身体のあざで発見されるときがあります。

性的虐待とは?

児童にわいせつな行為をすること、わいせつな行為をさせることです。

ネグレクトとは?

食事を与えない、長時間の放置、同居人による虐待の放置することなどです。

成長不良、虫歯の数、皮膚の乾燥や汚れなどから発見されることがあります。

心理的虐待とは?

著しい暴言、著しく拒絶的な対応、家庭内暴力など著しい心理的外傷を与える言動を行うことです。

いつどうやって通告すればいいの?

虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに市町村、福祉事務所もしくは児童相談所へ通告しなければいけません。

通告することは、保育士などの児童関係者に限らず、すべての国民の義務です。

(保育士などの児童関係者は早期発見に努めます。通告と早期発見は別物です。)

(義務化されたことにより、児童虐待件数が増加していきます)

組織に所属している場合は上司に報告し、組織の協議体制を整えることも有効な手段です。

また、身体のあざなどは、証拠として写真に残すのがよいです。

ただし、保護者に情報漏洩した場合には虐待が助長しかねないため、慎重に保管する必要があります。

児童相談所全国共通ダイヤル番号「189(いちはやく)」が運用されています。

厚生労働省HP

迷っている間に事件が起こってしまうため、可能性を感じた時点で、通告しなければなりません。

所属している組織が協議体制を整えないなどの場合は、個人の判断で通告する必要があります。

匿名で通告することも可能です。

学校は啓発活動をしなければならない!

学校及び児童福祉施設は、児童及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育または啓発に努めなければならないとされています。

毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と位置付け、関係府省庁や、地方公共団体、関係団体等が連携した集中的な広報・啓発活動を実施しています。

児童虐待防止推進月間 厚生労働省HP

児童虐待の防止等に関する法律改正!

児童虐待件数がなかなか減らないため改正されました。

市町村は、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を行う母子健康包括支援センターの設置に努めるものとしました。

最悪の3虐待事件が起こる!

目黒区の事件

母親は19歳で女の子を出産した後に離婚し、別の相手と再婚して長男を出産しました。

5歳の女の子は新しい父親から日常的に暴力を受け、食事も十分に与えられませんでした。

当時住んでいた香川県の児童相談所に一時保護され、初回は約1カ月、2回目は3カ月余りで保護が解除されました。

警察は2度父親を傷害容疑で書類送検しましたが、いずれも不起訴となりました。

その後、一家は東京都目黒区に転居しました。

目黒区子ども家庭支援センターは、善通寺市からの引継ぎを受け、一家と関わりが始まりましたが、品川児童相談所と連携することはありません。

遅れて東京都の品川児童相談所は、香川県の児童相談所からの引継ぎを受けました。

香川県の医療機関からは直接、品川児童相談所へ情報提供がなされていましたが、件数が増えて人手が足りなくなっていたのもあり、緊急性が高い状況にあるとの判断にはなりませんでした。

その後、品川児童相談所は家庭訪問をしましたが、母親に拒否されては保護者との信頼関係が崩れてるのを恐れてしまい、強制的に女の子には会うことはしませんでした。

直後に119番通報で当該児童が救急搬送され、その後、死亡が確認されました。

野田市の事件

女の子が2歳の時に父親による母親に対するDVが原因で両親が離婚しました。

しかし両親は再婚し、一家は妻の故郷である沖縄県糸満市で暮らし、次女が生まれました。

その後父親のDV、女の子への恫喝(どうかつ)の情報が市に寄せられ、糸満市は家庭訪問をしましたが、父親は要請を拒みました。

その後、一家は千葉県野田市へ転居しました。

ある日女の子は、いじめに関する小学校のアンケートに「お父さんに暴力を受けています」と記入しました。

児童相談所が一時保護しましたが、親族宅で暮らすことなどを条件に保護を解除しました。

それを聞いた父親は、学校にアンケートの写しの提供を威圧的な態度で求め、学校はアンケートのコピーを渡してしまいました。

児童相談所は、母子が父親のもとに戻ったことを把握したものの、再度の一時保護を行いませんでした。

一家はさらに野田市内の別の小学校へ転校しました。

女の子は父親に満足な食事や睡眠を取れないまま、長時間立たされたり、何度も冷水を浴びせられました。

母親は自分へのDVを恐れて父親の行動を止めることができず、その後女の子は自宅で死亡してしまいました。

札幌市の事件

母親は未婚の18歳で出産し、札幌市は産前・産後の支援が特に必要な「特定妊婦」と認定していました。

母親と市の関わりは次第に薄れていきました。

数年後、母親は父親とは別の交際をしていました。

「子どもの泣き声がする」と住民から110番通報があり、警察から児童相談所に連絡かありました。

警察は児童相談所に面会への同行を要請しましたが、児童相談所は深夜で1人の当直体制であることを理由に断られました。

札幌市では、夜間や休日に虐待の通告があった場合は、児童家庭支援センターが対応することになっています。

ところが児童相談所も警察もセンターには連絡しませんでした。

警察はマンションに出向き、女の子の身体にあざが2か所あることを確認したものの、専門ではないため虐待と判断することができませんでした。

同じようなことがもう1度あり、3度目になりやっと虐待であることが判明しました。

母親と交際相手は逮捕され、直後に女の子は死亡してしまいました。

母親は「物を触ったことを注意したら態度が悪かった」「物入れに閉じ込めたのはしつけのつもりだった」などと話していました。

児童虐待の防止等に関する法律改正!

しつけであろうとなかろうと体罰はだめ!

児童虐待とは、自分の子どものしつけに際して、体罰を加えることや、必要以上の懲戒を行うことであると明確にしました。

関係機関の連携強化

児童相談所の人手不足から、児童相談所から市町村への事案送致を新設しましたた。

市町村が設置する要保護児童対策地域協議会の調整機関について、専門職を配置しなければならないとしました。

要保護児童対策地域協議会から情報提供等の求めがあった関係機関等は、これに応ずるよう努めなければならないこととされた。

児童相談所の権限強化

都道府県(児童相談所)の業務として、児童の安全確保が明文化された。

児童虐待の疑いがある保護者に対して、再出頭要求を経ずとも、裁判所の許可状により、児童相談所による臨検・捜索を実施できるものとした。

都道府県は、一時保護等の介入的対応を行う職員と保護者支援を行う職員を分ける等の措置を講ずることとされた。

児童福祉審議会において児童に意見聴取する場合、その児童の状況・環境等に配慮することとされた。

秘密厳守

学校、教育委員会、児童福祉施設等の職員は、正当な理由なく、その職務上知り得た児童に関する秘密を漏してはならないとされた。

結果、どうなったの?

結果、虐待件数が増えたというより、隠れ虐待が明るみになりました。

児童相談所への相談は児童虐待ばかり?

養護相談が多い 令和元年度福祉行政報告例 厚生労働省

現在では、児童相談所における種類別対応件数で最も多いのは、養護相談です(全国54万件中半分の27万件)。

冒頭にあっように、27万件中19万件が虐待相談であり、これが年々増加しています。

全体の相談件数における養護相談の構成割合は年々増加しています。

養護相談が年々増加 令和元年度福祉行政報告例 厚生労働省
  1. 養護相談:虐待、離婚など
  2. 障害相談:各障害など
  3. 育成相談:不登校など
  4. 非行相談:問題行動など
  5. 保健相談:疾患など
  6. その他の相談:措置変更など

被虐待者は小学校高学年が多い!

小学校高学年に虐待が多い
令和元年度福祉行政福祉例 厚生労働省

被虐待者は、7〜12歳、3〜6歳、0〜2歳の順に構成割合が多いです。

心理的虐待の件数も割合も爆増!

心理的虐待が多い 令和元年度福祉行政報告例 厚生労働省

児童相談所での虐待件数は、

  1. 心理的虐待(約55%)
  2. 身体的虐待(約25%)
  3. ネグレクト(約20%)
  4. 性的虐待 ( 数%)

の順に多いです。

近隣知人や家族親戚が通告するケースが増えた!

児童相談所での虐待件数の経路別(令和元年を見て下さい)

虐待の経路別件数は、

  1. 警察約10万件・約50%)
  2. 近隣知人(約 3万件・約10%強)
  3. 家族親戚(約 2万件・約10%弱)
  4. 学校等(約 2万件・約 7%)
  5. 都道府県(約 1万件・約 6%)
  6. 市町村 (約 1万件・約 5%)

の順に多いです。

一般国民の意識が変わってきたといえます。

ついでに死亡事例も覚えよう!

(死亡虐待による死亡事例等の検証結果等について)

虐待死した子どもの年齢(心中以外)

心中以外の虐待死で最も多いのが「0歳」です。

主たる加害者(心中以外)

主たる加害者で最も多いのが「実母」(約5割) です。

加害の動機(心中以外)

加害の動機で最も多いのが「保護を怠ったことによる死亡」(約2割) です。

母親の特徴

予期しない妊娠/計画していない妊娠

・妊婦健康診査未受診

関係機関の関与(心中以外)

何らかの機関(児童相談所、市区町村、保健センター等)が関与していた事例は約7割です。

親子共に心中した場合の加害の動機

親子共に心中した場合の加害動機で最も多いのが「保護者自身の精神疾患、精神不安」(約3割)です。

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